作品タイトル不明
第588話
夜の九時だ。何時もの就寝時間よりずっと早い。ちなみにコカちゃんは夜八時になると活動限界が来てしまうのでその前に寝てしまう。ちなみにカトリーヌもよく食べよく眠る子だ。コカちゃんと一緒に籠状のケージで寝ていた。
と言う訳で俺はベッドの上に腰掛けていて、膝の上にはアンディーが乗っている。専用のタワシでブラッシングしながらのグルーミングタイムだ。アンディーとこうやって過ごすのは凄く久し振りな気がする。
(「アンディー、お話しよっか」)
(「わかたの」)
(「急に仲間が増えちゃったから、アンディーとこうやってお話出来なくてゴメンね」)
(「あたち だいじょぶ」)
(「無理しないで甘えていいよ」)
ムキュウ〜ン ムキュウ〜ン
甘ったるく鳴きながらアンディーが体勢をクルリと反転。ヘソ天状態になった。この甘えたさんめ。
撫でたりブラッシングしたりくすぐったり、俺もアンディーを堪能する。三十分程かけて、しっかりとスキンシップをしたのだ。いや、時間無制限で楽しみたい所ではあるがね。
ムキュウキュウ
(「あたち ちあわせ」)
念話で伝えてくれていいのに、幸せな時って人でなくても口から言葉が出ちゃうものなんだな。そんな幸せな気分をブチ壊してしまうのも申し訳ないが、ガジェットとの話を伝えないといけない。
(「アンディー、ガジェットの話をしていい?」)
(「こうもり どちたの?」)
あれ? 怒っていないの?
(「ガジェットなんだけど、アンディーはあまり快く思ってない感じだよね」)
(「あたち こうもり すき ちがうの」)
(「ボクもね、成り行き上ガジェットを獣魔にしちゃった訳だけど、獣魔はボクにとっては皆んな家族みたい関係なんだ」)
(「あたち ばーばと おなじ?」)
(「そうだよ。皆んな大切な家族だよ。ワギュもラパンも、アンディーもカトリーヌも、コカちゃんもガジェットも。オロール先生も 三毛皇(みけおう) 閣下も大切な家族。そして、パイクお義祖父さまにフィオナお義祖母さま、リンド=バーグさんとアリサお姉ちゃん、皆んな大切な家族なんだ」)
(「みんな いっちょ みんな かぞく」)
(「だから、アンディーがガジェットと喧嘩したらボク、悲しいな」)
(「ますたー かなちむ だめなの」)
(「ガジェットもちょっと変わった子だけど、仲良くして欲しいな。でもどうしてガジェットと喧嘩しちゃったの?」)
とは言え、一方的に喧嘩を売ったのはアンディーなんだけどな。
(「こうもり ますたー かってに のったの」)
(「あの梁を直した時?」)
(「やせいの こうもり ますたー のったの きけん なの!!」)
(「そうか、それで怒ってたんだね」)
(「あたち ますたー まもるの」)
ガジェットが空腹でフラフラだったとはいえ、獣魔でもない野生のコウモリが勝手に俺の背中を取ったからアンディーが怒りまくったって事だったのか。言われてみれば【カミチスイコウモリ】は一応とはいえ魔獣なんだから、背後を取られるのを許しちゃいけなかったな。
(「アンディーがどうしてガジェットに怒ってたかが分かったよ」)
ムキュウ〜ン ムキュウ〜ン
アンディーはそこまで話すと甘えながら胸元にしがみついてきたので優しく背中を撫でてやった。アンディーなりの責任感だったんだな。
(「ガジェットはコウモリだから何かにしがみつきたがるし、誰かの背中に貼り付きたいんだと思う。ほら、アルチュールさんの背中に貼り付いて空を飛んでたし」)
(「みたの わかたの」)
(「アルチュールさんの背中をガジェットにあげればアンディーも納得する?」)
(「するの!! くるらほーん せなか あげるの」)
(「それともアンディーが背中に乗せてみる?」)
(「だいじょぶ ちがうの あたち とべるの」)
流石にアンディーにガジェット装備は不要であったか。サイズ的にカトリーヌがギリギリかな。コカちゃんは装備したら飛べそうだけど。
(「アンディー、ガジェットと仲良くしてくれる?」)
(「ますたー おねがい あたち きくの」)
(「ありがとう。そうだ、ラパンもちょっと変わった子だけど仲良くしてあげてね」)
(「わかたの」)
(「ところでガジェットをクルクルしてたけど……」)
(「くるくる たのちいの」)
俺もアンディーが居なかったら多分回してたぞ。アンディーじゃないけどワイングラスにコウモリ入れてクルクルしてみたいわ。
(「アンディーも籠に入れられてクルクルされたくないよね?」)
ムキュウ!!
(「やなの!!」)
(「じゃあ止めようね」)
(「わかたの」)
(「アンディーはお利口さんだね。よし、ご褒美になでなでするよ」)
ムキュウ〜ン ムキュウ〜ン
そう言えばアンディーって何かから逃げてきてたっけ。それとガジェットへの態度は関係ないと思うけどね。
(「ますたー いっちょに ねるの」)
(「そうだね、そろそろ寝ようか。おいで」)
ムキュウ
アンディーが胸元に潜り込んできた。寝返りを打った時に潰さない様にしないと。少しひんやりとした部屋でアンディーと一緒に寝るのは俺にとってもご褒美だったよ。