軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第488話 話し合いの場

バルザードさんの高い飛行能力のお陰で、出発した日の夜にはエデルギウス山に到着。

ヤトさんやアシュロスさん、この間やってきた時にはいなかったティアさんともお話をし、天使族の方々が来るまで有意義な時間を過ごすことができた。

そして一日が経過し、今日が話し合い当日。

クリカラさんだけでなく、何故かヤトさんとアシュロスさん、それからバルザードさんも同席している。

ヤトさんだけは、余計なことを言わないかが非常に心配。

私の姿を見るなり、大きく手を振ってくるヤトさんに苦笑いしながら手を振り返しつつ、やってきた天使族の方々と対面した。

この間のナハスさん、ハラリエルさん、ヴァルステラさんの他に、大きな翼の女性が一緒にやってきていた。

翼だけでなく、天使の輪っかも大きい気がするし、もしかしたら天使の中でも上位の方なのかもしれない。

「お久しぶりです、倶利伽羅龍王。私のことは覚えておられますか?」

「ん? んー……見たことはある気がするのだがな。すまぬが名前は覚えておらん!」

決してよくないことなんだけど、覚えていないことを正直に答えたクリカラさんに感心しつつ、大きな翼の女性天使の次の言葉を私は待つ。

「ふふ、そうだろうと思いました。私はラファエルと言います。今度は覚えてくださいね」

ウインクをしながら可愛らしく自己紹介をしたラファエルさん。

ラファエルは聞き覚えがある名前なんだけど、思い浮かんでいるラファエルと何か繋がりがある人物ということでいいのだろうか?

確か、天使に用いられている名前だったもんね。

「もう覚えたぞ! 忘れない……はずだ」

「約束ですよ。それで……あなたが佐藤さんですか?」

クリカラさんとの話を終えると、私の下へと歩いてきたラファエルさん。

光り輝くオーラのようなものが見えるし、ヴェレスとはまた違った風格のようなものを感じる。

「はい、はじめまして。私が佐藤と言います。今回は話し合いに応じていただき、本当にありがとうございました」

「いえいえ。私も久しぶりに話がしたかったから。ねぇ、ヴェレス?」

「お久しぶりです。ラファエルさん」

「随分と丁寧な挨拶ですね。堕ちて改心したのですか?」

「改心などとてもとても。佐藤様の前ですから、丁寧な態度を取っているだけですよ」

どうやらラファエルさんとヴェレスさんは知り合いの様子。

口調は丁寧ながらも、言い方に棘のあるバチバチしたやり取り。

「ラファエルさんとヴェレスはお知り合いなのですか?」

「ええ、私とヴェレスは同期なのです。ヴェレスが同族殺しを行ったとき、私は任務で天使界を離れていまして、止められなかったことを今でも後悔しているのです」

「そ、そうだったんですか。ヴェレスの知り合いの方が来てくださって、良かったです」

「それでは、また改めてお話ししましょう」

ラファエルさんは軽くお辞儀をしてから、ハラリエルさんたちの下へと戻っていった。

追放されたヴェレスさんを憂いての後悔というより、その場に居合わせず、ヴェレスさんに好き勝手やられたことへの後悔という感じだったように思えた。

既に先が思いやられるけど、何が何でも穏便に済ませたいから、私には頑張る選択肢しかない。

「ラファエルさんとはお知り合いだったんですね」

「ええ。何かと因縁をつけてくる方でしてね。私が殺した旧天使の一派でもありました」

「旧天使ですか? ……話し合いの前に、色々と聞いておくべきでしたね」

「私も佐藤様には話しておくべきでした」

同族殺しということもあって、聞けずにいたけど、話し合いの前に聞いておくべきだった。

変な気遣いをしてしまったことを後悔しつつ、仲介役であるクリカラさんが話を始めた。

「それじゃ全員揃ったようだな! これより佐藤と天使族との話し合いを行う。互いに武力を行使しようとした瞬間、我らも攻撃を開始するから覚悟するのだな。それでは、話し合いを開始してくれ!」

「クリカラさん、ありがとうございます。それでは……まずは自己紹介から。私のことは既に知っていると思うので、ヴェレスお願いします」

「私はヴェレスと申します。元天使であり、みなさんと同族だった者です」

私の合図と共に、自己紹介を行ったヴェレス。

ハラリエルさんは警戒、ナハスさんは恐怖、ヴァルステラさんは無表情で、ラファエルさんは張りつけたような笑みを浮かべている。

三者三様の表情を見せているけど、どの方を取ってみても歓迎されている感じではない。

ヴェレスさんがやったこともやったことだし、私も全てを水に流してもらおうとは考えていない。

今日の目的は敵意がないのを伝えること。

それさえ分かってもらえれば、早急にヴェレスの抹殺へ動いてくることはないはずだからね。

「……ヴェレスなのか。本当に堕ちているんだな」

「ええ。もう天使だったときよりも、堕天使として生きている方が長いですから」

「力が衰えていないのは意外だったわ。堕天使になると、神の力が失われるのにね。以前と同じ……いえ、以前よりも強く見えるわ」

「強そうに見えるのは、私の見た目の印象でそう見えているだけかと。力は完全に失われていますよ」

力は失われていると言っているけど、近くで見てきた私にも一切失われているようには見えない。

圧倒的な力を持っているだけでなく、剣術も魔術も最高峰レベルで使いこなしているからね。

天使だったときはもっと強かったのか、それともヴェレスさんが勝手に弱くなったと勘違いしているかのどちらか。

私は後者だと思っているけど、そのことは本人であるヴェレスさんか、当時を知るラファエルさんにしか分からない。