軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

逆転の一手

俺の油断もあったのだろうが……運命のイタズラに、まんまとヤラれた。

俺は自身に振りかかる災厄に身構えていたが、まさか周りの人間にいくとは思わなかった。

その犠牲となったのが、専属受付嬢フィオナさんだったのだ。

いつも、俺達を心配して導いてくれていた、専属受付嬢。俺達が冒険者パーティー『リジェクテッド』を結成したキッカケも、フィオナさんからだ。

いつも一生懸命でちょっとドタバタした感じが、可愛らしい人。それでも芯が強く、結構頑固な面もある。そんな彼女が……

「……ルディさん、すいません。私は『リジェクテッド』の専属受付嬢を今日で、辞めさせて貰いたいのですが……」

と、涙ながらに言ってきた。そして代わりに、出しゃばってきたのが……前に声をかけられた時に無視した、異様に腰をクネクネした受付嬢エマールだった。

「あらあら、迷宮都市ビギナリアで、冒険者ギルドのエースになりつつある『リジェクテッド』の専属受付嬢を投げ出すなんて……もう、田舎へ帰ってはいかがかしら? 『リジェクテッド』の皆様、申し訳けありません。この者の代わりに私、エマールが専属受付嬢を致しますわ」

勝手に、話を進めてしまう。俺達は、オッケーを出していないのに……

「もう、ギルドマスターの承認を貰ってますから、本日より冒険者パーティー『リジェクテッド』の専属受付嬢は私……エマールが導いてあげます。たくさん攻略して、魔物素材などもたくさん持って来て下さいね。そうしたら、ご褒美をあげてもよろしくてよ」

だってよ。根回し済みで元々、狙っていたのだろうね。

そのやり方や顔なんかが、勇者ランドルフや性女クリスティを思い出させてくる。ならば、俺は倍返ししなければいけないなぁ〜。

『これが俺の生き方だ』

俺達は宿屋『木漏れ日亭』に帰って、作戦会議をした。

食堂で話していると色々とアイデアが出て感心していたが、なかなかに決め手になるモノが出なかった。

う〜ん、どうしようか〜。

取り敢えず腹が減ったから、ご飯でも食べながら考えて見よう。

「あっ、リラちゃん。注文いいかな? キラーラビットのシチューを人数分お願い」

俺はリラちゃんを捕まえて注文をしたが……リラちゃんは困った顔をして……

「ルディ君、ゴメンね。キラーラビットが、冒険者ギルドから入って来なくて……代わりに、ビックラビットのシチューではダメかな?」

…………? あっ、それだ〜。

「ああ、リラちゃん。ありがとう。それだよ、俺の求めていた答えは……」

思わず嬉しくて、リラちゃんの肩を両手で掴んだ。

あれ? リラちゃんは顔が真っ赤。エスナさんとミラさんも顔が真っ赤。

やべ〜。リラちゃんは照れてる? エスナさんとミラさんは怒ってる? 取り敢えず、こんな時は……

「ゴメンなさい。軽弾みに触れてしまいました」

謝るの一択だろう。女性を怒らせて、良い事はないからな。

何とか落ち着きを取り戻して貰った女性達に、説明する。

「ここ迷宮都市ビギナリアは、ダンジョンの物が豊富だよね? でも、初級ダンジョンの中でも高難易度のダンジョンでは、素材を持って帰れる冒険者パーティーは限られている。ここまではいいかい?」

女性二人は頷く。俺はリラちゃんが置いてくれたシチューを指差す。

「つまりはキラーラビットは難しく、ビックラビットならこのシチューを作れる。これは需要と供給のバランスが悪い証拠だよ。つまりは様々な初級ダンジョンをクリアして、アオイやアカネなどで収納してこれる俺達は……冒険者ギルドとしても、ありがたい冒険者パーティーだと思うんだ」

ふむふむと、二人共にまた頷く。

まばらだった食堂の席も、だんだんと埋まってきたようだね。

「つまりは、ダンジョンの成果を俺達が冒険者ギルドへ卸さなかったら? 冒険者ギルド……ひいては、専属受付嬢は困ると思わないかい?」

「アタシは話は分かった。だけど、その期間のお金はどうするのさ? 流石に少しキツイ」

「当然の疑問ですね。そこで俺達で、生産と商売をやってみないかい?」

二人共に首を傾ける。その仕草が可愛らしい。

「そう、魔物素材なんかを加工してから商売で売る。それにより、お金が儲かる。ダンジョン素材も無駄にはならないし、良い案だと思うけど……どうかな?」

俺が集めた、ジョブも有効活用出来るしね。ただ、コミュ症オドオド少女と勝ち気盲目ドワーフだからね。ほとんどを俺がやらないとダメなんだよね。

まあ、リーダーだしその位なら。

色々と話し合った結果、俺達は最初はダンジョンに潜りながらも、夜中は生産をしていた。ミラさんは流石はドワーフの血が入っている。視力が無くなる前から生産をしていた彼女に聞きながら、鍛治や調合などを試していく。

そんな事をしながら、商業ギルドにも加盟して作った武具などや薬類などを見せてみる。やはり、初級ダンジョンでも難しいダンジョンの成果物は、どこも取り合いになるくらいだな。逆に余っている素材は、かなり安い。当然、俺が生産した物は高値が付いた。

その間、冒険者ギルドでは魔物素材一つ卸していない。

俺達、冒険者パーティー『リジェクテッド』は、迷宮都市ビギナリアでは有名なパーティーになっているが……専属受付嬢がエマールに代わった途端に、売り上げがゼロになる。フィオナさんを泣かしたエマールは、俺は赦す気もないからな……