作品タイトル不明
第495話 従魔の異様さ
『サトゥーイン』の紹介を終えたところで、二人の住む家へ案内した。
ナハスさんほど喜んではいないものの、家の広さや造りにも満足してくれていた様子。
家のカスタマイズは追々やってもらうとして、一度ナハスさんと合流したい。
その後はみんなの紹介をしつつ、夜に行われる歓迎会に備えたいところ。
「えー、もう行かないといけないのかよ! 俺はここに残っていたい!」
「部屋については後でやってください。命令で来た以上、佐藤さんに迷惑をかけてはいけませんよ」
「ちぇっ、しゃーねぇな」
渋るナハスさんをハラリエルさんが説得してくれ、ようやく部屋から出てくれた。
単純な紹介だけでは飽きそうな雰囲気しか感じないため、最初から興味を持ってもらうという意味も含めて、まずは従魔たちから紹介するとしよう。
ということで、ナハスさんの家からも程よく近いスライムパークにやってきた。
スライムの数には驚いているようだけど、あくまでスライムということで反応は薄め。
「ナハスから聞いてはいましたが、魔物と一緒に暮らしているって珍しいですね」
「あんな野蛮な生物と暮らせるなんて変わっている」
「敵意のない魔物は可愛らしいですよ」
毒を吐くヴァルステラさんに、近づいてきたスライムを抱っこして見せる。
ただ、可愛さは理解してくれなかったようで、怪訝そうな顔で首を捻った。
「別に可愛くはねぇな! このスライムは佐藤が飼ってんのか?」
「うーん……。私の従魔のスライムがいるんですが、そのスライムの仲間みたいな感じです」
「スライムのボスを従魔にしたということですか。そのスライムには会ってみたいですね」
「呼べば来ると思いますよ。ライム、いますか?」
私がスライムパークの外からライムの名前を呼ぶと、声に反応したようで、空からライムが飛んできた。
どうやら飛び降りてきてくれたようで、そのままジャンプして飛びついてきた。
「うわっ! 別のスライムも抱っこしているので、飛びつかないでください」
「これがボスのスライム。……確かにスライムにしては強そうだ」
「そうかぁ? ただの色違いのスライムにしか見えねぇけどな!」
私に飛びついてきたライムをぷにぷにしながら、そんな発言をしているナハスさん。
ナハスさんの実力は分からないけど、戦ったらライムが勝つんじゃないかと思うんだけどね。
「……かなり強いですよ。何かがスライムに擬態しているのではと思うぐらいの力を感じます」
「俺には分からん! ちょっと手合わせしてぇな!」
「機会は別であると思いますので、そのときに手合わせしてください」
「今は駄目だってよ! 軽く遊ぶだけなのにな!」
それからスライムパークを一通り見てから、他の従魔の紹介も行った。
多種多様な魔物の数々に興味を持ってくれたようで、三人が一番興味を示したのはクロウ。
同じ翼を持つからか、空を飛ぶクロウに目を奪われている印象。
進化してからは翼の鉄っぽさも相まって、見た目がさらにかっこよくなったからね。
「なんか急にかっこいい魔物が飛んでやがる! ドラゴンみたいな見た目だな!」
「スライムのボスもそうでしたが、変わった魔物が多いですね。佐藤さんの影響なのでしょうか?」
「進化を遂げているからだと思いますよ。元はみんな普通でしたからね」
「魔物って進化するのか!? 初めて知ったぞ!」
「魔力塊を与えると進化します。全ての魔物が進化するのかは分かりませんが」
「魔物は倒すものというのが我々の認識ですからね。そんな生態があるとは考えたこともありませんでした」
インパクトもあったようで、三人は興味深そうにクロウを眺めている。
とりあえず退屈そうな気配は完全になくなったため、このままみんなの紹介をしていこうかな。
三人と一緒に村を回り、軽い挨拶をして回った。
ヴェレスさんと敵対しているというだけで、悪い方々ではないため、みんなも上手く付き合ってくれると思う。
まぁナハスさんに関しては、かなり口が悪いけどね。
「まだ回るところがあんのか? さすがに腹が減ったぞ」
「ナハスは葉巻を吸ったばかりじゃないですか。恥ずかしいので、文句ばかり言わないでください」
「葉巻じゃ腹は膨れねぇ! ハラリエルとヴァルステラも腹は減っただろ?」
ナハスさんの問いかけに返事はしなかったものの、二人もお腹は空いている様子。
空腹は最大の調味料ともいうため、夜の歓迎会に備えて極力何も食べないでいてもらっていた。
かくいう私もお腹が空いているし、そろそろ別荘に戻ろうと思う。
「もう別荘に戻るつもりですので安心してください。今日は三人の歓迎会も兼ねて、異世界料理を用意していますので」
「おー! あの美味いものが食べられるのか!」
「嬉しいですが、甘いものを食べるんですか?」
「いえ、普通の料理になります。……が、安心してください。普通のご飯も美味しいので」
少し心配した様子を見せたハラリエルさんだったけど、私の言葉に嬉しそうに頷いた。
こと食に関してだけ言えば、完全に私のことを信頼してもらえているようで良かった。