軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3-27

敵レーザー砲台――残り三つ。

はい、止められました。

というか最後一体は射程外だった。

しかも一発は着弾位置がズレただけなので言い訳のしようもない。

(どうせバトルアーマー使えなくなるからとケチらなければ、最後もう一発相打ち覚悟で撃てたんだが……)

その場合、バトルアーマーだけでなく強化服のAPまで持っていかれていた可能性もある。

しかし危ない橋を渡らずに済んだ、と思えばその選択も悪くはなかった。

結局は結果論なのでこの話はこれで終わり。

着弾地点が外れたとは言え、ダメージは大きいのだから追加でスナイパーライフルでも撃ち込めば壊れるだろう。

そろそろ目に見える小型の群れからビームが飛んできそうな距離なので、サクッと狙撃を通し、三発目でレーザー砲台が火を噴いた。

これで後二つ。

おまけにそろそろレーザーを撃ってきそうな時間である。

ランクは下がるがバイクを出して動き出す。

小型の群れがこちらに狙いを定めて俺の動きに合わせてくるが、残念ながら速度が違い過ぎる。

バイクで疾走しながら中型を狙撃するが、ここでクールタイムが終わったのかレーザー砲台が光を放ち始める。

エネルギー充填中に弾丸をぶち込むとどうなるか気になったので狙撃をしてみたが……どうやら充填中は砲台が何らかの手段で守られているらしく、ダメージがあるようには見えなかった。

発射されたレーザーを回避し、警戒ラインがさらに見えたがほぼ同じ方角から撃たれる連続射撃など怖くもない。

ロケットランチャーで小型のデペスを吹き飛ばし、合間合間にスナイパーライフルで砲台を狙撃する。

どうも砲台は防御力が高いのか、マガジンを一つ撃ち切っても破壊できなかった。

とは言え損傷しているのは遠目からでも確認できる。

(このまま一つ破壊した後は空から最後の砲台を破壊だな)

あのレーザー砲台は脅威度の高さが群を抜いている。

小型を無視してでも狙った方が良いのは明らかだ。

飛んでくるビームの数が増えている。

上位ランクのジェットパックは損壊しているので、ビームの弾幕に晒される前に早めに上空へ逃げたいが……思った以上に砲台が硬い。

ある程度ダメージを与えれば使用不能になる可能性もあるが、この砲台に対しては確実に対処しなければならない。

小型からの集中砲火を避けるため、バイクを解除してジェットパックに換装するなり高度を上げる。

やはりランクが下がると加速も落ちる。

飛行しながら距離を詰め、砲台を攻撃し続けることでようやく破壊に成功。

これで後一つになったわけだが、デペスの群れの上空を飛行していると砲台の壊れた中型の機関銃がこちらを狙ってくる。

対空用に備わっているのか、複数の中型が空を飛ぶ俺に向けて機関銃を乱射。

この弾幕を前に俺はさらに高度を上げざるを得ず、最後の一つとなった砲台を遥か上空から狙い撃つ。

接近してからのプラズマキャノンならば、もう一発レーザーを放たれることなく破壊できただろうが……これ以上群れの奥へと進むとジェットパックのエネルギーが切れた時が怖い。

今使っているものでも性能に不満があるのだ。

これ以上ランクを下げると攻撃の回避すらままならなくなる。

下手をすれば今使用しているジェットパックでレーザーを避け損なった場合、かなり危険な状態に陥る。

「急いで砲台を破壊するべきだ」と判断した俺はこの距離からでも砲台を攻撃できる武器を次から次へと切り替えて攻撃する。

その甲斐あってか、どうにかレーザーを撃たせる前に砲台を破壊。

これでようやく一息つける――と言いたいところだが、地上の掃除も俺の仕事である。

手投げグレネードを二つ放り投げ、上空で連続的に爆発を起こして作戦の第一段階の成功を知らせる。

ここからはリオレスとの合流を急ぐ。

残った敵はレーザー砲台を失った中型と大量の小型。

まだまだ油断はできないが、あのレーザーさえなければ味方への被害もほとんどないはずだ。

防衛陣地と横に広がる遊撃隊も既に戦闘が始まっており、確実に敵の数を減らしている。

中型の弾幕に晒されないように上空を飛んで後退するが、エネルギーの残量からリオレスとの合流前に一度はジェットパックを切り替える必要があることを悟る。

(こいつが大型と一緒に出てきたらマジで死人出てただろ)

