軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第273話 暑いのも寒いのも嫌

エメラルダス山脈の洞窟の地図作成の仕事が終わった翌日、朝早く起きた俺達は珍しくアルクとカエデちゃんの3人で朝食を食べる。

「朝は辛いねー」

「ホントですよねー。今日も受付です。ナンパがうぜー、うぜー。左手の指輪が見えねーのかってんだ」

カエデちゃんのテンションが異常に低い。

「カエデちゃんはかわいいからねー。ストーカーとかいたらいつでも言ってね。殺すから」

「先輩というか、エレノアさんのストーカーなら知ってますよ」

俺も知ってる。

「そいつはいいや……」

良いところも…………あるか?

あるか……

きっとあるだろう。

「まあ、そうですね。さて、私は仕事に行ってきます」

朝食を食べ終えたカエデちゃんが立ち上がる。

「頑張ってね」

「私よりも先輩ですよ。気を付けてくださいね」

「カエデちゃんに俺の華麗な剣技を見せたいわー」

「いえ、いいです。電信柱も机も斬らないでください」

いや、斬らんわ。

カエデちゃんはそのまま出勤していったので俺とアルクもさっさと朝食を食べ終えた。

そして、部屋に戻ると、エレノアさんにチェンジし、黒ローブを着てリビングに戻る。

すると、すでにアルクがおり、鎧を着て、待っていた。

そんなアルクを眺めながら席につくと、ミーアが淹れてくれたコーヒーを飲む。

ミーアが俺の後ろに回り、髪を整えてくれた。

「度胸は?」

「事故が怖いじゃん」

ダメだこりゃ……

「まあ、勝手にすればいいけどさ」

「さっき部屋で着替えてたら寝ているリディアに睨まれたよ」

鎧を着るのはうるさいだろうしな……

俺でも睨むと思う。

「少しは配偶者のことを考えなさいよ」

俺なんてカエデちゃんのことしか考えてないぞ。

「わかってるよー……そろそろ行こうか」

アルクがそう言って、コーヒーを飲み干す。

「どこに飛ぶの?」

「まずは陛下のところ。話があるんだってさ」

「ふーん……了解。送ってちょうだい」

俺もコーヒーを飲み干すと、立ち上がった。

「じゃあ、行くよ。ミーア、後のことをお願い」

「かしこまりました。お気をつけて……」

ミーアが頭を下げながらそう言うと、アルクが手を掲げた。

すると、一瞬にして視界が変わり、地下屋敷の食堂にやってくる。

食堂にはすでに王様がおり、席についていた。

「おはよう」

王様が頷きながら挨拶をしてくる。

「おはよう。犯人が見つかったそうね」

アルクと共に王様の対面に座りながら聞く。

「ああ。ヨシノが言ってた奴だった」

「誰? 偉い人?」

「そうだな。ウチの貴族だ。しかも、重鎮の1人だな」

そんな奴が次期王の暗殺か……

「動機は?」

「あれは本来の次期王だった私の長男の側近だった男だ。私の子はアルクを残して皆死んでいるが、それに疑問を抱いたようだな」

アルクがやったと思ったか、アルクを王にしたいと思った王様がやったと思ったか……

「実際はどうなの?」

「そんなことをするわけないだろう。それはお前が一番わかっているはずだ」

アルクは王子じゃないもんね。

本当は継承権すらない王女様だ。

それに正直、アルクは王位にそこまで執着していない。

誰もいないから選択肢がないだけだ。

「そうね……王様、あのお披露目会でその男が動くことを知ってたわね?」

「ああ。知っていた」

だと思ったわ。

「だからわざわざ私達に護衛を頼んだわけだ」

「そうだな。最初は兵士に護衛させることを考えたが、兵士が裏切ったら敵わん。しかし、お前達はその心配がない」

関係ないもんね。

それに別世界の人間だから買収もできない。

「裏の脱出路から刺客が来たのは?」

「それは想定していなかった。他にも裏切者がいてな……それで調査に時間がかかったが、逆に言い逃れのできない証拠も掴めた」

裏切者が多いなー……

「想像以上に人望がないわね」

「王が代わる時はいつもこんな感じだ。私の時もそうだった。ましてや、この状況ではな……」

例の錬金術師のせいで不安定だからか……

「まあ、犯人がわかったのならいいわ。良い見せしめになるでしょう」

「そうだと思いたいな。アルクの護衛を頼む」

「ええ。暇だし、かわいい弟子のために頑張りましょう」

ぶった斬ってやるぜ。

「うむ。頼もしいな。では、アルク、行ってこい」

「わかったー」

軽いな、こいつ……

「そいつの家に飛ぶの?」

「まずはこの前、パーティーをしたところだね。そこから歩いていく」

「わかったわ。行きましょう」

そう言って立ち上がると、アルクも立ち上がり、手を掲げる。

すると、視界が変わり、この前のパーティー会場にやってきた。

「外に出るよ」

「今さらだけど、外に出ても良いの?」

「うん、大丈夫。よく考えたら君らって情報をフィーレに流しようがないもん」

まあ、流す気もないし、それをするメリットがないからな。

なんだったら次期王様、王妃様夫妻と一緒に暮らしているし。

「まあ、流すなら外よりももっと大事なことを知っているしねー」

滅びかけていることとか、アルクが実は王女様なこととか知ってはいけないことを知りまくっている。

「お互い様だよ。錬金術師のハジメ」

まあ、そうだな。

こいつらも知っている。

「持ちつ持たれつの関係でいきましょうね」

「それがいいよ。クーラー最高だもん」

やっぱりこいつもクーラーに堕ちたか……