軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

低ランクリーダー

俺は魔鋼を扱う鍛冶屋探しや商会立ち上げなどで、約三ヶ月間冒険者パーティーから離れていた。

その間にフィオナさんから専属受付嬢の座を奪ったエマールにより、勝手に男二人のメンバーを増やされていた。

その暴挙に当初からのメンバーである、エスナさんもミラさんも反対どころか賛成していた。

しかもフィオナさんは左遷されて、近くの村へ出向させられていた。

「おいおい、劇的に状況が変わり過ぎだろう……」

困惑する俺を置いてきぼりに男二人は、

「まあ、そういう事だ。改めて宜しくな。リーダーちゃん。剣士のブリッツだ」

「なんか頼りねーな。まあ、低ランクじゃな。重戦士のエドガーだ」

勝手に自己紹介をはじめ、仲間になった気でいた。

「ゴメンなさい、私達もメンバー入りには賛成なの」

「ルディには悪いと思ってるけど、仕方無かったのよ」

この通りメンバーを増やす気満々だな。こうなったら二人を受け入れて、連携の確認をしてからダンジョンへ潜って実力を確かめないと……

さて、スライムの丘で連携をしようと提案すると……

「おいおい、リーダーちゃんは冒険者になって、ザコ魔物をイジメる為になったのかよ」

「今さらスライムかよ〜、ダセ〜な」

「……私もまた訓練は反対です」

「ルディは、慎重すぎよ。私達はこれまでも、四人でダンジョンに挑んでいたのよ」

はぁ〜、先が思いやられる。まあ、四人に俺が合わせればいいかな……

「分かったよ。じゃあ、『廃鉱山ラービィクス』に行こうか」

俺は先頭に立ち、皆を引率する。他の四人は、ダラダラとした感じでヤル気を感じない。

流石に魔物を前にすれば、気を引き締めるだろうと思いガマンした。

『廃鉱山ラービィクス』は、いつ来ても薄暗い。俺は光魔法を照明代わりにして隊列を……って、おい?

隊列どころか、好き勝手に進む。しかも、以前よりも、索敵の精度は落ちている。

注意力散漫で、ダンジョン内でもおしゃべりを止めない。

隊列も組まないから、魔物からの襲撃があると慌ててる。迎撃も一拍遅れるから、魔法を放てない。フレンドリーファイアになる危険性があるから。

それを対応出来てない魔法使いだと、勘違いして俺を罵倒している。

エスナさんやミラさんまで、溜め息をついている。

そのまま探索を続けていくので、今度は俺が指示を出す事にした。

「エドガー、左から敵が来る。盾で受け止めて、ブリッツがトドメだ。中央からはミラさんが止めて、エスナさんかトドメを……」

「うるせ〜、低ランク。偉そうに命令すんじゃねーよ」

「ああ、本当に不愉快だよな。お前は、少し黙ってろよ。エドガーに守ってもらってるクセに……」

相変わらずのバタバタ戦闘になって、辛うじて撃退する事が出来た。

「……ルディさんは魔法だけ、撃ってて下さい。危ないですよ」

「本当よ。アナタは、街にいた方がいいんじゃないの?」

この二人も、変わってしまったな。こんな戦闘なんかしていたら、いつ死んでもおかしくはない。アオイやアカネを一心同体で宿してるから、怪我とかもした事がないしな。逆にそれが、変な自信になって増長させたのかもな。

俺はそれからは何も言わず、ただ魔法を撃つだけに。

連携なんか関係ない戦闘を続けている。

そして、ダンジョンから帰ると……

「……なるほどね。ルディは、何か言いたい事はあるかしら?」

俺は今回の反省会という名の、吊るし上げにあっていた。この反省会は、メンバー四人に専属受付嬢エマールを加えた六人だ。俺は完全アウェーな状況で、八方塞がりな言葉のリンチを受けていた。

「おいおい、リーダーちゃんはお邪魔なんじゃねーのか」

「全くだな。こんな使えない冒険者なんか見たことないぞ」

「……ルディさんは、反省して下さい」

「ルディは冒険者を休んでいた期間が長いから、少し皆に会わせる努力をして欲しい」

「リーダーってくらいだから、期待していたのに……無様ね」

はあ、やっぱり俺だけが悪くなってる。

コイツらは、反省する事が無いみたいだね。

「そうか……それでどうするんだ? このままダンジョンに潜るのも、危険だと思うんだが……」

「お前が言うな。俺達は四人で、ダンジョンに行っていた時は上手くいっていたんだ」

何を言ってもダメそうだな……そう思っていたら、

「明日、ラストチャンスをあげますよ。それをクリアして、自分の存在価値を提示したら如何でしょうか? 今回と同じでダメなら、リーダーを交代するという条件で……」

専属受付嬢エマールが、そう提案してきた。

コイツらは、俺をリーダーから落としたいだけなんだな。

ふむふむ、コレは利用してやるかな?

「そうだな。エマールから提案があった明日の探索で、俺がリーダーたる力をと証明する。それが出来ない時は、誰かにリーダーの座を譲るっという事で皆は納得してくれるのかな?」

周りを見渡すと、全員が無言で頷く。それを見て俺は、

「分かった。それじゃ明日は『嘆きの谷』へ行こうか」

俺が提案したのは、迷宮都市ビギナリアの不人気ダンジョンナンバーワンの『嘆きの谷』だ。

攻略難易度は初級と中級の間。つまりは初級の中で最高難易度のダンジョンになる。

攻略は無理だろう。誰にとっての、ラストチャンスになるのだろうな。