軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第567話

もっと研磨していたいけど、オロール先生とミケヲさんとの家族団らんもあるし、コカちゃんも迎えに行かなきゃならない。そして軽く粉っぽくなってしまったからサッとお風呂にも入っていきたい。まぁ『汎用魔法』で綺麗には出来るけど気持ちの問題って事で。

「この部屋って集塵の魔道具は無いんですね」

「あれは高いから。それでもこの部屋は強めに換気がかかる様にしてあるけどね。集塵の魔道具の小型版もあるけど、それでもいい値段がするからねぇ……。ミーシャ=ニイトラックバーグは買うの?」

「いえ、小型版は見たこともないので」

「小型版の上級品なら買って損はしないと思うよ。まして自宅工房で【ホヤッキー】研磨や鉱石研磨をするならね」

「検討しておきます」

「まぁ、卒業までは職校に設置されている魔道具を使えばいいよ。私もあれを使いたいがために 職校(ここ) から離れられないんだ」

「ザン=ギュラー先生の作品は大型なものが多いんですよね」

「そうだね。本当は小振りな物を沢山作って、 芸術(アート) の 応酬(ラリー) をしたいんだけどね」

「それ、複数の作家や職人さんが参加したら素敵ですよね」

「溢れる芸術。作品の応酬。 超芸術応酬(スーパー・ラリー・アート) だ」

「その時は色んな人が参加できる作品展を開催して下さい。参加者の力量でエントリー枠を区分したら初心者から特級職人まで楽しめる作品展になりますよね」

「分けるなら、 超芸術応酬(スーパー・ラリー・アート) ・上、中、下かな。いい案だね、楽しみが増えたよ。その時はミーシャ=ニイトラックバーグも【ホヤッキー】を出品してね」

「あっ、……はい。善処します」

そこでホタテビキニがブーメランで帰ってきた。ブーメランと言っても形状はフライングディスクだけどな。ホタテビキニをポーンと放り投げて犬に取りに行かせたくなった。犬……じゃなくて犬系の魔獣かもしれないが。

ヘルハウンド、ケルベロス、オルトロス、ガルム、クー・シー。狼も混ぜたらフェンリルもいける? マルコシアスは魔獣じゃなくて悪魔の名前だったか。

可愛い?ワンワン達がホタテビキニを加えて戻ってくるシーンを妄想してしまった。確実に可愛いのはクー・シーなんだろうな……。想像しなきゃよかった。うん、反省。

タッキーとチャーモ用のホタテビキニ、それぞれの縁の形状リクエストに応える為に混ぜ墨を少しポーション瓶に入れて持ち歩く事にした。筆や木製ペンが有ればその場で大体の輪郭線を写せるし。ペンが無くても薪用の柴か何かの細枝の先を尖らせればいいし。タケの仲間のペンには憧れないけど、羽根ペンって何だか憧れる。

そして鉱石研磨の講師は非常勤講師で春になる頃に赴任してくる事が判明した。普段は『マウンテン=ペアー』領内で仕事をしていて、要請があれば赴任しにきてくれる職人さんだった。どうやら宝石系は職人さんに直接弟子入りする人が殆どらしく、お試しで研磨をしてみたい人に指導をしてくれる職人さんが少ないのが講師不在の原因だったよ。それで俺みたいな野良の研磨好きが珍しいんだな。ラルフロ=レーンさんが声掛けしてきた理由はそこだったんだな。それにカボションカットだったらそこそこの砥石と 木賊(とくさ) があれば素人でも何とか研磨出来るから……な点もあるだろうし。

結局、お風呂は諦めた。色々と準備してたからオロール先生達との合流に間に合わなくなりそう。アンディーとカトリーヌを連れてコカちゃんのお迎えから。悪いけどガジェットは放置で。アルチュールさんの泊まっている階段タンスの棚に “ ガジェットと飲んで下さい ” と書いたメモと共に赤ワインを詰めたポーション瓶を置いておいたよ。

タッキーとチャーモに作業途中のホタテの貝殻を見せたら楽しそうに試着してくれた。試着出来るって事は魔力痕が無い証拠でもあるのでホッとした。指示通りの位置に混ぜ墨で輪郭線を引く。明日はこの位置合わせて縁を整えてこねば。そしてまた試着してもらって微調整を繰り返す。最後はここで整えてもいいかな。

コカコッコー コッコッ

(「どうかね?」)

コカッ コカコカッ

(「素敵ですわよ。私はどうかしら?」)

コッカコッココー!!

(「似合ってるぞ。仕上がりが楽しみだ」)

「気に入ってもらえる様に頑張ります」

コッピョ コッピョ

(「ヒゲママ、どこいくの?」)

「オロール先生達と待ち合わせだよ。新しい家族が増えるから皆に紹介するからね」

商業ギルドに到着。良かった、俺の方が到着が早かった。変な所で約束時間の五分前までには……って気を使っちゃうよね。

「ミーシャはん、また色々やらかしてん」

「あ、カーン=エーツさん、こんばんは。儲かりまっか?」

「あきまへんわ」

「えっ、駄目でしたか?」

「あかんがな。誰のせいやと思うてんの。全く、スッポンポンの鍋とか、分かって言うてはります?」

「まぁ、そこは……」

「ホンマに?」

「裸族の為の鍋じゃないですよ」

「分かっとるわ。ほなまたな。今から出張なんよ。働いて働いて働いて儲けます、やわ」

先日の松茸メニューがカーン=エーツさんに伝わったのか。勇者の愛したメニューって触れ込みで売り込みですか。ご苦労さまです、いってらっしゃい。