レーザー砲台を失った中型の機械型を見ながら、こいつらを「厄介」と評価する理由がよくわかった。

遠くではリオレスが小型を蹴散らしながら疾走している姿が見えた。

デイデアラがこちらへ合流するにはまだ時間がかかる。

戦線を維持するためにも、今は無理をしてでも急行しよう。

バイクで荒野を走りながらロケットランチャーを放つ。

大きな爆発と爆風は小型のデペスを大量に巻き込み吹き飛ばす。

この中型は対空性能は高くとも、対地性能はそこまで高くないらしく、空に比べて地上の弾幕は明らかに薄い。

もっともそれは単体の話であり、大量にいる小型のビームが邪魔で中型への攻撃が上手くいっていない。

中型の数は残り十体だが、倒したのは二体ともリオレスである。

距離が縮まってきたところで一気に接近し、脚部の半分以上を破壊して崩れ落ちたところを切り刻んでいる。

フレンドリーファイアを気にしつつ戦っていることもあり、俺は専ら小型の処理に勤しんでいた。

戦果の独り占めはよくないからね、仕方ないね。

デイデアラも暴れ回ってはいるが、前に出てきた中型のところにまで突っ込むつもりはないらしく、こっちも小型の数を減らすことに注力している。

レーザー砲台を失った中型の脅威度は低く、放置も視野に入る状況ではこの対処は間違っていない。

防衛陣地からの要請もなく、向こうも順調に敵の数を減らしている、ということだろう。

(現状維持で敵をすり潰せるな)

「勝ったな」とグレネードランチャーをポンポン放ちながら心の中で勝利宣言。

大量のデペスから放たれるビームの雨を搔い潜りながらバイクで走る。

近づいてきた中型にリオレスが狙いを定めたことを確認する。

その援護とばかりに邪魔になりそうな進路上の小型を一掃するべく、バイクのハンドルから手を放し、両手にアサルトライフルを装備した次の瞬間――世界から色が失われた。

何かが起こった。

その確かな事実に俺は対処するべくアサルトライフルを一つ解除し、バイクのハンドルへと手を伸ばそうとする。

しかし武器を解除することができなければ体も動かない。

この状況を理解できずに焦りを覚えるが、よく見ると動いていないのは俺だけではなかった。

まるで動画の停止ボタンを押したかのように何もかもが動きを止めていた。

走り出したリオレスも、機械型のデペスも、それどころか放たれたビームまでもが静止していた。

(違う! 動けないんじゃない! 何もかもが止まっている!)

視線を動かすこともできず、俺はただ目の前の止まったままの光景を眺めていることしかできなかった。

真っ先に頭の浮かんだのは「時間停止」である。

思考はできる時点で違う可能性がある。

俺という異質な存在であるが故の可能性も考えられる。

だが、これが敵の攻撃だというのであれば――何もできずに殺される。

サッと血の気が引いた気がした。

どうにかしなければ……何かないかと目に見える範囲で必死に探す。

その次の瞬間、世界に色と音が戻り動き出した。

戸惑いと思考のズレがバイクの操作を誤らせる。

咄嗟にアサルトライフルを消し、両手でハンドルを握ると体勢を立て直す。

飛んでくるビームがバリアを消耗させるが、リオレスが突っ込んだことでこちらへの攻撃は若干薄くなっており、復帰するまでの被弾は抑えられた。

「しくじった」という後悔の念と先ほどの現象への疑問がせめぎ合う。

(今は戦いに集中……!)

「考えるな」と自分を叱責し、両手に持ったアサルトライフルでリオレスを援護する。

何かが起こったのは間違いない。

しかしそれが何なのかはわからない。

嫌な予感が胸騒ぎとなって引っかかる。

俺の不安など関係なく、戦況は刻一刻と変化する。

五本目の足を失った中型が自重を支えきれずに崩れ出す。

地に落ちた胴体部分にリオレスが追撃を加え、珍しく爆散した中型は周囲の小型を巻き込んだ。

この爆風をまともに受けたリオレスに追撃する小型を俺とデイデアラが排除する。

体勢を立て直したリオレスは四体目の中型へと走り出す。

敵の数は着実に減っている。

特に防衛陣地側へ相当数の小型が誘い込まれ、中型の護衛に回る分が目に見えて数を減らしている。

これを好機とデイデアラも攻勢へと回ったことで、中型の撃破速度も加速していくだろう。

戦況は確実に有利へと傾いた。

だがそれでも、俺の胸騒ぎは消えることはなかった。