軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スタンピード

俺とアオイの冒険者デビューに向けての準備も出来て、残り二週間で成人する日の何気ない朝だった。

俺達は狩りをした魔物をこの周辺一番大きな街『モラーザ』で取引きをしてから、食料や日用品などを故郷へ売りに行く為に大量に買い物をしていた。

それは、故郷へ帰る為に城門を出てすぐの事だった。

俺も知ってる村人が故郷に数頭しかいない馬で、慌ててモラーザへ走って行った。俺も只事じゃないと思い追いかけると、冒険者ギルドへ行ったみたいだ。

俺も入ると……村人は入り口付近で土下座をしていた。

「……頼む、助けてくれ。村が多くの魔物に襲われた。俺は知らせる為に伝令として急いで馬で来たが、それでも襲われてから一日以上がたっている。だから頼む……」

「おいおい、多くの魔物ってどのくらいだよ。魔物の種類なんかは? 村の防衛力は? 報酬はどのくらい出せるんだ?」

う〜ん、なるほどね。村で払える金なんてほとんど無いはず。それで動く冒険者など居ないだろうな。

「多分、数は分からないけどかなり多い。種類は狼型の魔物だった。何匹かは人よりも大きかった。村は木の柵を村の周り全てに。空堀も囲んである。報酬は……正直あまり出せない」

ざわざわ……冒険者同士で話し合いしているが聞こえて来るのは、

「ダメだな、見送りだ」「ムリムリ」「村の次はここかも、今から逃げるぞ」「報酬次第なんだがな……」

誰も動かないな。そうだろうな。ギルドの強制依頼なんかも、報酬ありきだしね。

冒険者ギルドも故郷よりも、モラーザの防衛を考えているだろうな。

恐らくは村は、見捨てられるだろうな。

俺は冒険者ギルドから出て、故郷へ向かう決心をしていた。まさか後、数週間でオサラバだったのにな。

「おいおい、俺が故郷を潰す前に、魔物なんかに取られてたまるかよ。故郷を潰すのは俺だぞ〜」

身体強化を使い走り出す。前は一日半歩いて、走って一日だった。俺は強化魔法を自分かけて、さらに身体強化スキルで走り出す。多分このスピードなら、午後には着くはず。多分、故郷は……それでも行くのさ。

【ルディの故郷】

その日もいつもと同じ、普通の朝だ。村人は風土病『クラウチダウン』からの復興で大忙し。畑も全滅で売れるモノがなく、今までの蓄えでやってる家がほとんど。

村長一派が特効薬を自分達で、独占したツケだ。

元々、三百人はいた村人は、今は二百人になっていた。この村を捨てて、出ていった者が多かった。

村長一派や勇者達は風土病から村を守れなかったから、今は大人しく農業をさせて復興も目前にまで迫っていた時だった。

急に村の門の方が騒がしくなり、スゴイ音を立てて閉められた。

「アウォォォ」もの凄い遠吠えが聞こえた。

その後に……

「恐ろしい程、魔物がたくさん村に向かっているそうだ。外に出ていた村人から報告があったぞ。戦える者、男衆は武器を持って集合だ」

村に響き渡る怒号と泣き声。本当に瞬きをしている瞬間でいつもの何気ない日常から、血と埃が舞う戦場に早変わりしてしまった。

村にいる戦闘職を授与された者達を中心に、男衆も必死に応戦している。

村を魔物に囲まれる前に、モラーザへ一人だけだが救援を出す事に成功したのが救いだ。ルディの言う口うるさい門番のおかげで村の侵入は防げたが、彼はもう……

村には狼型の魔物が来襲。その数は二千匹を、越えていた。それに対して村には二百人程。これは老人や子供を含めてだ。純粋に戦える者は、百にも満たないだろう。

しかし、村には伝説の勇者が……

「ヒィ〜、こんなに数が多いなんて聞いてないぞ。あんな大きな口で噛まれたら痛いじゃないか。まずはお前らが数を減らしてから、勇者の出番だからな。分かったら行けよ。お前達はコッチだ」

え〜、勇者君は逃走しましたとさ。村人は啞然として動ける者はいなかったが、魔物には関係無い事だ。

村人の抵抗が弱くなった隙に村の木柵を突破するべく、果敢な突進を繰り返した。

村にはまだ犠牲者は出てはいないが疲労が凄く、何処かを突破されてしまうのは時間の問題だろう。

勇者達はその頃、村を出る為の支度を整えていた。

約二千匹の魔物なんて無理だとすぐに判断して、逃走を考えていた。ランドルフにとっての村は故郷というよりは、無理やり働かされる気に入らない場所という感覚のようだ。

そんな場所を守るような正義感など、ランドルフは持ち合わせていなかった。

周りの女達も、勇者ランドルフが言う事をよく考えもしないで盲目的に信じてしまっている。

ランドルフは彼女達に村人が中から『俺達は外から攻撃して挟み撃ちにする作戦』だと……まさか逃げ出そうとしているとは思っていないようだ。

ランドルフの作戦を真に受けて、村の防衛の為にと金品まで集め始める。村の外から行うゲリラ戦には、金銭が必要だと……まるで火事場泥棒だ。

村人達は老人や子供や女性なども魔物の対応でかかり切りで、財産にまで気を回している者達など……いた。

ルディの両親と、クリスティの親族村長一派だ。

彼等は村の有力者達。他の村人より財産も多く、魔物の対応よりも自分達の財産保護を優先していた。

ルディ家の家畜を馬車に繋ぎ、その中に金銭や貴重品などを積み込み、脱出するつもりのようだ。

ランドルフ達も村長一派やルディ両親などと合流して、村中の金品を持ち帰り一緒に村を出ていく。ラウラの父親も負傷が癒えていなくて、馬車の御者をしていた。

この選択が村の命運を……勇者は逃げ出した。