軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第590話

ヒヒーン!!

(「ずるいぞ!!」)

ブルッ ブルッ!!

(「ラパン、仕事中!!」)

「おやおや、【 運魔(ウマ) 】達まで」

「二頭ともボクの獣魔なんです。普段は馬車組合に預けて働いてもらっています」

「複数獣魔持ちはテイマーとしても妬けますね。そちらのカーバンクルもとても愛らしいし」

ムキュウ

そう言われたのを聞くと頬を膨らませてドヤ顔なアンディー。カーバンクルもドヤ顔するんだな。ぷくっと膨らんだ白いほっぺがこれまた可愛いのだ。

(「アンディー、重要そうな話は念話にしてね」)

(「わかたの」)

俺の謎スキル『シン・動物王国』、ただ従魔の保有可能数が増えるだけではないみたいなんだよなぁ。タッキーとチャーモもカウントされてるし、謎の予約数字もあるし。分子の数は動物たちと縁を結んだ数なんだろうか? それこそ “ 動物縁(どうぶつえん) ” なのか?

普通の豚は数年間飼育された後は食肉になる為に旅立ってゆく。一部の優秀な肉質の物はお肉の錬金術で牛肉に変身する。目の前にいる二頭も何れは俺達の口に入ると言う事か……。

そうなると仕事とはいえ畜産施設で働くテイマーというのは精神的に厳しい職業なのかもしれない。後で動物達の居ない所でコッソリ聞いてみよう。

ムキュウ〜ンと鳴きながらアンディーが甘えてきた。豚達はブーブー、プープーと会話をしている。ドングリは食べてもいいけどキノコは食べちゃ駄目だという内容だったり、朽木の芋虫は食べても良いけどキノコは食べちゃ駄目だとか、誰それに子供が生まれそうだとか、そろそろ【 虫不来(むしこず) 草】の種が採れる時期だとか、そんな内容だった。カトリーヌの友達は別の馬車に乗ってるので、仲良しトークと言うよりは古巣の知り合いと近況報告って感じだった。

「それでミーシャ=ニイトラックバーグさんはどの様な従魔と契約されてますか?」

「ボクですか? えーと、ポニーが二頭、グライダー・カーバンクル、【手持ち豚】、コカコッコの雛、【カミチスイコウモリ】です」

「ちょっと待ってください、ミーシャ=ニイトラックバーグさんって学生さんですよね? もしかして 鉱山(ヤマ) 関係の出身とかでしたか?」

「違いますよ」

「そのメンバーだとそのまま採掘に行けますよ。それか浅層のダンジョンでソロ活動する冒険者でしょうか。【加護の鳥】が居たら完璧ですね」

「そう言うイワン=ザールさんはどうなんですか?」

「私は、【 保険家鴨(セグーロ・パート) 】、【レッドブルドッグ】、【 駱駝鳥(キャメルバード) 】、【 岩猿(ロックモンキー) 】ですね。もう少し家族が欲しいところですか、家が手狭になりますし……」

「家、大変ですよね」

「来年から『スワロー』の郊外拡張工事が始まるじゃないですか。私、新しく家を建てることにしました」

「そうなんですね。実はボクもなんです」

家が狭すぎ問題は従魔持ちが陥る共通の悩みだったよ。もしかするとイワン=ザールさんの新居もご近所さんになるとか?

「その従魔の種類ですと新居は南側エリアですよね?」

「はい。庭を家庭菜園にしたいので南側ですね」

「私はまだ決めかねてまして。十時から二時の北エリアは住居に不向きなので土地も比較的安価なのですが、騒がしい工業エリアは従魔向きではないですし……」

「その辺りって確か新規事業の工場が新築されるんですよね? 確かに動物達の安らぐ環境ではないですよねぇ」

「流石、職校の学生さん。お詳しいですね」

「あ、はい。先輩達が開拓に向かってますので開拓話も漏れ伝わってきています」

嘘です。俺が関わってるのでよく知ってるだけです。

そんなやり取りをしているうちに目的地に到着。歩きながらキノコを探し、前回【タロール茸】を見つけたエリアに向かうのだ。他の食用キノコも見つけたら採取し、豚の潜在能力がどれほどなのかを調査する。今回は事前に目ぼしい毒キノコは除去されているので豚さん達がお口の中にフライングゲットしてしまっても中毒しないハズだけど、次からは毒キノコも混在する環境に戻るので、キノコを見つけても口にしないで飼い主に教えるという事を徹底させていくという。

流石に豚達は鑑定スキルを持っていないので、食用の可否は飼い主がその場でキノコを目視し鑑定確認しないといけなかった。【手持ち豚】だったらスキルを取らせてもいいんだろうけどね。流石に数年でお肉になる家畜の豚にスキルは付けさせないわな。

「お疲れさまです。馬車は『地底 娘(こ) 』がお世話しますので帰還予定時間までキノコ探しをしてきて下さい」

冒険者パーティーがちゃんと【 運魔(ウマ) 】のお世話係を担当してました。いくら【 運魔(ウマ) 】達が屈強でドワーフ領内が平和だとは言え、御者ゴーレムと馬車を放置していかれないもんな。御者ゴーレムは非戦闘員なので複数の野良ゴブリンや猪に襲われたらひとたまりもないんだよ。ゴーレムなので硬いけれど全く強くない。【 運魔(ウマ) 】も周囲を気にせず暴れ回るなら戦闘力は高いけど、馬車を守りながらの戦闘は無理だし。

御者ゴーレムはスリープモードになり、ポニー達は馬車を牽引する金具を外され飼い葉と水を貰っている。戦場ではない晩秋の山に連れてくるなら目立つように装備の色を考えないといけないな。【 運魔(ウマ) 】用の軽鎧でもいいし。

ヒヒーン

(「ミーシャを頼むぜ」)

ムキュウ!!

(「わかたの まかせるの」)

「何を言ってるのか私には分からないけど、ラパンもアンディーも仲良しだね」

引率の講師の説明も終わり、俺とカトリーヌを先頭にキノコ狩りが始まった。