軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第086話 多分、エレノアさんのせい

強化ポーション(防)の実験を終え、2人でゆっくり飲んだ翌日は完全なフリーだったため、買い物に出かけたり、家でゴロゴロして過ごした。

その次の日は1日中、実験をした。

レベル1の回復ポーションとレベル2の回復ポーションを混ぜたりすると、どうなるのかとか、色々と試してみた。

夜にカエデちゃんにはバカにされたが、これも錬金術の進歩のためである。

なお、特に成果という成果はなかった。

レベル1の回復ポーションとレベル2の回復ポーションを混ぜたらレベル1の回復ポーションが2個になったし、TSポーションと透明化ポーションを混ぜたらただの水に戻った。

そして、金曜日。

この日はヨシノさんとリンさんと新しい冒険に出かける日だ。

俺はカエデちゃんに起こされ、準備をすると、2人でタクシーに乗り、ギルドに向かう。

ギルドに着くと、カエデちゃんとは一旦別れ、更衣室で着替える。

当然、この日も平日の朝なため、他の冒険者はいなかった。

俺は着替え終わると、更衣室を出て、受付にいるカエデちゃんのもとに行く。

「さっきぶりー」

「でーす」

カエデちゃんがかわいい笑顔を見せてくれた。

「今日も5時だったよね? 一緒に帰ろうよ」

「そうしましょう。今日はお鍋にでもしますね。私、得意なんです」

具材を切って、鍋に投入するだけだもんね。

「寒くなったもんなー」

「ですです。先輩はミレイユ街道でいいですか?」

「だね。ヨシノさんとリンさんと行く」

両手に華だね。

「わかりました。その2人と一緒なら危険はないと思いますけど、絶対に煽ったり、イキったりしてはダメですよ」

カエデちゃん、優しいのは良いんだけど、たまにお母さんみたいになるなー。

「大丈夫だよ。リスペクトが大事!」

「よろしい。じゃあ、これが先輩の刀とステータスカードです」

カエデちゃんがものすごい笑顔で刀とステータスカードを渡してきた。

俺はカエデちゃんの笑顔が気になって、ステータスカードを見てみる。

----------------------

名前 沖田ハジメ

レベル7

ジョブ 剣士

スキル

≪剣術lv6≫

≪話術lv1≫

≪挑発lv1≫

☆≪錬金術≫

----------------------

挑発……

うん。

そら、お母さんみたいになるわ。

「大丈夫。リスペクトが大事!」

「頑張ってください…………あ、でも、モンスターに挑発すると、ヘイトを稼げますんで有効に使ってください」

ヘイトを稼ぐ?

「どうやってモンスターを挑発すんだよ」

「適当に何かを言えばいいです。『かかってこい!』でも『ざーこ、ざーこ』でもいいです」

ざーこ、ざーこって……

エレノアさんが言えばいいの?

あの人、26歳よ?

