作品タイトル不明
回らない運命の輪
冒険者活動も気になる女性達との関係も、順調に来ていたと思った所でもっとも聞きたくない、天のささやきがあった。
〘ユニークスキル『運命の輪』が発動しました。運命の輪が逆位置にて回り始めます〙
なに〜。ここで運命の輪かぁ。しかも、逆位置とか……
また、運命を逆転できないかな?
イヤな事が起こりうるのに、このままにしておくのは……イヤだしな。
よし、ユニークスキル『運命の輪』発動。
〘ユニークスキル『運命の輪』の効果が発動しました。運命値が足りない為、位置の変更が出来ません〙
マジかよ、運命が変えられないのか? 運命値ってなんだろうか? このままにするのは、イヤなんだけど……何度も、試してみたけど……
〘ユニークスキル『運命の輪』の効果が発動しました。運命値が足りない為、位置の変更が出来ません〙
クソッ、ダメなのかよ。多分、必要なイベントみたいなのが、起きてないのかもな。なんだろうか?
しばらくは何事にも注意をしながら、冒険者活動や私生活も過ごしていた。
俺は自分ばかり、アンラッキーな事が起こると思っていた。だから、変化に気が付かなかったんだ。
覚えているだろうか? 以前に、俺に話しかけてきた受付嬢の事を……
『名前は知らないけど、なんかお色気ネーチャンって感じ。ヤケにクネクネした感じが、本当に鼻につく。
キツめの香水も、減点対象だな。ハッキリ言おう。フィオナさんの方が、百倍良い女だな』
始めて見た時に、こんな感じの感想だった受付嬢だ。
媚を売る事に、全力投球をしているような女だ。しかも、俺に話しかけてきた時のやり取りだ。
「貴方達は、私が専属をやって差し上げます。喜びなさい。そもそも、貧乏臭い田舎娘に任せておくのが……」
……と言っていたのを、無視したんだ。俺達がダンジョンを攻略していくスピードも、持ち帰ってくる魔物素材や、資材や、素材なども魅力的なのかもな。
その矛先が全て、フィオナさんに行ってしまっていた。自分自身に注意をしていた俺は、気が付くのが遅くなた。
以前から、フィオナさんが泣いている場面を目撃したりして食事などを共にしたが、他の受付嬢からの嫉妬でイジメられていたとは……俺はバカだ。
「……ルディさん、すいません。私は『リジェクテッド』の専属受付嬢を、今日で辞めさせて貰いたいのですが……」
「……フィオナさん?」「ちょっとフィオナ……」
メンバーのエスナさんも、ミラさんも、困惑しているようだね。そりゃそうだ。突然の、専属受付嬢を降りる宣言だからな。俺も全然気が付かなかったよ。昨日までは、そんな感じでは無かったのにな……
目に一杯、涙を溜めて精一杯に笑顔を作っていたフィオナさん。それを見た時に……ああ、運命の輪が示していたのは、コレだった。気づくのが遅かった。
俺は周りに気が付かれないように、アオイとアカネに探らせた……アイツらか。
俺に言っても無視してるから、フィオナさんの方にいったんだな。いや〜、この感覚は久しぶりだよな〜。ムカついてしょうがない。勇者ランドルフを、思い出させる。だって、フィオナさんが泣いている後ろでニヤニヤしてる顔が……
う〜ん、どうしてやるかな……
まあ、やる事はアレしかないよね。その前に……
「そうですか。残念ですフィオナさん。それはもう、決定という事ですか?」
「……はい、ゴメンなさい」
頭を下げたフィオナさんの目からは、大量の涙で受付カウンターが濡れていた。
「そうか、分かった」
俺は冒険者ギルドから立ち去る為に、ドアの方へ向かった。後ろからはフィオナさんの泣く声が、かすれて聞こえた。この時点でフィオナさんの本心で、俺達『リジェクテッド』の専属受付嬢を辞めたいと思っていたワケではないと確信した。
すかさず、俺達に近づく受付嬢がいた。あの腰クネクネのゲバ過ぎ受付嬢だ。
「あらあら、迷宮都市ビギナリアで、冒険者ギルドのエースになりつつある『リジェクテッド』の専属受付嬢を投げ出すなんて……もう、田舎へ帰ってはいかがかしら? 『リジェクテッド』の皆様、申し訳けありません。この者の代わりに私、エマールが専属受付嬢を致しますわ」
俺の目の前まで来て……俺の胸をツンツンしながら、寄りかかる腰クネクネのエマール。
なんだろうな。この男は身体さえ許していれば、自分の思い通りになると思っているんだろうか?
この思考回路は、元婚約者のクリスティを思い出させる。
勇者と性女を合わせたような、この受付嬢エマールを一気に嫌いになったのは言うまでもない。元々、好きでもないけど……
そこで俺は運命の輪の運命値とは、今回の事だと思いユニークスキル『運命の輪』を発動して運命を戻す為に……フィオナさんが、俺達の専属受付嬢に戻ってくれる為に祈りを込めた。
〘ユニークスキル『運命の輪』の効果が発動しました。運命値が足りない為、位置の変更が出来ません〙
なんでだ? このイベントではないのか? 運命値ってなんだよ〜。クソッ。
「もう、ギルドマスターの承認を貰ってますから、本日より冒険者パーティー『リジェクテッド』の専属受付嬢は私……エマールが導いてあげます。たくさんダンジョンを攻略して、魔物素材などもたくさん持って来て下さいね。そうしたら、ご褒美をあげてもよろしくてよ」
そういうと……オホホホっと高笑いをした。いちいちムカつくヤツだな。
フィオナさんから専属を奪う事に成功した腰クネクネのエマールは、俺達に向かって宣言したのだ。
そのニヤけた顔を歪ませてやるからな……