作品タイトル不明
その20 なんでも大量に
昭和◯◯年◯月◯日
川で遊ぶ。
普通は魚釣りが多かったが、釣った魚をぶつ切りにして、テグスに結び、十字ブロックの隙間に入れると、蟹が釣れた。
蟹は、爪の所にもさもさがついているモズクガニ。
これが結構たくさんいたんだよね~。
俺は食わなかったが、大きいのを獲って帰ると、親父が煮て食べていた。
そりゃ、上海ガニと同じやつなんだから、美味いはず。
俺は食わなかったが。
大事なことなので、2回言いました。
カニ・エビはあまり好きじゃないんだよね。
ウニも好きじゃない。
美味いと言われて高いやつは、みんな好きじゃないという、貧乏な貧乏舌。
舌はさておき――堰堤から、田圃に水を引いている用水路があるのだが、土の壁には無数の穴が開いていた。
あれが全部蟹のすみかだとすると、かなりの数の蟹がいたことになる。
かなり上流までいくと、川エビもいたらしい。
エビは見たことがなかったが、ニホンザリガニはよく獲りにいった。
川の支流を上ると、最終地点の湧き水が源泉――そこは真夏でも足をつけていると、痛くなるぐらいの冷たい水。
透明な水に沈んでいる大きな石をめくると、ニホンザリガニがいた。
面白がって沢山取るのだが、それでどうしようというわけでもない。
家に持って帰って、平らな植木鉢に入れて置くと、次の日には沢山死んでしまっていた。
綺麗な冷水じゃないと生きられないのに、そりゃ当然といえば当然。
その状態になると、さすがに可哀想だと思って、川まで行って放流したのだが、上流ではない川に流したんじゃ結局生き残れなかっただろうなぁ。
別の湧き水の支流には、フナが沢山いた。
デカい1匹だけ獲ってきて、玄関のバケツに放り込んでいたのだが、そのまま1か月ぐらい忘れていた。
バケツの中は緑色になって、底も見えない。
恐る恐る棒を突っ込んでみると、フナはピンピンしていた。
おそらく、緑色の苔が光合成して酸素を供給、バケツに湧いていたボウフラなどを食べて生き延びていたものと思われる。
そいつもバケツのままだと可哀想だと思い、川に持っていって放した。
フナはそのまま生き延び、川を遡って自分の故郷に帰ったかも……。
また、ある日。
堰堤の水の流れに、大量のトンボが集まっている。
尻尾を水面に打ち付けているので、産卵しているのだ。
川に産卵して、ヤゴになるのか不明なのだが、ガキンチョが集まってトンボを獲りまくってた。
いや、大量にトンボを獲ってどうするのかと言えば――どうもしない。
ただ、面白くてやっているだけ。
結果、死骸が大量に発生する。
子どもって罪悪感が薄いから、こういうことを平気でする。
大人になってから思い出すと、「悪いこと、可哀想なことをしてしまったな~」と、思うのだが。
そういう俺は――トンボ獲りには、犬を連れていった。
獲ったトンボを犬に食わせると、うまそうに食うんだよ。
それで、面白がって食わせてた。
トンボは強力な翅を持っているから、それを動かす大胸筋がすごいらしい。
その大胸筋部分が美味いんだと。
俺は食ったことがないから、解らん。
シーチキン味らしいが……マジか?(笑)