作品タイトル不明
第586話
(共)「あれ、オロール先生? 何でここに居るんです?」
(共)「あ、ああ。コウモリの観察だよ」
ムキュウムキュウ
(「ますたー こうもり くるくる ちたの」)
うわっ、クソデカワイングラス!! 昭和に活躍したダンディ俳優さんが売り出したグラスにそっくりだな。アンディーが巨大グラスの脚を両前脚で掴み、中に入り込んだガジェットをクルクル回していた。スゲーな、カミチスイホイホイ。マジで入るんだ。
キィ〜〜 ギ…ギッ
(「姐さぁ〜〜ん」)
「ガジェット、大丈夫?」
キイキイ……
(「なっ、何とか……」)
ムキュウ?
(「ますたー くるくる ちて」)
「えっ、ボクも?」
やべぇ、メッチャくるくるしたいわ。
キイイ キイイ〜〜
(「ご無体なぁ〜〜」)
コウモリを回しますか?
A:はい
B:いいえ
びっ、Bで……
ファイナルアンサー?
ファ、ファイナルアンサー……
ドゥルルルルルルル…… (ドラム音)
…………正解!!
脳内で繰り広げられる謎の問いかけ。ガジェットをクルクル回したい欲求に耐え切ったぞ!!
「アンディー、ガジェットをクルクルし過ぎて飛べなくなったら職校も困るんじゃないかな? それぐらいにしてあげようね」
キュウ〜ン
キイキイ……
キュウキュウ!!
ガジェットがクソデカワイングラスを体験した後の感想は、グラスに嵌って回わるアニキが見える……、だった。クルクル回るアルチュールさん、あるかもしれない。どう考えても全く無いとは言い切れない。
そして【全自動式カミチスイコウモリ・ホイホイ】というネタを思いついてしまった。台座にクソデカワイングラスが据え付けられていて、付属の赤ワインプッシャーから少量の赤ワインがグラス内に注がれる。ゴーレムアイか何かの監視システムで【カミチスイコウモリ】がグラスに入った事を検知したら台座のワイングラス固定部が回転する。という魔道具だ。赤ワイン醸造所か赤ワイン酒場以外では役に立たなさそうな魔道具だけどな。
(共)「ん? ミーシャ、悪い顔をしているよ」
(共)「あっ、ちょっと思い付いた魔道具が……」
(共)「当直講師に伝えればいいのではないかい? それより何でまた職校へ?」
(共)「そうだ、ボク、ハーレー=ポーターさん宛のお手紙を預けに来てて……」
危ない危ない、クルクル回るガジェットを目の当たりにしたせいで手紙を預けるのを忘れるところだった。
ついでに【全自動式カミチスイコウモリ・ホイホイ】のネタも伝えたら当直の講師が大ウケしていた。記録されていたのでこれもハーレー=ポーターさん行きかな?
念の為、明日は馬車に乗ってキノコ狩りに参加する組だと伝えておいた。報連相だね。そしてコカちゃん、ガジェット、オロール先生は参加しません。
まさかね、アンディーがあそこまでカミチスイホイホイに興味が有ったとは思わなかったよ。興味というよりはマウントか? そして手の中で転がすって表現がそれこそ文字通りだったわ。
ムキュウムキュウ キューン
キュウ キュウ
ムキュウ〜ン
謎のアンディーの独り言。何となくご機嫌な事は鳴き声のトーンで分かる。出来ればくるくるガジェットは控えて欲しいな。経緯は不本意だったけど、それでも獣魔契約した以上は楽しく過ごさせてあげたい。後でアンディーと話し合うか。取り敢えず念話で俺の気持ちを伝えておくか。
(「アンディー、今念話で話しかけてるよ。お部屋に戻ったらアンディーとお話したい事があるんだ」)
(「あたちだけ?」)
(「そうだよ」)
(「わかたの」)
急に獣魔も増えたし、俺もしょっちゅう気絶しては心配させているのでアンディーもストレスが溜まってそうなんだよなぁ。皆可愛いけど、手頃なサイズと独特の手触りもあって一番可愛がってしまうのはアンディーなんだよ。
ムキュウ ムキュウ
気付いたらアンディーが背中から胸に移動していた。スライムバックも有るからちょっと狭苦しい。
(共)「おやおや、アンディーはミーシャにだったら好きなところに捕まるんだね。私にだと肩にすら乗ってくれなかったよ」
ムキュウ
(「ますたー だいちゅき」)
(共)「ありがとうね」
プープー
(「アタシもご主人様好きだしー」)
コッピョ コピョ
(「ぼくもヒゲママ、だいすきだよ」)
(共)「おやおや。ミーシャは皆にモテモテだね」
(共)「早く新しいお家が出来ればいいね。そうしたらお風呂にも一緒に入れるよ」
ムキュウキュウ
(「あたち ますたー おふろ みはるの」)
(共)「おやおや、ミーシャはお風呂も心配されているのか」
(共)「ボク、よく逆上せるので」
お風呂の見張り番はアンディーじゃなくてヤーデさんなんだけどね。そうだ、ティラミスっぽい何かをお供えしないと。マスカルポーネチーズの存在が微妙だ。それは生クリームかクリームチーズで代用かな。甘さ控え目でお酒が効いていればドワーフも好きそうな気がする。何だっけ、他にもお酒が染みたケーキが有った様な記憶があるけど思い出せない。ケサランパサランでもないしバサラでもない。サラバは別れの言葉ではなくていつか会う為の約束の呪文だったか。サンプラーは違うな。後でミケヲさんに聞いてみよーっと。
{ ―― それはサバランですね。私、そちらも食べてみたいです ―― }
ヤーデさん、情報提供ありがとうございます。ぶっちゃけ単に食べたいって事なんですね。