軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第610話

乗り合い馬車、何かいい名前にならないものか。バスは確かオムニバスの略だったな。前世のクイズ番組で出題されていた記憶がある。オムニバス、オムニバス、お迎えにバス、お迎えに 馬周(バス) 。万歳ー!!万歳ー!! そうか【 お迎えに馬周(オムニバス) 】、そのまんまじゃないか。

「あれぇミーシャ、ニヤニヤしてどうしたのぉ?」

「ハーレー先輩が馬型ゴーレムを【 車動馬(シャドバ) 】って名付けたって言ってたじゃないですか。ボクも乗り合い馬車に格好イイ名前をつけてみようかな……って」

「へぇ、どんなぁ?」

「住民のお迎えに馬が周るので【 お迎えに馬周(オムニバス) 】でどうでしょう?」

「【 お迎えに馬周(オムニバス) 】ねぇ。それイケてるぅぅ。シャドバでオムニバスうぅぅ…いい〜〜」

よく分からないけどハーレー=ポーターさんの琴線に引っ掛かった模様。

「それじゃぁ、警笛も沢山登録しなきゃねぇ〜。カトちゃん、宜しくだよぉ〜」

プーププー

(「アタシに任せるし」)

「ハーレー先輩、その乗り合い馬車って冬も運行するんですよね?」

「勿論。むしろ冬こそが稼ぎ時だねぇ。雪が降ったら歩きたくなくなるもんだよぉ」

雪、降るんだな。前世のレベルならどれぐらいなんだろう? 雪中行軍とかじゃないとは思うけど。

{ ―― ささやかなレベルです ―― }

うん、分からん。ヤーデさん情報だとそこまで降らない感じか。

「冬って馬車が滑りません?」

「滑るよぉ」

「でも馬車は動かすんですよね?」

「物資の輸送は転送陣だよぉ〜。人や獣を乗せる時は、冒険者に護衛を依頼し【 運魔(ウマ) 】をゆっくり歩かせて移動だねぇ。四肢に負荷が掛からない様に強化石や蹄鉄のコストも増えるんだよぉ〜」

「大変なんですね」

「そうそう。少し位コストが増えても無事故安全が大切だからねぇ、冬対策も大変だよぉ〜。ミーシャ、何か思いついたら教えて欲しいなぁ」

「分かりました。 三毛皇(みけおう) 閣下にも前世の話を聞いてみますね。多分ヒントがあるかと」

「うん、お願いねぇ」

スパイクタイヤとかスタッドレスタイヤとかって無さそうだよね。後付けするならチェーンか。あと、タイヤに貼り付ける滑り止めって有ったよね? アレ、マジで効果があるかは分からないけど。

「うーん、【 履筒(タイヤ) 】に滑り止め……、従来の車輪ではどうしてたんですか?」

「馬 橇(そり) を使うのでなければ、木製の車輪だと縄を巻き付けて、金属製の車輪だとチェーンを巻き付けたりしてるねぇ。滑りにくくなる代わりに乗り心地はすこぶる悪くなるんだよぉ〜。お尻が二つに割れちゃうよぉ」

そうだ、馬 橇(そり) が有った。オロール先生の出張里帰りの時にラパンが引く練習をしてたな。そして尻は元々割れてるだろうが。

「ハーレー先輩、お尻は最初から二つに割れてます。そして【 履筒(タイヤ) 】に縄巻き付けはイマイチですよね」

「来年の夏ぐらいまでていいからさぁ、何か思いついたら即報告して欲しいなぁ」

後付けスパイクが一番現実的なのかな。そう言えば前世でも長靴の底に貼り付けるタイプのスパイクって有った気がする。後、踵の部分の靴底の金具をひっくり返すとスパイクが出て来る長靴とか。

「そうですね、こうスパイクが車輪から出て来るのってどうです? 蝶番みたいな金具にスパイクが付いていて、夏場は普通の車輪なんですけど、金具をひっくり返すとスパイクが出てきて雪道をホールドするみたいな」

「それそれ!! 興味深いよぉぉ〜」

「猫の爪みたいにスパイクが出たり引っ込んだりしたら面白いかなぁ〜? って思ったんです」

「それだーぁ!! 猫の爪システム!!」

「でも、【 履筒(タイヤ) 】だと猫の爪を組み込めなさそうなんですよね」

「それもそうだなぁ。残念だなぁ……」

「それなら直接貼り付ければ良くないですか? こう、スパイクの付いたシートを【 履筒(タイヤ) 】に貼り付ける感じで」

「縄のシール版って感じだよねぇ」

「それこそクラーケンの吸盤の中の鉤爪ってあるじゃないですか。輪状で硬くてギザギザした。あれをシートに取り付けて、そのクラーケン鉤爪シートを【 履筒(タイヤ) 】に貼り付ける」

「いや、それなら最初からクラーケンの鉤爪の付いた【 履筒(タイヤ) 】を作っちゃった方が早いよぉ。素材のワームとクラーケンはどちらもモンスター素材だから、縄とか金具なんかより遥かに合成させやすいしぃ。いっそ、表面に鉤爪のあるワームを品種改良で作り上げちゃぅぅ??? それだとぉ、魔獣の専門家とぉ錬金術師とぉ……キメラ学は必要かなぁぁ??? いや、【 履筒(タイヤ) 】と【 履筒(タイヤ) 】でスパイク状の車輪を挟んでおいてぇ、降雪を確認したら【 履筒(タイヤ) 】が開いて中心のスパイク付き車輪が出て来るシステムもいいかもぉ。どうしよう、車輪に無限の可能性がぁぁ!! んふふ、んふっ、ひひ……んぁぁ〜〜」

ヤバい、ハーレー=ポーターさんの変なギアが入った。それもトップギアだ。

「ハーレー先輩、大量の研究題材が浮かんだみたいですからボク帰りますね」

「ダメ!! 帰っちゃ嫌だぁぁ!! わたしを独りにしないでよぉ〜?」

「いや、そう言われましても……」

「わたしをこんなにして勝手に帰るなんて酷ぉいぃぃ〜〜」

いや、勝手におかしくなってるんですけど。デートの途中で彼女さんを振り切って帰る悪い彼氏みたいな表現をされてもなぁ。

「いや、失礼します。ハーレー先輩、無理しないで頑張って下さい」

「いや〜ん、行かないでぇぇ……!!」

「お疲れ様でした」

「ぜぇ〜〜んぶ登録しとくよぉぉ!!」

へっ???

ムキュウ……

(「あたち くるくる おねがい ちたかったの」)