軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第611話

あっ、暴走したハーレー=ポーターさんから逃げるのに必死で馬車道にロードヒーティングを敷設したらどうだろう? …って意見を出すのを忘れてしまったよ。タイヤを冬季仕様にするのが大変だったら道路を除雪すればいいじゃない。ただ、コスト面や技術面で折り合いがつかないかもしれない。でもほら、雪の積もらない道路って開発したくならない?

プープ プープー

(「ご主人様、また遊びに行こうよ」)

ムキュウムキュウ

(「あたちも おねがい ちたいの」)

二頭に頼まれなくても時々顔出しに行く事になるだろうけど。

いや、待てよ……。ロードヒーティングの件だけど、下手に郊外開発が進む前に敷設に着手した方がいいに決まってるな。指定馬車道にしか敷設しないから、最悪、馬車道の完成後に改良工事は出来なくないけど、どうせなら最初から設置してしまった方が良い訳で。仕方ない、戻るか。

「アンディー、カトリーヌごめん。ボク、ハーレー=ポーターさんに伝え忘れた事があるから戻るね」

コンコン 「あれぇ忘れ物ぉ〜? 登録忘れかなぁ?」 ハーレー=ポーターさん、冗談でも察し過ぎだよ。あの人の頭の中は開発と登録しかないのか?

ムキュウ

(「はーれむぱいぱい けんきゅー ちゅきなの」)

ハーレムパイパイ、何その巨乳ハーレムみたいな表現は。

(「アンディー、そのハーレムパイパイって?」)

(「はーれー ごーれむ いっぱい せんぱい なの」)

まさかの ハ(・) ー(・) レー ゴー レ(・) ム(・) 一 杯(・) 先 輩(・) の略!! ミケヲさんの呼び名と言い、アンディーの名付けは独特なものがあるなぁ。

「ハーレー先輩、伝え忘れたお話がありまして」

「入って入って。わたしもお話しし足りないよぉ。で、なぁに?」

「実は……」

ロードヒーティングの話を伝えると流石はハーレー=ポーターさん。既存システムの流用をすぐに導き出した。

「それ、温室の保温システムに似てるねぇ」

「あっ、温室」

「そこまで普及してる訳ではないけど、薬草温室には設置されてるねぇ」

「普通の温室には無いんですか?」

「お 安価(やす) い温室には付けないよぉ。炭や薪を燃やして加温すればいいだけだしぃ」

「でも、既存システムがあれば一からの開発よりは楽ですね」

「どうかなぁ。上を馬車が走るんだよねぇ」

「そう言われてみればそうでした」

「わたし的には温室の保温システムと、ミーシャの恒温調理器具のシステムを合わせて新しく開発すればいいと思うなぁ。もう派生……ふふ…、もうミーシャってば欲張り屋さんなんだからぁ、ねぇ」

いや、そんなつもりは無いんですけどね。何でもかんでも登録しておくドワーフが異常なだけだと思うのは俺だけか?

ムキュウムキュウ キュウキュウ

「えっ、なぁに?」

キュウキュウキュウ

「わたしには分からないなぁ」

アンディーが何か訴えてるけど流石に伝わっていない。そして俺にも内容が分からない。ヒミツのオ・ネ・ガ・イってやつか? 俺にも知られたくないの?

ムキュウ……

(「かなちぃ……」)

ロードヒーティングの件は伝えたので改めて退出した。これ以上留まったら夜中になるまで帰してもらえない予感がする。コカちゃんを迎えに行く前に購買を覗いていこう。そこまで気になる商品が入荷したりはしないのだけど、偶にレアモンと言うか気になる商品や素材が入荷するからね。紙類も買っておかないと…だ。拭き草も小まめに補充しておくべき物だけど、それ以上に高級紙は入荷したら最優先でキープすべき物である事が最近分かった。

新入荷品は、丸く抜かれた色フェルトの徳用パック、古釘、【赤スライムの死核】。

フェルトは上手くずらしながら重ねていけば造花が作れる。ミケヲさんの五人のお妃様にプレゼントする新年飾りの添え物作りに使えそう。古釘は炉で溶かして鉄に戻せるだけでなく、弁柄、染め物の鉄媒染剤の材料に使えるし、アンティーク家具等の補修に使ったりする。【スライムの死核】は言わずもがな。どれも色々使える。つまり、全種類欲しい。

前に仕入れた【時刻みの 尖晶(せんしょう) 】も買っただけで使ってない。勢いで買ったけど時計を作るのには必須アイテムだし、ゴーレム製作にも欠かせない。後はタイマー機能、つまり何かしらのカウントダウンを伴う魔道具にも欠かせない素材だった。履修科目で使う時は職校が準備してくれるけど、課外で自主練とか自主制作をしたかったら私物を使うしかないので、商業ギルドに発注するかマメに購買を覗いて確保する事が必要だ。取り敢えずキープ出来てるのでヨシッ。

古釘は弁柄と鉄媒染剤の為に数本でいいのでキープしておきたい。フェルトの徳用パックは飾り用の造花以外にも何かに使えそうなので複数購入。【スライムの死核】は色々試したい事があるので購入制限の個数までは買う。絶対買う。

「すみません、フェルトの徳用パックを三袋、古釘は三本、【赤スライムの死核】は購入制限の個数をお願いします」

「はいはい。【赤スライムの死核】は三十個あるけど本当に全部買います?」

「さっ、三十個有るんですか?」

「今朝入荷したので。特に購買制限は無いので三十個全部渡せますよ」

ううっ……悩む。欲しいっちゃ欲しい。ウズラの卵大の死核が三十個。全部で金貨六枚。全部買う金があれば学食のエールが六十杯飲める。

「おっ……お願いします」

「お買い上げありがとうございます」

先行投資、これは先行投資なんだからねっっ!!

勢いで買ってしまった。学生証で支払ったけど残高不足とは言われなかった。権利金が幾ら入っているか分かっていないのに散財しちゃ駄目だろ、俺。そして【スライムの死核】の大量在庫ゲットだぜ。

研磨用とは別に、 木賊(とくさ) と【プルモニアの接ぎ木】に液肥にして掛けてあげよう。