作品タイトル不明
仕組まれた追放
「冒険者パーティー『リジェクテッド』元リーダールディ、お前を追放する」
そう、俺に人差し指で指し示すのは剣士ブリッツだ。しかも、その腕の中で抱かれてる小柄な少女がいた。茶髪を肩ぐらいの長さで揃えた、少しウェーブの掛かった髪。胸は出会った頃はガリガリだったが、食事などをまともに食べれるようになり、女性らしく丸み帯びている。顔はまだ、幼さが残った感じがするな。
俺の仲間第一号(人間のね)でもある、エスナさん。
「ガハハハ、リーダーちゃん。いや、元リーダーちゃんは、無様にも今日でお別れなんだよ。使えないヤツは、いらないからな」
コイツは、重戦士のエドガーだ。これまた、盲目少女を介護するフリをしながら胸を揉んでやがる。盲目少女も、嫌がらずに受け入れてるな。そう、ドワーフの少女ミラさんだ。
俺は今、新人冒険者が集まる迷宮都市ビギナリアの冒険者ギルド内で、注目を集めながら追放宣言を受けていた。
冒険者に復帰してから一ヶ月。ラストチャンスと言われた『嘆きの谷』の攻略に失敗して、リーダーの座を追われた。男二人は当然、俺の指示を聞かない。
エスナさんもミラさんも非協力的。
その中で探索が上手く行くわけなく、撤退する事になった。
それからは、簡単だったよ。リーダー剥奪からの今回の追放宣言ってわけだな。
普段は賑やかなギルド内は、誰かが息を呑むのも聞こえるかのような静けさが支配している。
ギルドのエース『リジェクテッド』の元リーダーの追放だからな。皆は興味津々なんだろう。
あっ、そうそう。女の子達は俺がリーダーから落ちると分かると、すぐに宿屋『木漏れ日亭』から部屋を引き払い男二人の下に、転がり込むようにいなくなった。
逆にスッキリとした感じになったのかもな。
「そうか。分かった。エスナさんとミラさんも、それでいいのか?」
「……ゴメンなさい。ルディさんには、お世話になりました」
エスナさんは少しうつむき加減であったが、シッカリとした口調で拒絶の意思表示をした。出会った当初は心にトラウマを背負った少女が、ここまでになるとは思わなかった。それが言い終わる時には、シッカリと俺の目を見て言い切ったからな。
「元々、アナタのやり方ではダメだったのよ。アナタは生産と商売だけやってれば、皆が幸せでいられたのに……」
本当に気の強い、ドワーフ少女だね。彼女は盲目で、本当は生きていくにも大変だったはずなのに。恋人まで作ってるんだから、分からないものだね。
「そうか……俺達『リジェクテッド』を作るキッカケになった、フィオナさんには悪いと思わないのかい?」
そう、俺とエスナさんを引き合わせてくれた。そこに目が見えなくても、冒険者として生きていこうとするミラさんを紹介してくれたのに……そのフィオナさんを追い出した、今の専属受付嬢エマールと仲良くお茶していたりする二人に問う。
「……感謝はしてますがもう、過去です」
「そうね。冒険者として成功するのが恩返しかしら」
自分達だけ良ければ……という事だね。
ふぅ、ここまで変わってしまうとはな。俺はもう引くことの出来ないラインを越えたと判断した。
専属受付嬢エマールの前に行き、
「パーティーの脱退書をくれ」
「こちらでーす。どうぞ〜」
ヤケに明るい声だな。顔はニヤけて口紅がハゲてる。
少しは隠せよ。バカヅラをさ……
しかし、やはり間違えていたんだな。アレは……
〘ユニークスキル『運命の輪』が発動しました。運命の輪が逆位置にて回り始めます〙
てっきり、フィオナさんが専属受付嬢を外れたのが、運命かと思ったが『リジェクテッド』の崩壊こそが、運命の輪の逆位置なんだろうな。
そして、感覚で分かってしまった。逆位置から正位置にもう戻せる事を……運命値ってヤツが溜まったのだろうな。
それよりもまずは……パーティー脱退書にサインをしてエマールに渡す。速攻で処理をしたようでギルド長の印まで入って、正式に俺は冒険者パーティー『リジェクテッド』を追放となったのだ。
「Gランク冒険者ルディを『リジェクテッド』より追放を宣言します」
言わなくてもいいのに、大声でアピールするエマール。
それに反応する冒険者ギルド内の冒険者達とギルド職員。中にはハイタッチするヤツや、俺に罵声を浴びせるヤツまで。
「ぎゃはは、ざまぁ」「あのすかしたヤツは前からキライだったんだよな……」「良いモノが見れた、感動した〜」「笑い過ぎて腹イテ〜」
俺って、すげー嫌われモノなんだな。左腕がないだけで、罵声を浴びせられる世界だしな。
追放した本人達はブリッツとエスナさんは冒険者達の前でキスしてるし……しかもオトナなヤツ。
エドガーとミラさんは相変わらずモミモミと……そのままおっぱじめるのかな?
それを冷静に見ていられるように俺はもうコイツらを勇者ランドルフと同列の復讐相手として認識していた。
さあ、復讐劇の幕開けといこうじゃないか……
迷宮都市ビギナリアの冒険者ギルドを支えるエース『リジェクテッド』メンバーと、スライム使いルディの勝負だ。徹底的に潰してやるさ。
『これが俺の生き方だ……なぁ、アオイ・アカネ』