軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第499話 オフシーズン

突然変異のアイスアックが見つかった日から一週間が経過した。

すっかり季節も移り変わりつつあり、畑も秋に向けて何も育てていない状態となっている。

アイスアックについてはまだ何も分かっていないけど、ハラリエルさんたちは順調に働き始めてくれている様子。

ちょうど夏の作物が終わったこともあり、畑で働くナハスさんとヴァルステラさんには、ゆっくりと時間をかけて教えることができたのは大きい。

ハラリエルさんの働く『サトゥーイン』は、連日大賑わいを見せており、ゆっくり教える暇がない状態らしいけど……仕事ができる方のようで、忙しい中でも仕事をしっかりと覚えてくれているようだ。

というか、既に戦力になっているようで、ソアラさんやルナさんよりも使えるとルーチアさんが言っていた。

それはそれでどうなのかとも思ってしまうけど、ハラリエルさんが戦力になってくれているのはありがたい。

三人には今後とも頑張ってもらうとして、やることのない季節の合間とはいえ、今回はゆっくりしている時間がない。

漫画の件が収まっておらず、諸々の確認をしに行かないといけないのだ。

まずは王都へ行き、広告を務めてもらっている冒険者パーティを含め、この目で確認したい。

その後はルダークの街へ赴いて、久しぶりにクリスさんと直接お話がしたい。

ベルベットさんから漫画の二巻分のネームが届いており、クリスさん次第では本格的に二巻の制作に移りたいと思っている。

一巻の売り上げが伸びている最中だろうし、製造が追いつくのかが一番の問題点。

このタイミングを逃すと、次は冬にならないとルダークへは行けないからね。

クリスさんのお店で買い物もしたいし、久しぶりにルダークへ向かおうと思っている。

ということで、私はシーラさんに声をかけ、一緒にルダークへ行く方たちを募ることにした。

行きたいと言ってくれた方は多く、複数の班に分かれて向かうことに決まった。

私はシーラさん、ルーアさん、ジョエル君との班であり、ルーアさん以外は知り尽くしている感のあるお馴染みの方々。

逆に言えば、ルーアさんとは意外と話す機会がないため、この小旅行の間に色々と聞ければと思っている。

単純に旅行として楽しみではあるものの、まずは王都でやるべきことをやらなければいけない。

ルダークへは明日出発予定のため、みんなが準備をしている間に、私は一人で王都へと向かうことにした。

アッシュの速度が日に日に上がっていることもあり、十五分ほどで王都へ到着。

もはや近所くらいの感覚であり、この距離に王国で一番大きな街があるのは、改めてありがたすぎる。

田舎の大自然で暮らしつつ、すぐ近くに大きな街があるというのは、あまりにも理想的な立地だと思う。

そんなことを考えつつ、まずは『ニールマート』へと向かう。

少し前までなら考えられない光景ではあるが、『ニールマート』前には多くの人だかりができている。

ほとんどのお客さんが漫画を買いに来てくれていると思うと、それだけでニヤニヤが止まらない。

私はそんな大勢のお客さんを見つつ、裏口から『ニールマート』に入る。

「あっ、佐藤さん。来はったんですね」

「急に訪ねてきてすみません。凄い人ですね」

「はい。日に日に漫画の売り上げが伸びております。クリスさんからぎょうさん漫画を送っていただいていることもありまして、お客様が途絶えることがございません」

「順調そのものなら良かったです。店主さんは大丈夫そうですか?」

「最初は嫌がってはりましたけど、今では乗り気のようです。売上金の額を見て、やる気に変わりはったみたいですよ」

それなら一安心。

店主さんにもう嫌だと言われてしまったら、別のお店を探さないといけなくなるからね。

『ニールマート』の宣伝もしているし、できればここで売り続けたい。

そして、いつかは増築したいとも考えているんだけど、この案はさすがに胸の内に秘めておく。

「全てうまくいっているんですね。人手も足りていますか?」

「佐藤さんが新たに雇うてくれはったおかげで、人手も問題あらしまへん。私もたまに店番のお手伝いをしておりますけど、基本的には『サトゥーイン』関連に専念できております」

「うまく回してくださり、ありがとうございます。レティシアさんがいてくれて良かったです」

「それは私の台詞ですよ。私にお仕事を任せてくれはって、ありがとうございます。おかげさんで、充実した毎日を送らせてもろております」

一瞬、気遣いの言葉かとも思ったけど、レティシアさんの表情は本当に楽しそう。

本心かどうかを見極めた方がいいとは思うが、ひとまず楽しそうにしてくれていることに安心した。

「レティシアさんにお礼を言われるのはおかしいですよ。私が助けてもらっている立場なのですから」

「助けられているんは、お互いさまということです。それで、佐藤さんはお客様の入り具合を確認しに来はったんですか?」

「客入りも含め、漫画関連の確認ですね。宣伝のことや次巻についても話に来ました」

「そうやったんですね。ひとまず、冒険者パーティからは現状維持という連絡を受けております。契約では、三ヶ月は続けんとあきまへんでしたよね?」

「はい。三ヶ月は継続する契約になっています。レティシアさんから見て、宣伝に効果はあると思いますか?」

以前同じような質問をしたときは、効果は分からないというものだった。

今回も同じような返答かもしれないけど、一番近くで見ているレティシアさんの意見に従うのがいいだろう。

「うーん……。絶対やと保証はできまへんけど、宣伝の効果は高いと思うております。冒険者の方の割合が多いこともそうどすし、綺麗な右肩上がりが続いておりますのは、宣伝による効果やないかと思います」

「レティシアさんがそう言うのであれば、間違いはありませんね。話してからの決断にはなりますが、契約の延長と報酬の増額を提案したいと思います」

「全面的に信頼されるいうんは、怖いもんどすね。宣伝効果が薄かった場合は、申し訳ございません」

「気にしないでください。宣伝費が気にならないくらいの売り上げを出せていますしね」

そもそもこの世界に広告という文化がないため、宣伝費用が異様に安い。

宣伝は打ち得まであるため、結果はどうあれ気にしないでほしいところ。

そもそも決めたのは私だしね。