軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第569話

シンプルな焼きそばパンは冷えたエールと合う。今回挟んだのはソース焼きそばだったけど、塩焼きそばにしてもいいかもしれない。焼きそばじゃなくてナポリタンを挟んでもいいけどな。

十分な量があるので先ずは神様にお供えから。奉納したことで神様の世界にも焼きそばパンが伝わったと思う。焼きそばパン自体は前からあるかもしれないけど、奉納されて神様に届いているかどうかはまた別だろうし。

そして冷やしエール。シンプルに美味い。気を良くしたオロール先生が次元収納から【 酒盗練(シュトウレン) 】を取り出してくるし。【 酒盗練(シュトウレン) 】って焼きそばパンに少し挟んでも美味いんだな。

コッピョ コッピョ

(「さけババ、こいしおのにおいだよ。きけんなごはんだよ」)

「おやおや、コカちゃんにはバレてしまうのかい」

「塩分過多と言えば吾輩、辛子明太子の解し身をクリームチーズと混ぜたものをフランスパンに塗って食べるのが好きだったね」

「辛子明太子、美味しいですもんね。辛子明太マヨとかタラモディップとか」

「それはどんな料理だい?」

「あ、タラコという小さい粒の魚卵を塩と唐辛子で漬け込んだ辛子明太子という物がありまして、それをクリームチーズやマヨネーズなんかに混ぜたものです。パンに塗ったりサラダに添えて食べます」

「スケトウダラという鱈の一種の魚卵だね。鱈の子はまた別の魚卵だよ」

「異世界の魚卵も気になるねぇ」

「それより、焼きそばパンは冷えても美味しいんですよ。むしろ冷えていたほうが本来の焼きそばパンと言うか……」

夕飯には少し物足りない感もあるけどね。まぁ個数があるから我慢してもらおう。

お供えの焼きそばパンだけど片付ける必要はない。供えっぱなしにしておくと大抵は朝には無くなっているからだ。家に居着く妖精が食べているからだとも神様が持ち帰ったからだとも言われているが、本当のところはよく分かっていない。家主や施設の職員が片付けていない事は確かだけど。まぁ、上様に届けばそれで良しです。お供えされたお酒はクルラホーンが飲み干している気もするが。

「そのうち吾輩の屋敷にミーシャ達を招待したいね。妃達にも紹介したいし」

「それは遠慮したいです。あっ、そうだ、お妃様達にお近付きの印ということで新年飾りをつくっているんです。まだ完成していないんですけど」

「いいね。あの新年飾りは評判が良くてね。吾輩の予想では多分奪い合いになると思うのだよ」

「喧嘩にならない様に五色展開でご用意していますよ」

「五色?」

「はい。赤・青・黄・緑・桃です」

「あ、戦隊モノの順番か」

「はい。定番の順番です」

「ミーシャ、戦隊モノとは何だい?」

「前世でボクの国で流行っていた特撮、あ、特撮と言うのは演劇の一種です。ボクのいた世界には魔法が無かったので、魔道具みたいな道具を使って魔法を使ったみたいに見せるお芝居が流行っていたんです」

「そうそう。個別にテーマカラーが決まっていて、五人のメンバーで組むパーティーが有り、それが魔獣の様な敵や魔族の様な敵と戦って街に平和をもたらすという小芝居だよ。吾輩の時は 五連星(ゴレンセー) だね」

「それ、初代ですよね。ボクの時は 五古獣者(ゴコジュウジャー) です」

「吾輩、それも知ってるね。 五忍者(ゴニンジャー) とかも好きだった」

「それが五色の冒険者みたいなものなんだね」

「はい。全員が戦士みたいなものですが」

「何やらバランスの悪いパーティーだねぇ……」

そこは勘弁してほしい。そして戦隊だけでなく宇宙人もいれば改造バッタ怪人もいる。アニメになると勇者ロボットも魔法少女も海賊もいるしなぁ…。あ、魔獣をテイムしてゲットするアニメもあるわ。

「それは基本的に魔法が無い世界だからな。いや、魔法を使う戦隊もあったな。 奇魔術隊(トリマジー) 」

「魔術とか言ってるクセにジャグリングや新体操で戦ってましたよね」

「ミーシャ君、そこは大人として目を瞑るところだよ……」

戦隊多すぎ問題。バッタ怪人もバッタ以外も沢山いるし、バイクに乗らないし。日曜の朝の懐かしい記憶だよ。

{ ―― 最後は ドキッ、レッドだらけのニチアサ戦隊 でしたよ ―― }

マジか!? 生きてる時に見たかった!! ポロリ、ポロリは……?

{ ―― レッドがポロリしたら後任の刑事に捕まりますよ ―― }

「ミーシャ、どうかしたのかね? 部屋の隅に霊でも見えたか?」

「いえ、別に」

そうか、ヤーデさんの声は俺にだけ聞こえるんだな。便利なのか不便なのか……。

「 三毛皇(みけおう) 閣下はそろそろお帰りの時間ですか?」

「いや、吾輩、今夜は帰りたくない」

「なぜそこで雰囲気を出してくるセリフを使うんですか? それと、泊まっていただくにしても宿がありませんけど」

「いくら親子兄妹でも職校の女子寮に泊まるのは無理だろうね。そもそも 三毛皇(みけおう) 様は学生でも講師でもないんだよ」

「いや吾輩、部屋のグレードは気にしないから」

「職校に宿直室って有りましたっけ?」

「有るけど当直の講師が使っているだろうね」

「あ、従魔の待機場所なら空いてるかもしれないですね。でもセキュリティの問題が」

「セキュリティだったら各ギルドの奥の間が安全地帯だよ。それこそ商業ギルドに泊まればいいじゃないか」

職校も商品の保管場所はセキュリティがバッチリなのだけど、そこは間違っても宿泊が可能な場所ではない。

「仕方ない、吾輩は商業ギルドに一泊し、明日帰るとするよ」

「それこそ、ボクの家が出来てからも泊めるのが大変ですよね」

「そこは地下室あたりに吾輩専用の転移陣を設置すれば問題無いのだよ」

うーん、要人が家族になると色んな問題が生じるじゃないか。面倒くさいなぁ……。

(日)「では後ほど、茶室で」

ミケヲさんが日本語で夜襲予告をしてきたぞ。そうか、それが目的か。