作品タイトル不明
その7 ホコリを被った雑誌
昭和◯◯年◯月◯日
いつも、親父が出稼ぎに内地(本州)に行っているのだが、オカンも幼い弟を連れていくことになった。
当然、小学生の俺も一人暮らしになる――ということもなくて、下宿するのは母方の祖母の家。
俺が住んでいた長屋から500mぐらいしか離れておらず、いつでも行ける距離。
祖母の家も、戦前から建っていた昭和の家で、完全木造。
サッシなどもなく、壁も断熱材が入っていない鎧張り。
玄関には土間もあり、正月にはここで餅つきをしていた。
土間に台所もあったので、電化しても、土の上に冷蔵庫や洗濯機が置かれていた。
そんな土間部分を活かして、食堂を始めたこともあったのだが、1年ぐらいで廃業。
まぁ、無理だよね。
そもそも、飲食店は10年以内にほとんど廃業するってデータもあるし。
猫も2匹いた。
おっとりした猫と、神経質な猫。
神経質のほうは、ついに最後まで懐かなかったが、こいつは雀を獲ってきたりと中々の狩人だった。
猫たちがいる祖母の家に下宿することになった俺の部屋は、2階部分。
普通の1軒家を無理やり2階にしたような作りだったので、子どもの俺が立っても頭をぶつける天井の低さ。
叔父は二人いて、上叔父は全盲だったので、点字の本や点字のタイプライターもあったな~。
それから、デカい金庫。
祖母が商売してた時期もあったので、金庫と屋号もあったりした。
風呂はなく――いやあったのだが、壊れていて銭湯通い。
元々、2階は叔父が使っていた部屋だったので、彼が買った本などが色々とそのまま残されていた。
ホコリを被った古い本ばっかりだったが、本が好きな俺は嬉しかったね。
そのほとんどがエロ本でも。
あのまま令和まで残っていれば、高い本もあったかもしれない。
新しい本は、その頃に流行っていた少年チャンピオン系が多い。
ジャンプも少しあったが、「ウル」という、軍用犬の漫画が連載開始してたのを覚えている。
チャンピオンだと、「がきデカ」「カリュウド」「エコエコアザラク」辺りをよく読んでいた。
あと、俺が好きだったのは、「アリサ!」という、モーゼルを持った女の子の話。
まぁ、面白かったのは最初だけで、途中からトンデモ方向にいってしまって打ち切られてしまったが。
そのほか、部屋や階段に積まれていた雑誌は、ゴラクやエ■トピアが多かったな~。
ゴラクには、たまに松本零士センセの「ヤマト」の読み切りが載っていたりして、その号だけ宝物だった。
梶原一騎センセの、「カラテ地獄変」も連載してた時期。
エ■トピアで覚えているのは――あがた有為センセや、ふくしま政美センセの「女犯坊」かな~。
ふくしま政美センセは、ジャンプで、「聖マッスル」という漫画も連載してたが、小学生で女犯坊読んで喜んでるやつおる?
その他、のちに美少女エ■漫画を描いてた中島史雄センセや、内山亜紀センセも劇画調でエ■漫画を描いてた。
内山センセは、劇画でも■リ漫画だったな~。
子どもの頃、河川敷などでエ■漫画を拾うのが、エ■イベントだったが、俺の場合はそれが家の中にあったとも言える。
そんなエ■本を集めて、気に入ったシーンの切り抜きなどを作って遊んでいたのだが、親や祖母に見つかって怒られたこともある。
俺の芸術性が理解できぬとは……こういうところでも作家というのは孤独なものだと解る。
――とはいえ、爺になった今でも、同じことをしているので、三つ子の魂百までとはよくいったものよ。