キツいって……

「まあ、やってみるわ」

ざーこ、ざーこはともかく、ナナポンがいるから使えそうなスキルではある。

「頑張ってください」

「わかった。じゃあ、行ってくる」

俺はステータスカードをしまい、刀を持つと、カエデちゃんに手を振りながらゲートに向かう。

ゲート前に来ると、ミレイユ街道を念じながらゲートをくぐった。

ゲートをくぐった先は草原や川、木々が見える平地だった。

そして、ゲートの先には石でできた1本の道がある。

ここがミレイユ街道と呼ばれるエリアである。

ミレイユ街道はその名の通り、道ではあるが、この道をずっと行けるわけではない。

途中で立ち入り禁止の看板があり、そこから先は行くことができないのだ。

街道と言うくらいだからそのまま行けば、フロンティア人が住む街があるのかもしれない。

だが、それを確かめるすべはない。

ここだけでなく、どこのエリアも探索できる範囲は決まっており、それ以上は進めないという立ち入り禁止の看板がある。

そして、そこには自衛隊の警備員もいる。

もし、そこを無理に進もうとした場合、拘束で済めば良い方である。

噂によると、自衛隊員が普通に攻撃してくるらしい。

だから冒険者は皆、そこまで行くことはない。

まあ、行く意味もない。

俺はゲート前にいる冒険者達を見渡す。

冒険者達はあきらかにこれまでに見てきたエデンの森やクーナー遺跡にいた冒険者達とは異なっている。

まず、皆、数人で集まっており、ソロはいない。

しかも、装備もきちんとしている。

エデンの森やクーナー遺跡では俺のようなジャージを着た人もいた。

だが、ここでそんな服を着た人はいない。

はっきり言って、俺は間違えて来た人にしか見えないだろう。

俺は誰もいない場所に行き、ヨシノさんとリンさんを待つことにする。

しばらく待っていると、ゲートから黒髪ポニテの女性が現れた。

もちろん、リンさんである。

しかし、リンさんしかおらず、ヨシノさんの姿が見えない。

周囲を見渡しているリンさんを見ていると、目が合った。

すると、リンさんはまっすぐ俺のもとにやってくる。

「やあ、おはよう」

リンさんが明るく手を挙げて挨拶してきた。

「おはようございます! 本日はよろしくお願いいたします!」

俺はビシッと斜め45度で頭を下げる。

「沖田君、まだそれでいくのか?」

リンさんの声色から呆れているがわかった。

「実は散々、イキるなって言われましてねー。しかも、さっき、ステータスカードを見たら挑発のスキルが出ていました。これはマズいと思いまして」

「普通にすればいいだろ。っていうか、同い年なんでしょ? 敬語はやめてよ」

この人も26歳か……

「そうかなー? じゃあ、タメ口で…………あ、イキったり、煽ってたら言って。カエデちゃんに嫌われちゃうし」

「別にいいと思うけどね。他の冒険者もたいして変わんないし、カエデにイキってるわけじゃないんでしょ?」

「そらね」

カエデちゃんは優しいもん。

というか、後輩女子にイキらんわ。

「じゃあ、いいじゃん。私らはさー、ランクっていう格付けで一喜一憂するんだもん。似たようなもんだし、煽ったりもするよ、Dランク」

Bランクがマウントをとってきた。

「これがCランクならイラっとするかもだけど、Bランクだとそんなだなー……」

まだ先すぎてピンと来ない。

「まあ、そうだろうね。あ、Dランクおめでとう」

「ありがと。それでヨシノさんは?」

「もうちょっとしたら来るよ。あいつ、準備が遅いんだ」

ふーん……まあ、女子は時間がかかるかもね。

俺も沖田君とエレノアさんではエレノアさんの方が時間がかかる。

「リンさんも剣なんだな」

リンさんの腰にはヨシノさんと同様にショートソードが見える。

「まあね。あ、私も一応、魔法が使えるよ」

いいなー……

「ヨシノさんもだったけど、刀は使わないの? 剣術をやってたってことはこっちじゃないん?」

俺は手に持っている刀を見せる。

「あー……それね。私らも最初は刀だったけど、途中からやめた。ショートソードやロングソードの方が良い品質のものが多いんだよ」

俺の刀は50万だが、お店に売っている刀は高いのでは500万くらいのもあった。

だが、逆を言うと、ヨシノさんの億クラスがないのか……

「リンさんのショートソードも億?」

「いや、私は3000万円」

高いなー……

「なんか良いことあるの? 切れ味?」

「切れ味もいいね。それに軽いし、この剣は2、3メートルなら伸ばせる」

なんだそれ!?

「剣が伸びるの?」

「そうそう。すごいだろ?」

確かにすごい!

さすがは3000万円!

「まあ、あんたも徐々に稼いで良い剣を買いな」

うーん、もう買えるな。

でも、エアハンマーが使えるマジックワンドも持ってるしなー。

「考えておきます」

「色々と見てみるといいよ。目移りするけどね」

俺達が話をしていると、ゲートからヨシノさんが出てきた。

「あ、ヨシノさんだ」

「ようやく来たか……」

リンさんがやれやれといった感じで首を振っていると、ヨシノさんが俺達のもとに走ってやってくる。

「悪い。遅れた」

ヨシノさんがそう言って謝ってくるが、まだ約束の時間である9時にはなっていない。

「いや、大丈夫だよ」

「まだ時間じゃないしね」

俺とリンさんは気にしてないように手を横に振る。

「ごめん、ごめん。ところで、何を話していたんだい?」

「沖田君がイキりすぎて挑発のスキルを手に入れたって話」

いや、確かにその話もしたけど、他にもあっただろ。

「やっぱり? レベルは? 6?」

こいつ、地味に剣術レベルのことを根に持ってやがるな……