作品タイトル不明
その22 昆虫採集
昭和◯◯年◯月◯日
夜中に仲間と繰り出し、水銀燈の下に集まる。
なにをするかといえば、虫採りである。
沢山の虫が、水銀燈の周りをグルグルと飛んでいる。
これは、虫が太陽に向かって直角に飛ぶ習性があるため。
母方の実家の眼の前にあるガススタンドに水銀燈があったのだが、そこに大量の虫が集まってきた。
ほとんどが蛾なのだが、たまに低い「ブーン!」という羽音といっしょにデカいのがやってくる。
もちろん、子どもたちの目当てはクワガタだ。
北海道なので、カブトムシはいない。
ゲットしてヒーローになれるのは、ミヤマクワガタ一択。
ノコギリクワガタも人気があったが、やはり小さい。
デカいは正義。
一番人気は、やっぱりミヤマクワガタなのだ。
カミキリムシも捕まえたことがあるのだが、あれは「キリキリキリキリ!」と一晩中煩いので、すぐに捨てた。
今の子どもたちも、昆虫採集をするのだろうか?
昆虫=デパートで売っている――と、思っていたりして(笑)
北海道にはカブトムシはいないので、ゲットするには、買うしかない。
俺が小学生の頃には、すでにデパートでカブトムシが売られていた。
俺も買ってもらったことある。
確か500円ぐらいじゃなかったか。
今だと1000~1500円ぐらいの感覚だと思われる。
当時は虫ゼリーなどはなかったので、きゅうりを餌にしていたのだが、きゅうりはあまりよろしくないみたいやね。
今なら、そんな情報もネットで手にはいるとはいえ、当時はネットもない。
情報といえば、本で読んだり人づてで聞いたりするぐらい。
カブトムシやクワガタの餌も、みんなきゅうりだった。
本を読んでも、甲虫が出てくるシーンには、きゅうりが突き刺してあったりして。
ああ、こういうものだと思っていたもんだ。
クワガタの他には、蝶々も採ったな。
蝶々の上位ランクは、アゲハ系。
普通のアゲハ、キアゲハときて、一番の人気は、やっぱり黒くてデカいカラスアゲハ。
採ったら、昆虫標本のマネごとをしてみる。
そこで出てくるのが、全国区で売り出されていた、昆虫採集セット。
注射器+虫眼鏡+赤い薬、青い薬が入っている。
メーカーが違っても、入ってるものは同じ。
薬は、どちらの色かは忘れたが、1方が虫にトドメを刺す薬、もう1方は防腐剤という触れ込みだった。
大人になってから解ったのだが、入っていた赤青の薬は、薬ではなくて色付きのタダの水である。
考えてみれば、そりゃそうよ。
子どもが使うのに、本物の殺虫剤や、防腐剤が入っているはずがない。
間違って飲んだり、手に刺しちゃったりする可能性もある。
そんなわけで、たの色付きの水だったのだろう。
もしかして、薬の腐敗防止に、少量のアルコールが入ってたかもしれないが。
まぁ、本物の薬じゃなくても子どもが作る昆虫標本なんて、すぐにボロボロになるのがオチだしな。
北海道には、カブトムシがいないと書いたが――。
今は、札幌周辺には、カブトムシがいる。
子どもが買ってもらったカブトムシが逃げ出して、周囲の森で定着してしまったのだ。
北海道の冬は寒いからカブトムシは冬を越せない――とは、なんだったのか。
油断大敵である。