軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第581話

コカッ コカッ コカコッコー!!

タッキーがよく通る声でお出迎えしてくれた。

俺の後から消毒を済ませたラルフロ=レーンさんとリンド=バーグさんが飼育場内に付いてきた。どうやらコカコッコがホタテビキニ(ハーフ)を装備する姿が見たかった模様。この二人はそれぞれ魔道具職人と 大(おお) 鍛冶師なんだから、そこまで珍しい光景でもないと思うんだが。

コカコッコー

(「なかなかスッキリしたな」)

コッコッコッ

(「あなた、素敵よ」)

コカコッコッコッ

(「お前も似合っている」)

コカコッコー!!

コカコッコー!!

うーん、いきなりコカコッコの惚気を見せられた。ごちそうさまです。

「今のは?」

「お互いに 「似合ってる」 って言ってますね」

「コカコッコも好いた綺麗だなんて言うんだな」

「タッキーとチャーモは仲良しですからね」

コカッコ コカッコ

(「俺は少しギザギザ感が欲しい」)

「分かりました。ボク、ここに翼の柄を掘り込もうと思ってるんですけど要りますか?」

コカコッコー!!

(「ヨシッ!!」)

コッコッコッ

(「まぁ、素敵な提案ね」)

「チャーモの【ホヤッキー】にはお花の模様を掘り込みます」

「それで花の柄が線描きされてたのか」

「はい」

コカコッコー コカコッコー

(「チャーモを素敵にしてくれ」)

いつ見ても仲良し夫婦だ。いつかコカちゃんにも素敵なお嫁さんを迎えてあげないとなぁ。勿論、他の皆にもだ。俺は要らんけど。

コッピョ コピョ

(「ヒゲママ、このおじちゃんたちは、だれ?」)

「ボクの知り合いで、魔道具職人のラルフロ=レーンさんと、 大(おお) 鍛冶師のリンド=バーグさんだよ。仲良くしてあげてね」

コッピョコッピョ

(「ぼく、コカちゃん。まどおじ、かじおじ、よろしくね」)

「ミーシャ、雛は何て言っているんだ?」

「ぼく、コカちゃん。まどおじ、かじおじ、よろしくね。と言ってますよ」

「まどおじ?/かじおじ?」

ラルフロ=レーンさんとリンド=バーグさんが自身を指差しながらそう言う。

「コカちゃん的には普通ですよ。オロール先生なんか “ 酒ババ ” 呼びですから」

「そんなミーシャは何と呼ばれているんだ?」

「ボクは “ ヒゲママ ” です」

コッピョ コピョ

(「ヒゲママ ヒゲママ」)

「あ、その髭飾り、もしかしてコカコッコの羽根を使ってるのか?」

「はい、そうです」

「ドワーフだけど親だと認識させるって事か。それでヒゲママになった……と」

「コカちゃんは髭飾りは関係なくボクに懐いてくれてますけどね」

「親認識用は兎も角、コカコッコ素材は羨ましいぜ」

結局はそこかーい。

「ラルフロ=レーンさんもリンド=バーグさんもコカコッコにお願いしてみてはどうですか? ボク、前に蹴爪を頂きましたし」

「あっ、あのボタンの素材はこのコカコッコの蹴爪かよ。よく見たら確かに片脚の蹴爪が短いじゃねぇか」

「はい」

コカッ?

(「蹴爪が欲しいのか?」)

タッキーがラルフロ=レーンさんに蹴爪を見せ付ける様に歩を進める。

「蹴爪を見せ付けてくるじゃねぇか」

「ラルフロ=レーンさんに蹴爪が欲しいのか聞いてますよ」

「欲しい!! コカコッコ、俺に蹴爪をくれ……いや、コカコッコさん、俺に蹴爪をください」

急に卑屈になったぞ。ラルフロ=レーンさんらしくねぇなぁ。いや、そこまでしても欲しいのか?

コカコッコー コカッ コカッ

(「ミーシャ、渡した蹴爪から少し切って渡してやれ」)

「はい、分かりました」

「ミーシャ、コカコッコは何て言ってる?」

「ボクに渡した分から少し切って渡す様に言われました」

「根本側を五サンチミートル……」

コッカーーッッ!!

「……は長すぎるな。二サンチミートル…で頼む」

コッコッコッコッ

タッキー、厳しいな。あっ、切り取り云々で思い出した、ホタテの貝殻の切り落としを渡すのを忘れてるぞ。

「切り取りで思い出しました。これ、【ホヤッキー】の切り落としです。食べる…んですよね?」

コッコッ コカーッ

(「おお、有難い」)

コカコッコー

(「美味しそうね」)

貝殻の切り落としを渡してやると、地面に置いて嘴で突き始めた。鋭い嘴の攻撃により砕破される貝殻。そして二羽は貝殻の欠片を啄みはじめた。やはり食用だったか。

コカコッコー コカコッコー

(「美味い、美味いな」)

コッコッ コカー

(「コカちゃんもお食べなさい」)

コッピョ コピョ

(「はーい」)

あの貝殻が砂嚢に行くんだな。消化を助け、魔力も補充って事でOK? アレってドワーフが食べても大丈夫なのかな?

コッピョーー?

(「ヒゲママもたべる?」)

俺の視線が気になったのか、コカちゃんが貝殻の欠片を小さな嘴で摘んで俺に渡してきた。

「ありがとう。いただきます」

瞬間的に『浄化』を掛けてホタテの貝殻の欠片を口にした。コカコッコが触っているから毒とか汚染とかは除去されてるだろうけど、地面に直置きされたから『浄化』だけは掛けたかったのよ。

ガリッ……硬い、砕けねぇ!! このままガリガリやってたら歯に悪そうだ。そのまま飲み込むしかないな。

コカコッコー!!

コッコッコー

コッピョ コピョ

「喰った……のか?」

「あ、はい。貝殻なので特に変わった味はしませんよ」

「そこで喰うのかよ!!」

「でも、仲良くなれますよ」

ラルフロ=レーンさんがぐぬぬ…している。毒でなければペットの餌を味見するとかって普通じゃないの?

「そうか……。貝殻は無理だが羨ましい」

そんな、リンド=バーグさんまで!!

「あの、【野草クッキー】でよかったら一緒に食べてみませんか?」

「【野草クッキー】?」

「美味しいですよ。ボクはアンディー達と一緒によく食べていますし」

「う……、ミーシャ、分けてくれ」

俺から【野草クッキー】を渡されたリンド=バーグさんはコカコッコ親子と仲良くシェア。三羽と一人、互いに言葉は通じていないけど、何だか仲良くなってるぞ。

コッコッ コカー

(「うむ、それでは尾羽根を一本やろう」)

「申し訳ない。恩に着る」

コッコッコッコッ コカコッコー

(「いや、お前はそこの男と違ってまだ話が通じる」)

プッ……。タッキーの感想に吹いてしまった。リンド=バーグさんがコカコッコの尾羽根を所望した理由は、アリサお姉ちゃんと一緒にカクテルを楽しみたかったから。コカコッコの尾羽根で混ぜるとエグみが減り、尚且つ悪酔いしなくなるんだって。つまりどんなお酒を混ぜても美味しく悪酔いしないカクテルが完成する。それなら俺も試してみたい。

タッキーは嫁思いのコカコッコだから、リンド=バーグさんのお願いを聞き入れてくれたという訳だ。タッキー、紳士だな。