軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第489話 隠し事

ヴェレスさんの当時のことを色々と聞きたいところだけど、今は懐かしい話をしている時間はない。

同族殺しのことを掘っても、ヴェレスさんに対する評価が悪くなる一方だろうしね。

「ラファエルさんとヴェレスさんはお知り合いなんですね。……ラファエルさん的にも、ヴェレスさんの抹消の件には賛成なのでしょうか?」

「私は一貫して反対していたのです。といいますか、ヴェレスのことを知っている旧派閥は反対派が多いですね」

ラファエルさんから聞けたのは意外な情報。

堕天使ということで、ヴェレスさんのことを知らない新しい天使たちが抹消を唱えているだけなのかもしれない。

「それはヴェレスさんが悪くない方だということを知っているからですか?」

「いいえ、ヴェレスはとんでもないクズで極悪だと思っております。旧派閥が反対しているのは、ヴェレスの力を知っているからですね。討伐に費やす兵力やその被害の大きさ、抹消に至らない可能性まであることを考え、反対している天使が多いということになります」

一瞬、ヴェレスさんの評価が高いのかと思ったけど、ラファエルさんから出た言葉はボロクソに貶すものだった。

評価されているのは力だけであり、ヴェレスさんに力がなければ、とうの昔に抹消されていたってことだろう。

「そ、そうだったんですか……。てっきりヴェレスさんが良い方なのを知っているのかと思っていました」

「ヴェレスが良かったことなんて、天使時代にさかのぼっても思いつきません。逆に、なんで佐藤さんに尻尾を振っているのか不思議なくらいです」

「佐藤様。口を挟もうか迷っていたのですが、一つだけ言わせてください」

ラファエルさんとの会話に割って入ってきたヴェレスさん。

タイミングがタイミングなだけに、ヴェレスさんが何を言うのか身構えてしまう。

「ヴェレスさんも含めての話し合いなのでもちろん構いませんが、何か失言でもしてしまいましたか?」

「はい。私のことはヴェレスと呼んでください。さん付けはムズムズして敵いません」

その言葉に、私以外の方々も大きく息を吐いたのが分かった。

ようやく話したと思ったら、あまりにもどうでもよすぎる内容だからね。

まぁヴェレスさんには毎度言われるし、本当に気になることなんだろうけど。

「ほらね。こんなことを言うタイプじゃなかったから。一体何がそんなに惹きつけるのかしら?」

「その理由は俺らも分かるぜ。秘密の品をもらったからな」

「おい、こらナハス! その件は秘密にしておこうと言っておいただろう!」

「あっ、やべ。話の流れで言っちまった!」

堂々と発言したナハスさんだったけど、ハラリエルさんに注意された瞬間、罰が悪そうにし始めた。

私も、そしてラファエルさんも首を傾げたが、少し考えて前回渡したお菓子の件だと気づく。

「……ナハス、ハラリエル、ヴァルステラ。何を隠しているの?」

「も、申し訳ありません。ナハスが全て悪――」

「おい、ズリィぞ! ハラリエルだって、がっついただろ!」

「ナハスが口を滑らせたのだから、全責任を負うのが――」

「やめなさい。隠していること、全てを話しなさい」

ラファエルさんに怒られたことで、ハラリエルさんが全てを話し始めた。

どうやら、私があげたお菓子を帰りの道中で全て食べてしまったそう。

一つも残さずに食べたということが知られないため、お菓子を受け取ったこと自体を隠蔽したみたい。

私としては可愛らしい理由だと思ってしまったが、ヴェレスさんを敵対視している天使族にとっては、かなり大事なのは間違いない。

「なるほど……。まずは佐藤さん。お菓子を持たせてくださり、ありがとうございました」

「いえいえ。私としては、わざわざ来てくださった三人への労いでプレゼントしたので。全て食べてくれたと知って、良かったです。気に入ってもらえましたか?」

「ああ! あんなに美味いものを食ったのは人生で初めてだった!」

「おい、ナハス。もう余計なことを言うな」

嬉しい感想を笑顔で言ってくれたナハスさんだったが、再びハラリエルさんに注意をされて口を閉ざしてしまった。

先ほどまでの口ぶりだと、ハラリエルさんやヴァルステラさんも気に入ってくれたようだったし、天使族の方々の口に合うと知れただけでも良かった。

「全く気付きませんでしたね。まさかハラリエルが隠蔽を行うとは……」

「申し訳ございません。どんな処罰でも受けさせていただきます」

「そこまで深く考えないであげてください。お菓子なら今ここで渡せますし、ラファエルさんにも食べてもらいたいと思ってます」

「えっ!? またあのお菓子が貰えるのか!?」

「佐藤様、よろしければ私にも食べさせてください!」

「佐藤、わらわも食べたいのじゃ!!」

ナハスさん、それからヴェレスさんだけでなく、ここまで大人しく聞いていたヤトさんまで身を乗り出して手を上げた。

一気にカオスになってしまった空間に、助けを求めるためクリカラさんを見たんだけど……。

「我も食べたいのだ! 少し早すぎる気もするが、一度休憩としよう!」

まさかのクリカラさんも乗ってきてしまい、あまりにも早すぎる休憩となった。

もう少し話し合いをしてからが良かったけど、まぁラファエルさんにヴェレスさんがハマったお菓子の美味しさを知ってもらうのは大事だし、このお菓子休憩をありがたく考えよう。