軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

宿屋『木漏れ日亭』

新人冒険者が受けなければならない新人研修会で、講習が終わり模擬戦へと移行していた。

物理職・魔法職で別れて行われた模擬戦は順調に進み、俺の出番まであと一つの所で受付嬢フィオナさんから紹介されたエスナさんが模擬戦だった。

そのスピードと手数から斥候職だと思われたが、思わぬ欠陥がありエスナさんが怪我を負うかと思われた……所に俺が登場。ただ、B級冒険者の攻撃を逸らすのが精一杯でその後壁までふっ飛ばされ気絶していたらしい。カッコ悪い〜な〜。

なぜそんな話をしているかというと……現在、目の前でエスナさんが、俺に土下座しているから。この世界での、最上級の謝罪は土下座なのか? やたらと、されるけど……

「ルディさん、すいませんでした。私のせいで……」

あっ、ちなみに模擬戦は既に終わって、俺は不合格にはならなかった。筋肉ダルマのガイの攻撃を逸らした……とかで合格だって。

それを教えてくれた受付嬢フィオナさんも、苦笑いしながら俺達の側にいる。今のここは、冒険者ギルドにある医務室だからね。

「イヤ、俺の方こそ、出しゃばってスマン。しかも、カッコ悪い所を見られたな……アハハ」

なるべく明るく言ったけど……土下座継続中。

う〜ん、どうすれば良いんだろうか?

ならば思いっ切って聞いてみるかな……

「エスナさんは俺から見て優秀な斥候職になれそうな感じに見えましたが、何故か異様に人との接触を恐れている印象でした。最後は身体が固まってしまい、非常に危なかったので介入しました。どうしてだか話して頂けませんか? 協力出来るかもしれませんし……」

エスナさんは土下座しながらも、ビクッとした。その後は、ヒクヒクと泣き出してしまった。う〜ん、分からん。困っていると、受付嬢のフィオナさんが……

「ルディ様、事情は私が聞いておきます。ルディ様も、今日はお休みになられた方がよろしいかと……後は、おまかせ下さい」

確かに受付嬢でもあるし、同じ女性のフィオナさんに任せた方が良いかもな……

「分かりました。お願いします。明日また来ますね」

俺は場をフィオナさんに任せて、冒険者ギルドを後にした。

そうそう、ここ迷宮都市ビギナリアは、新人冒険者が多い事から宿も多い。そしてその宿は、格安な所ばかり。なぜかって? 新人冒険者は金が無い事が多いから。

ただ、俺は冒険者になる前から稼いでいたから、ここ迷宮都市ビギナリアでも上位に入る宿を取っている。

本来なら初心者から中級者になるくらいの冒険者が、使うような宿屋だね。

『木漏れ日亭』……新人冒険者でも、頭一つ抜け出した冒険者が泊まる事の多い宿屋。なんといっても、お風呂があるしね。

一階では食堂もやっており、料理も美味い。一家でやる宿屋さんで、寡黙な料理人のマスターと、美人な女将さん、看板娘が二人いるよ。

昨日一日泊まったが、非常に良い宿屋だった。俺はここ迷宮都市ビギナリアでは、常宿にする気でいる。とくに、看板娘のリラちゃん(十三歳)・キラちゃん(十一歳)が懐いてくれている。

美人女将さんの娘だけあり、可愛らしい。

「戻りました。ただいま」

「「「おかえりなさい」」」

うん、分かるだろうか? 美人女将さんと、美少女姉妹のおかえりなさい。いいよ、非常にいい。

スキル『スライム』を授与されてから、言われない言葉だったからだろうか。非常に、この普通のコミュニケーションが嬉しいんだ。

ここを、常宿にする事に決めた一つの理由でもある。

「ふ〜ん、ルディ君はその子と仲良くなりたいの?」

俺は今、マスターが作ってくれたシチューとパンを食べながら、美少女姉妹に囲まれている。今のは姉のリラちゃんだ。

「まあ、そうだね。同じ新人冒険者として……」

「お母さん〜、ルディ君が浮気した〜」

ゴホゴホ、いきなり何を言うんだ。妹のキラちゃん。この子はマセてる。

二人ともホッペをプクッとしている。カワイイけど……

「コラコラ、二人共。ルディ君に迷惑でしょ、ゴメンなさいね。は〜い、お仕事よ」

女将さんのおかげで、何とか解放されたけど……本当にエスナさんと、仲良くなれたら良いな。明日、冒険者ギルドで分かるかな?

期待と不安の夜は……普通にフケていった。

翌日、俺は冒険者ギルドへと向かい歩いて行く。

多分、これからダンジョンに向かう所だろうか? 新人冒険者達が元気に走りながら、俺の横を通り過ぎていく。

もう、そこら中で冒険者パーティーを、組み始めたりしているみたい。俺もユニークスキル『運命の輪』に導かれた人がいるはずだから……エスナさんかな?

冒険者ギルドは相変わらず混雑してスゴイな。何か肩がぶつかったとかで、殴り合いしてるし……それを周りが面白がって、賭けが始まった。何かこういうの見ると、冒険者って感じがするね。さて、昨日はフィオナさんはエスナさんから事情なんかを聞けたのかな?

「あっ、ルディ君。おはようございます。昨日の事なんですが……エスナさんから事情を、聞けました。一応、本人の了解は貰っていますが……あまり良い話ではありませんが、聞きますか? もし、聞いた上でエスナさんに危害がいけば、私はルディ君を赦す事が出来ないと思います。でも、出来たら事情を聞いてあげて、ルディ君もエスナさんに協力して上げて欲しいです」

フィオナさんは俺に覚悟を聞いて、軽い気持ちならこの件から引けと言ってきた。深く関わろうとしなければ、模擬戦で割って入らないよ。覚悟ならあるさ……俺は男の子だし、困ってるカワイイ女の子の助けになるならね。