軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第571話

よかった、意識が落ちる前に茶室に入れた。来訪者カウンターは一つ増えて三人目になっていた。今後日本人転生者が見つからなければ、俺が茶室にお邪魔した回数が分かるだけの代物だな。ナツメグさんもこっちの世界に来てくれたらいいのに。

「いやぁ、未婚の異種族同士で養子縁組が出来るとは、流石は異世界だね。吾輩、まさか中身がオッサンでボクっ子の髭の生えた妹が出来るとは思ってもみなかった」

随分な言い草だぞ、おい。

「俺もまさか最年長で妹ポジションになるとは思ってもいませんでしたけどね」

「ヒト族の年齢に換算して……って、ペットの年齢計算みたいだとは思わないかい?」

「五歳の犬が人間なら何歳相当……ってやつですよね?」

「そう、それ」

「年齢と言えば、俺は一気に四十歳に設定しちゃったから髭の生え揃い期間を体験してないですけど、ドワーフの場合は大体が三十歳ぐらいから髭が生え出して、十年ぐらいかけて伸びていくらしいですね。初回は長いけど、次からは全剃りしても三年ぐらいで生え揃うみたいですけど」

「じゃあ、あの商業ギルドにいるロリん子ちゃんは三十歳なの? ヒト族換算で十歳くらい?」

「ナオ=エーツさんの事ですか? ギルド職員のホーク=エーツさんとカーン=エーツさん兄弟の姪っ子さんですね。まだ髭無しですから多分それぐらいの年齢なのかな?」

「三十歳の幼女……。でもあんな小さい子を働かせていいの?」

「あれ、託児してるんです。ナオ=エーツさんのご両親が長期出張の旅に出たので叔父さん達が預かってるんですよ。ちなみにナオ=エーツさんの立場は商業ギルド職員見習いです。簡単なお手伝いをしてくれています」

「成る程。商業ギルドに置いておく為の方便と言う訳か」

「そんなところです。髭無し達は色々と作業体験をするものなので特に問題は無いみたいです」

「そしてミーシャ君は四十歳の中二……」

「はい、そこで切らない!!」

「四十歳で中二のニイト……」

「それって何ハラスメントですかねぇ? “ 恨み晴らすメン ” の始末人召喚案件ですかねぇ……。ミケヲさんは相手にするなら誰がいいです? 撲殺男装若様? エレキの 輝(テル) さん? おばさん? おっかさん?」

「はっ、反省!! 吾輩、反省!!」

俺は刀研ぎ師の 南無(ナム) さんが好きだっけどね。伸縮自在の釣り竿が武器の太公望のご隠居も良かったけど。

「ところで、ミーシャ君には従名誉猫獣人になった記念でネコヒゲが生えてきたと思うのだが、役に立っているかね?」

「えっ!? 何ですかそれ。俺、知りませんよ」

「いや、そんなハズは……」

「パイクお義祖父さまもネコヒゲの話はしてませんでしたし」

「いや、結構便利なネコヒゲなのよ。気配察知が出来るとか、狭い場所でも通り抜け出来るか分かるし。こう吾輩みたいにピョーンと生えて」

「あ……多分編み込まれてます。作業の邪魔にならない様に纏め上げるので」

「便利なのに……。こう、独立させてみては?」

ミケヲさんが自身のネコヒゲを触りながらヒゲを掴んだ指を上下左右に動かす。指を離すとネコヒゲがビョンビョンと揺れる。

「いや、その、アホ毛状態はマヌケ過ぎません? 編み込んだ髭からネコヒゲが飛び出るんですよ。アホ毛ならぬアホ髭ですよ」

「うん、アホ髭だね。忘れてくれたまえ」

俺でなくてガルシアさんならネコヒゲも似合いそうだけどな。

しかし雑談で盛り上がるのもなぁ。この茶室は内密の話をする為の物ではないのかい?

「話は全く繋がらないんですけど、ニチアサ戦隊モノが終わってしまい、ラストの年が “ ドキッ、レッドだらけのニチアサ戦隊 ” で、後任が “ 刑事 ” だと言う情報を入手しました」

「マジで? それってどこ情報?」

「白い空間で俺の担当をしてくれた人が神上がりしてまして、そこからの情報です」

「それならフェイクではない系か……。ちなみに吾輩、昔の銀河刑事もリアルタイムで見ているのだがね。って、その神上がりした担当者もまさか日本人関係とか?」

「そこは分かりませんけど。ただ……」

「ただ?」

「やたら日本人に刺さる天の声を投げかけてくれるのは確かです」

ヤーデさんにはいつもお世話になっております。早く緑の翡翠を研磨して奉納したいです。

「吾輩ね、クルラホーンが気になるのよ。コウモリ合体で飛ぶやつ。メッチャ見たい」

「なかなか味わい深かったですよ」

「見たい、吾輩、超〜ッッ見たい!!」

「コウモリのガジェットは従魔にしてしまいましたし、クルラホーンのアルチュールさんは冒険者パーティーメンバーなので、パーティー解散さえしなければ何時でも見れると思いますけど。アルチュールさんも俺の新居に居候しますからね」

「でも吾輩は早く見たいのだよ」

「そうそう、アルチュールさんが某有名豪華客船沈没映画のワンシーンに出て来るポーズを取ってくれましたよ。セリフ付きで」

「うわー、見たい見たい!!」

「どうも背中装備の魔道具の開発のヒントになるとかで、研究対象になってましたけど」

「それはまた凄い話だね。報酬が凄そうだ」

「それが、赤ワインでいいから安上がりみたいですよ」

「他には何か面白いネタは? 吾輩好みなら嬉しいね」

「ミケヲさんが好きそうなネタですか? あ、ネコ車は順調に開発されてますよ。魔改造されるのも面白そうなので、今度オープンカー仕様の馬車にネコ車をサイドカーとして接続してみたらどうですかね? ってネタ振りをしてくるところです」

「サイドカー!! これまたヒャッハーな」

「コタツもコタツで馬車にトランスフォームさせられそうですし」

「そこにサイドカーを合体。カオスカオス」

止めてあげて……。でも馬車にネコ車を付けて移動し、現場に到着したら外して使うのは悪くないかもしれない。

「そうそう、コタツと言えばミカンと麻雀だとは思わないかい?」

「そうですね」

「ミーシャ君は麻雀は打てるの?」

「打てますよ。積み込みとかは出来ませんけどね」

「それは良かった。吾輩、異世界で麻雀を流行らせようと画策していてね」

麻雀!? 麻雀なの? 異世界転生モノ定番の白黒反転リバーシーでなくて麻雀? 囲碁・将棋・チェスじゃなくて麻雀なの?

「ん? 不満かね? バックギャモンの方が良かったとか? それとも海賊救出危機一髪の方がウケるとか?」

「いや……ちょっとビックリしただけです」

まさか、コタツの目的が麻雀だったとは。潜って丸くなりたい訳じゃなかったんだな。