作品タイトル不明
風土病の特効薬
冒険者パーティー『クリムゾンダンス』に冒険者としてのイロハを習う為に、冒険者ギルドに依頼をした。
モラーザの冒険者ギルドで、待ち合わせをしていた。
俺を助けてくれた赤髪の剣士ベルナール。
冒険者パーティー『クリムゾンダンス』のリーダーでもある。
魔法使いリリン、お色気お姉さん。
盾役ジャン、大柄な筋肉質なアニキ分。
シーフ キャシー、獣人のネコ族の女性。
僧侶 ダニエル、聖職者の神父様という感じ。
「今回は依頼を受けて貰い、ありがとうございます。改めてルディといいます。冒険者として生きていく為に、俺に色々と教えて下さい」
俺は頭を下げてお願いした。これは先輩冒険者を敬うのと、俺のこれからの人生を掛けたモノだから。
「ああ、分かってるさ。依頼だからってのもあるけど、男として独り立ちしたい、との願いは叶えてあげたい。だから俺達は出来る限り、ルディ君に教えるつもりだよ」
なんて、良い人達だろうか……冒険者ランクBだけはあって人柄も素晴らしい。少し性格が悪い自分を、恥じてしまうけど……無くなった左腕をさすり、やはり許せないと新たに心に刻み込む。
「そこで提案なんですけど、最初は俺の村の近くに移動してからやりませんか?」
「ん? あの村か……いいけど、どうしてか聞いてもいいかい?」
「はい。少し人助けと、金儲けをしませんか?」
詐欺でもない限り、この二つの理由があるモノを断る冒険者はいないだろうな。しかも成人してない子供からの提案だから、詐欺は無いだろうからな。
「どういう事かな? 詳しく教えてくれないか?」
「もちろんです。皆さんは『クラウチダウン』って知ってますか?」
「たしか、あの村付近で流行る、風土病だったと思います」
さすが回復職のダニエルさん。ズバリ当ててますね。
「その通りです。その『クラウチダウン』を治す薬があるのですが、それがホーンディアのツノなんです」
「おっ、ホーンディアを狩りたいって事か? そういえばこの時期に依頼が出る事が多いのは、薬を作る為だったのか……」
「あっ、ホーンディアは既に狩って今、この街の薬師に調合してもらってます。それを近隣の村に売りに行きたいのです」
俺は人助けにも金儲けにもなる提案を『クリムゾンダンス』にした。当然彼らは……
「おお、素晴らしいね」「いいね、やろうよ」「最高じゃないか」「人助けも冒険者としての仕事です」
と、ノリノリな様子です。
「ありがとうございます。ウチの村は最後で構いませんので、困っている人達を助けましょう。クリムゾンダンスの皆さんには護衛代も合わせて、報酬に上乗せする形でいかがでしょうか?」
俺は右手を彼らの前に出す。
「もちろんだ。宜しく頼むよ」
ガッチリと握手した。こうして無事にクリムゾンダンスと合流して冒険者として色々と叩き込んで貰うのと、蔓延する風土病『クラウチダウン』の薬を売る為に再度故郷へと旅立つ。
なんか騙したようで悪いけど……ちゃんと人助けにもなるし良いよね。
モラーザでの用事が済んだので、故郷の村の周辺から回っていく。今年は俺が乱獲? したからかホーンディアの数が少なく、訪れる村々で歓迎された。
飛ぶように売れていく『クラウチダウン』の特効薬。
故郷の村に着く頃には、残りも少なくなっていた。
「しかし、ルディ君。良かったのかな? キミの故郷を一番後回しにしても……」
「大丈夫だと思いますよ。狩人のオジサンはケガしてしまいましたが……なんて言っても『勇者』やその他レア職業を、ありがたくも授かった女達がいますから。だからその分、他の村に回してあげないと……」
「なるほど、そうだね。戦力があるならホーンディアを自分達で狩って、薬にすれば良いんだからね」
そう、ヤツらが狩ってればだけどね。
「そうですね。ホーンディアのツノ一匹分で、十人分の薬が作れますから。俺が村を出る時は、狩人のオジサンが二匹狩って来たらしいですからね。流石に誰かが、取りに行くと思いますよ」
そんな感じで一番最後に廻した故郷に来た俺とアオイ、冒険者パーティー『クリムゾンダンス』は……
う〜ん、想像以上だね……っていうか、何これ?
普段の故郷の村は、農業を生業にしている家が多くある。当然、畑がそこら中にあり、これぞ『ザ・田舎』という感じ。
それが畑は草ボーボーな、状況になっている。
今は気温も高くすぐに草が伸びる。それでもこの惨状は……
あーあ、一応最悪を予想していたけど……やっぱりダメだったんだな。
この状況に『クリムゾンダンス』のメンバーも様子が、おかしいと感じていた。
街道を進んで村に近づくと、そこには廃村? と思えるような人の気配がしない、故郷の村になっていた。
門番がいつもガミガミと文句を言うのだけど、立ってるのも辛そうな感じで槍を杖替わりにしている。
俺はそれを見てから、
「チョリース。ルディがただいま帰りましたよ」
と、元気に挨拶してみた。やっぱり挨拶は人間の基本だしね。
目線をこっちに向けたが、返事もしない門番さんに『バイバイ』っと手を振ってから村の中に入っていく。
村の中も道端も草がそこら中に生えて、やっぱりゴーストタウン化してるみたい。本当に村中、風土病に冒されてしまったみたい。