軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第490話 お菓子休憩

今回は屋敷内で食べることができるし、袋菓子ではなく簡単なスイーツを作ろう。

クイーンニードルの蜜を持ってきているし、パンケーキに紅茶のセットでもいいかもしれない。

「それで、佐藤は何を食べさせてくれるのだ?」

「候補は色々あるんですけど、ちょっと料理を作らせてもらえたらなと思っています」

「ん? 料理……? この間くれたお菓子は食べられないのか?」

私の料理を作るという発言に、少し怪訝そうな表情を見せたのはナハスさん。

お菓子が食べられると聞いて喜んだのに、おっさんの手料理なんか食べたくない、というところだと思う。

「わらわは佐藤の手料理がいいのじゃ! 台所は自由に使うといいのじゃ!」

「えー……。お菓子が良かったんだけど」

「私も、食べられるならお菓子が嬉しいですね」

私に料理をさせまいと意見をしてきたナハスさんとハラリエルさんだったが、そんな二人をヤトさんが一蹴した。

「うるさいのじゃ! わらわは佐藤の料理がいい!」

「我も佐藤の料理がいいのだ!」

「ナハスもハラリエルもワガママを言わないでください。佐藤さん、よろしくお願いします」

「分かりました。お菓子は帰りにお渡ししますので、今は我慢してください」

残念そうな表情をしているナハスさん、ハラリエルさん、ヴァルステラさんにそう告げてから、私はヴェレスさんと一緒に台所へと向かった。

約十人分のパンケーキを焼く予定のため、その間にヴェレスさんには紅茶を淹れてもらいたい。

「ヴェレス、紅茶を淹れてもらうことはできますか? お湯を沸かすところからお願いしたいのですが」

「お任せください。紅茶ならば、何度か淹れた経験がありますので。……それで、佐藤様は何を作る予定なのですか?」

「私はパンケーキを作ろうと思っています。簡単に作れるのはパンケーキぐらいですからね」

「おお! パンケーキ!! ふわっふわで甘々なあの至高の料理をいただけるのですね! よだれが止まりません……!」

ヴェレスさんは本当によだれを垂らしており、私は慌ててハンカチを渡す。

「毎回、喜んでもらえるのは嬉しいです。飽きてきたりしないですか?」

「飽きるなんてあり得ません!! 死ぬまで飽きませんね!!」

死ぬまではさすがに言い過ぎだと思うけど……。

とりあえず、私はヴェレスさんと雑談をしながら、十人前のパンケーキを焼き上げていった。

「よし、完成ですね。持っていって、冷めないうちにみんなで食べましょう」

「くふふふ、美味しそうすぎますね! 食べるのが待ち遠しいです!」

「またよだれが出てますよ。……紅茶は大丈夫ですか?」

「ええ、完璧に淹れました。ティーカップはヤトさんが知っていますかね?」

「言えば出してくれると思います」

応接室へと戻った私たちは、取り分け皿とティーカップを用意してもらい、全員に行き渡るようにパンケーキと紅茶を渡した。

部屋を出る前は怪訝そうな表情を見せていたナハスさん、ハラリエルさん、ヴァルステラさんの三人だったけど、パンケーキを見て驚愕といった表情を見せてくれている。

「こちらはパンケーキと紅茶になります。お好みの量の蜜をかけてお召し上がりください」

「わーい! パンケーキなのじゃー!」

「やはり佐藤の料理は凄まじいな! 匂いから暴力的だ!」

「……お菓子よりも美味しそう。このお茶も初めて見たぞ」

「この料理を人間が作った? お菓子から驚かされましたが……いえ、食べるまではまだ分かりません」

まだ認めない姿勢を見せていたハラリエルさんだったが、勢いよく食べ始めたナハスさんを見て、早速口に入れた。

「――はぁ!? な、なんだこの食べ物は……! こんな料理が存在していいのか!?」

「そ、そんなに美味しいのですか?」

「美味すぎるぞ! ラファエル……さんも食べたほうがいい! いらねぇなら俺がもらうが」

「いえ、いただきます」

既に完食しそうな勢いのナハスさんに勧められ、ラファエルさんもパンケーキを口にしてくれた。

「――ほ、本当に美味しい! 甘くて、ふわふわで、何よりも美味しい! ……本当に佐藤さんがお作りになられたのですか?」

「そうなのじゃ! 佐藤は料理の腕も超一流! 佐藤以上に美味しい料理を作る者はおらんのじゃ!」

「そんなことありませんよ。ノーマンさんやヤコブさんの方が美味しいものを作れます」

「確かにお二人の方が美味しい料理を作りますが、何より肝心なのはレシピですから。佐藤様は唯一無二です」

「唯一無二なのじゃ!」

手放しで褒めてくれるヤトさんとヴェレスさん。

嬉しいけど、レシピも私が考えたものではないし、恥ずかしくなってくる。

「そんなことはありません。とりあえず、ラファエルさんのお口にも合ったみたいで良かったです」

「こんなに美味しいものなら、誰の口にも合うと思いますよ。……ヴェレスが尻尾を振っている理由もよく分かりました」

「本当に美味かった! お菓子も美味しかったけど、このパンケーキは更に美味かったな! ただのおっさんだと思っていたけど、見直したわ!」

「こら、ナハス。失礼ですよ」

「失礼なんてありません。喜んでもらえたなら何よりですから」

なにはともあれ、雰囲気もよくなったし、お菓子休憩を取ったのは大正解だったと思う。

ここからの話し合いもしやすくなったと思うし、なんとなくだけど上手くまとまりそうな気がしてきた。