軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第624話

目に飛び込んできたのは整列したダイモーンさん率いる 小羽妖精(ポゥ・リース) 軍団。上半身はキッチリしたスーツで下半身は膝上より少し短い巻きスカート。

背中から覗かせる棒はバグパイプではなくて多分警棒的な鈍器で、首からは小さな笛が下げられている。バグパイプは吹かないけど警笛は吹くらしい。

そして眼を保護する目的らしい黒いサングラス。

(日)「グラサン・ミニスカ 小羽妖精(ポゥ・リース) ……」

(日)「そう思っても言わなかったのに」

(日)「ほら、彼らの正装だから……」

小さな妖精さんだけど、グラサンのオジサン達が巻きスカート ( しかもミニスカっぽい ) のは中々に脳にクるものがある。視覚に対してかなり暴力的だ。

「素敵な正装ですね」

「威厳を保ちつつ動きやすさを兼ね備えた 制服(ユニフォーム) だぜ、どうぞ」

(日)「あれがバグパイプの正装と同じだとしたら、やっぱり下はノーパンなのかな?」

(日)「ノートパソコン?」

(日)「それはノーパソ。吾輩の言っているのはノーパン」

ちょっと真実を聞き出すのには勇気というか抵抗があったのでスルースキル発動。

巻きスカートの柄は本家と違って縦縞だった。その縦縞のパターンは軍団毎に違いがある。流石に白黒の鯨幕は無いみたいだけど。

そしてミケヲさんはダイモーンさんと交渉してポーション瓶に詰めた【 魔増補(マッポ) 】を六本お持ち帰りする事が決定。流石、公開済み転生者は大胆だ。

「ところで、 小羽妖精(ポゥ・リース) 族にもダンスによるバフは掛かるものなのかね?」

それ、俺も知りたかった。妖精族には効果があるとは思うんだけどね。後はバフの掛かる範囲だよな。

「勿論!! もしかして人界の踊りを披露してもらえると? どうぞ」

「そうだね、【 魔増補(マッポ) 】のお礼もあるから一つ踊ろうか、ね、ミーシャ君」

「そうですね……、ってボクもですか?」

「まぁ、ほら、 “ マスタード警視 ” とか “ 未確認動物(U M A) ” とか “ 片思いの辻占せんべい ” とか一緒に踊りたいじゃない? アレもいいね “ HMDH(ヒューマン・デミヒューマン) ” 」

「あの……ボク、レッドガールズは世代違いなんですけど」

「でも、分かるでしょ?」

「一応は。自信ないですけど」

「まぁ、そこは適当で大丈夫よ。それとも “ 駒鳥葬式音頭 ” でも踊る?」

「御手を拝借から閣下が “ 駒鳥葬式音頭 ” を踊るとシャレになりませんよ」

まぁ、適当に踊りましたけど。脇でアンディーがその場で回転してくれたり、カトリーヌがスモークを吐いてくれたり、従魔の演出もウケていた。そして俺達の後ろで踊りをヨチヨチと付いて歩いて踊る真似をするコカちゃんが大ウケしてたよ。いつの世も可愛いは正義ってやつだね。

「有難いな、いいバフが着いたぜ、どうぞ」

「身体が軽いな、どうぞ」

「これなら巡回もバッチリだぜ、どうぞ」

俺が恥ずかしい思いをする分、いい感じのバフがかかるんだな。そこ、等価交換しない。

「今度の次は “ 鯖(さば) 威張る 街(マーチ) ” でも……」

ミケヲさん変なフラグは立てないでください。

♪〜

魚魚魚魚(ウオウオウオウオ)

鱏鱏鱏鱏(エイエイエイエイ)

魚魚魚魚(ウオウオウオウオ)

鯖(さば) 威張る 街(マーチ)

鯖(さば) 威張る 街(マーチ)

魚河岸〜 ♪

そこ、歌わない!! ダイモーンさん達が反応しちゃってるでしょ。

“ 鯖(さば) 威張る 街(マーチ) ” はスーパーの魚売り場でお馴染みの販促ソングの一つだ。そう言えば出刃包丁を [ 鯖を三枚に下ろす為の包丁『 鯖威張る(サバイバル) ナイフ』です ] とか言って売っているのを見た事があったぜ。鯖以外も三枚に下ろせるだろ、それ。

「いや、今回はボスを連れてきて貰っただけでなく、有用なバフまで掛けてもらえて我々はとても感謝している。また協力要請をする可能性がある故に、連絡用の魔道具を渡したいと思うのだが。どうぞ」

「【 彼岸此岸通信機(トランシーバー) 】か、どうぞ」

「異議なし、どうぞ」

「人界の者に 小羽妖精(ポゥ・リース) 族用【 彼岸此岸通信機(トランシーバー) 】を渡して良いと思うか? どうぞ」

「指定 宗(・) 派(・) 数を厳守させれば問題無い、どうぞ」

何か勝手に話が進んでるよ。トランシーバーとか言ってるけど、俺の知ってるトランシーバーと同じなのかな?

◇◇◇◇◇

「ただいまの取り組みについてご説明させていただきます。協議の結果、猫獣人の 首領(ドン) ・ 三毛皇(みけおう) ならびにドワーフ嬢ミーシャ=ニイトラックバーグ、両名の協力が 小羽妖精(ポゥ・リース) 族に有利とみて【 彼岸此岸通信機(トランシーバー) 】を進呈する事と致します、どうぞ」

序列二位(ナンバーツー) らしいメンバーがそう説明すると、名刺状の魔道具が二つ用意された。ギルド証とはまた違った感じの魔道具だな。

「これはだ、こうやって【 彼岸此岸通信機(トランシーバー) 】に向かって話しかけると距離は関係なく指定先に声を届ける事が出来る代物だ、どうぞ」

「厳密には 小羽妖精(ポゥ・リース) 族同士で通信する為の魔道具だ、どうぞ」

「あれ? そんな便利な魔道具ならダイモーンさんが迷子になった時に迎えを要請出来たのでは?」

「この魔道具は紛失した場合、七十二時間経過で自動的に消滅する、どうぞ」

「それは無くされませんね」

「盗難防止で左手首に埋め込む方法もある、どうぞ」

「手首に向かって話し掛けるだなんて、カップルウオッチみたいだね。吾輩、それがいいなぁ。手首に向かって「こちら 三毛皇(みけおう) 」って喋りたいね。【 鮪(ツナ) 食(イート) 記者(ライター) 】みたいでカッコいい」

【 鮪(ツナ) 食(イート) 記者(ライター) 】は前世の食レポ番組で、リポーターの “ 米(まい) 食(く) える 内藤(ないとう) ” 氏が出先でマグロを食べるだけの番組だ。腕時計状の小型マイクに向かって語りかけるネタ振りからリポートが始まる。間違ってもカップルウオッチなんて高級品ではない。この番組のせいでマグロと言うかツナマヨおにぎりを食べる時についつい真似をしてしまうんだよねぇ……。

手首に向かって話し掛ける。前世で憧れてたシチュエーションじゃねぇか。説明によると時空も次元も距離も関係なく指定先と通話が出来る魔道具だったよ。