作品タイトル不明
私は知ってます
【元婚約者クリスティ視点】
私はクリスティといいます。小さな村ですがお祖父様は、村長を立派に務めています。お父様・お母様も素晴らしい方で、私も見習わないといけませんね。
ですが、私は周りに悟られ無いようにしている事があります。そう、子供の頃より私は、自分の価値をハッキリと分かっていました。
「私は、美しくしい。この世で一番にならないと……私は、輝かないとダメ。それには私を、一番にしてくれる殿方が必要なのです」
村の中には私と同じ年の、神童と呼ばれている少年がいました。始めは興味が、ありませんでしたが……幼少より魔力操作に長けて、顔や性格も悪くありません。狙い目かもしれません。
私は、自分の価値をよく知ってます。
周りの大人達はもちろん、子供まで私の事を『カワイイ』と絶賛してくれる。優しくしてくれる。
そう、神童と呼ばれていたあの子……ルディも一緒。
本当は、小さな頃に婚約者を決めるのはと思っていたの。けど、他の人がルディを狙っていた。
ルディの幼馴染ラウラ……彼女は分かりやすい。いつもルディについている。可愛らしい子。
ルディの義理姉ウルリケ……姉弟という事で、いつもルディの世話を焼いている。血は繋がってないらしく、結婚出来るんだって。いつも優しい人。
ルディの義理妹ルイーゼ……兄妹という事で、いつもルディに優しくされていた。この子も血が繋がってないらしく、結婚も問題ない。明るく人懐こい子。
『私は、自分の価値を知ってるの。村の中では、ルディが一番私を輝かせてくれる。だから……』
私はお祖父様にお願いして、ルディと婚約をして貰った。幸運な事に、ルディの実家は村でも有数の家。私の提案は、家族にも喜ばれた。ルディの実家を、村長一派に取り込めるから。
周りの女の子も、これで諦めるだろう。
だけど……私はまだ子供なの。これから出会いがあるかも知れない。その時に、ルディよりも私を輝かせてくれる人がいたら。そんなの答えは決まってるわ。
その機会は、すぐに訪れたのよ。そう、スキル授与をされた日に……私は『回復魔法師』になれた。これは予定通りね。この為に、教会へ通ったり勉強頑張ったりしたもの。私は憧れの『聖女様』になるのです。
自ら輝けるし……『聖女様』なら国の王子様だって……
しかし、想定外な事が起こりました。神童と言われていた、婚約者ルディが『スライム』などという最弱魔物しか従えるしかないハズレスキル。
私は他の女達に、盗られないように婚約したのに……本当に期待外れな男ね。
『私を輝かせてくれない、ルディなんか……私の価値に見合わないじゃない、それに比べて……』
そう、ルディはハズレスキルだったが……同じ年の幼馴染ランドルフは、なんと伝説の『勇者』だったの。ランドルフが、私に気があるのは知ってるわ。
奴隷というのが引っかかるけど……それもすぐに解決した。なんと、平民になり、貴族の養子になる事まで決定した。しかも、優秀な者しか通えない学園に、行くらしいの。
私のランドルフの好感度が、天井知らずで上がっていく。なんなら、王子様よりも……
勇者ならこれ以上ないくらい、私を輝かせてくれるはず。しかも、ランドルフなら……フフフッ。
私はすぐに、ランドルフにモーションをかけた。
谷間を強調する服に、スカートも短くしたわ。
私の色香に勇者といえども、逆らう事は不可能ですよ。
ランドルフは面白いように、引っかかってくれますね。扱いやすいのも、プラスです。
すぐに私を求めて、その日のうちに……『勇者』逃がしませんよ。しっかりと、身体で払いましたからね。私は、安くありませんからね。
その後に村中の女達を求めた時は、呆れましたが私が文句を言えば離れて行くでしょうね。
逆にランドルフの相手を、他の女達に押し付けられると思っておきましょう。結果良しですね。
後は、ランドルフと一緒に学園に通い、結婚して、勇者の子供を産めば完璧だわ。
やはり私の人生は輝くのだわ。
ルディも、ランドルフさえも、踏み台にして……
ランドルフは本当に、扱いやすいわ。身体さえ与えていれば、言う通りになる。本当におバカさんね。カワイイわ。私に与えてくれるから愛してあげるわ。
そんな日々も、風土病『クラウチダウン』以降に変わってしまったわ。私達が悪いワケではないのに、狩りに行かされ……ダメだと今度は、農作業をさせられた。なんで、美しい私が泥だらけになって……
それも一段落したと思ったら、今度は魔物の氾濫『スタンピード』です。
私は、死にたくない。こんな所が、最後なんて。まだ、私は輝けるのよ。私は……ランドルフ達と逃げ出しました。
「そうよ。美しい私が、傷つくことは絶対にダメよ。輝けなく、なっちゃうじゃない」
私は自分に言い聞かせて、ランドルフと一緒に故郷を見捨てたの。後悔はないわ。すぐに学園だし、私には関係ないもの。村人は可哀想だとは思いますが、美しい私の礎になれるなら……そう思っていました。
それで何故、村長であるお祖父様やお父様・お母様まで、奴隷にならないといけないのですか?
私の目の前で、騎士様に連れて行かれる家族達。
ランドルフに、頼んでもダメでした。
ルディなら……私は人が一杯いる道で、精一杯謝りました。美しい私が服を汚しながら訴える様は、民衆の心を奪ったに違いありません。
ルディも、愛している私が頼んだのです。喜んで家族達を助ける為に、動いてくれるはずです……アレ?
冷たい目で、見られました。その顔には感情がなく、恐怖したのです。しばらくするとルディは、街を去りました。
私はその後、襲撃されて刺されたランドルフを看病しながら思うのです……ルディと婚約者のままだったらと。
ランドルフが回復するまで、私も学園入学を延期して今日も考えているのです。
「美しい私が、こんな所で終わらない。必ずランドルフを立派な勇者にして、幸せになってみせます」
私の人生は、まだ始まったばかりですからね……