軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第591話

【手持ち豚】は飼い主が散歩用のリードを着けて、普通の豚はイワン=ザールさんが指示を出してキノコ探しが始まった。育ちかけの【タロール茸】と【トリル茸】は土の中に埋もれている。大きく育った【タロール茸】は地上にヒョッコリ姿を現しているけれど、それでも落ち葉に埋もれていたりするので慣れていないとその存在を見逃す。

なんだろう、この、何処かで見たことのある光景……。アレだ、前世の警察ドラマで警察犬で一斉捜索するシーン(注:イメージです)だ。

皆、鼻を地面に近付けてクンクンしながら歩いている。犬の散歩とはまた違って可愛い。カトリーヌだけの時は気付かなかったけど、こんな光景だったんだな。

「うわっ、どこ行くん」

ビッツ五号と十四号に翻弄されるカーン=エーツさん。職業ギルドからの派遣組は先に来て現場確認をしていたとの事。

プープー

(「ご主人様、ヌルヌルキノコ有ったしー」)

前回、ナメコやら何やらも探したせいでカトリーヌは俺好みのキノコに反応してくれている。豚達が何かしらのキノコに反応したらリードを引く参加者が鑑定確認して採取する。

ブーブー ブーブー

「ターク、お手柄。おっ、【ジロール茸】じゃないか。偉いぞ」

ブヒブヒ

【ピエトロ=パーネ帽】を被ってないのでタークが何と言っているのか分からないけどね。まぁ、 「見つけた」 「任せろ」 なーんて言ってるんだろう。

プキィ?

プープー

カトリーヌとアグー八号がぶつかった。鼻先と鼻先が接触。挨拶しちゃった状態かよ。これはリードを持つドワーフが注意しないといけないやつだな。

あちこちでキノコ発見を知らせる鳴き声と共に 「【タロール茸】発見」 だの、 「凄え【トリル茸】だ!!」 だの歓喜の声が聞こえてくる。ついでに 「ドングリじゃなくてキノコ探して!!」 と言う悲痛な叫び声も聞こえてくるがな。

「すみませーん、毒キノコです。回収お願いします」

今回は毒キノコが見つかった場合は護衛任務の冒険者に声掛けをして除去してもらう事になっている。

「これは毒キノコを発見してもらうのにも使えそうですね」

「流石に食用種に鑑定スキルを覚えさせるのは酷ですが、鑑賞種や【手持ち豚】なら良いのではないですかね? 牧羊犬にスキルを取らせるのと大差ないでしょう」

学園と錬金術ギルドからも調査員が来ている。流石にリードは持ってないけどね。

ムキュウ キュウ

(「いじょう なち」)

「アンディー、戻っておいで」

キューン

(「わかたの」)

カァカァ カー

「カティー戻っておいで」

アンディーは木の間を飛び回り、参加者の従魔の【ヘブン・レイブン】は上空から監視体勢。地上は警察犬、上空はドローンの 警察二十四時間(フルタイム・ポリス) な捜索番組みたいだぞ。【ヘブン・レイブン】は伝書烏なので、最悪の事態が発生した時に冒険者ギルドに飛んでいって支援を求める役目を担っているのだ。

他にもリスの従魔も来ている。これは恐らく【リスのエビ】作り要員に違いない。

豚の嗅覚により結構な量のキノコが採れた模様。持ち帰ってから選別しなきゃいけないんだろうけどな。俺、貰えるならナメコが欲しいな。買取してもいいけど。

「皆、頑張って【タロール茸】を探してなー。自分はこの後、ヒト族に 高(たこ) う売り付けてくるさかいに」

「【トリル茸】は売らないのか?」

「それも売り飛ばすわ」

「キノコって栽培出来ないんですかね?」

「どうなんやろね?」

「さて、一旦休憩しよう。水分補給を忘れないでくれ。スキルで水が出せない者は俺の所に来てくれ」

「ほな、自分は飴ちゃん配るわ。食べると三百三十三ミートル掘れる飴ちゃんやでー」

それは東京タワーの高さだろ、と心のなかでツッコミを入れる。

ムキュウ?

(「ますたーの あめ?」)

「だと思うよ」

ムキュウ キュウ?

(「いる? もらう?」)

「そうだね、折角だから貰いに行こうか。貰わなくてもオヤツの野草クッキーも【 魔増(マゾ) 草クッキー】は持ってるけどね」

プープ プープ

(「流石、ご主人様。アタシ野草クッキー好きなんだよね」)

「オヤツは銅貨三枚までだよ」

ムキュウ?

(「どちて?」)

「どうしてって……、オヤツを食べ過ぎて探し物が出来なくなると困るからじゃないかな?」

プープー プープー?

(「ご主人様、果物はオヤツに入りますかー?」)

「それは入れたくないかな。それと、ボク的には野菜スティックはオヤツに含まれないと思うけどね」

オヤツは三百円まで。いつの時代のネタだよ。そしてバナナはオヤツに含まれない。今日は持ってきていないけど。それよりカーン=エーツさんだよ。この場で飴を配るとかやるなぁ。

土魔法『土器』からの『汎用魔法』の『注水』で水を飲んでから飴を貰いに動くとするか。まさか直ぐ貰いに動かないからって 「残念、前の人で品切れやわ」 とか言わないでしょ。

プキィプキィ

(「ご主人様、貰いに行こう」)

「カトリーヌ慌てないで。疲れるといけないからスライムバックに入ろうね」

カトリーヌはスライムバックに、アンディーは背中に。飴をもらう為に歩を進めたその瞬間………。

えっ、なにこの………フワッとグワッとした感覚………。おれ、何処かでこれを体験したことがある……って、茶室か!?

そんなまさか、足元に小さく輪になって生えるキノコが有るだなんて……。