軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第553話

「と言う訳で 三毛皇(みけおう) 閣下と一緒にオロール先生と養子縁組を組むことになりました。パイクお義祖父さまに相談する前に決まってしまって申し訳ありません」

「ミーシャ、良かったのう」

「いきなりの事でボクもびっくりしちゃって。でも、パイクお義祖父さまの庇護養親とリンド=バーグさんの庇護保証人は解消しない事にしたいのですが大丈夫ですか?」

「おう、おう、嬉しいのう。ミーシャは儂らとの縁を残してくれるのじゃな。それと庇護氏族名はどうするのかのう」

「そのままでいきます。もし将来オロール先生の姓を受け継ぐ事があれば、ミーシャ=ニイトラックバーグ=オベールと名乗ろうと思っています」

「 三毛皇(みけおう) 閣下も改姓出来るお立場ではないしのう」

そう言われてみたらそうだった。

氏族名や家名に拘らず縁を繋ぐという行為はドワーフにしてみれば先祖や個人の技術や知識、生き様等を継承するという行為であって、その為なのか他種族間で婚姻や養子縁組をする事に多大に寛容なのだった。なので、古代エルフに猫の人とドワーフの養子がいても一向に構わないと言うか気にしないのだと。古代エルフも古代エルフで寿命の短さをカバーする為に長命種に使命を託す事に拒否感は無い模様。

寿命と言えばオロール先生とパイクお義祖父さま、このお二方の寿命の残り時間は多分同じぐらいなんじゃないかと毎度思ってしまう。下手をしたらオロール先生の方が不摂生でパイクお義祖父さまより早く天寿を全うしてしまいそうだが。

そうそう、ドワーフは髭が生え揃ったら一人前の大人扱いをされるので、肉親や養親に相談なく結婚したり養子縁組をしたりしても何の問題も無かった。元々の氏族から独立して分家氏族を立ち上げる時だけは本家筋に相談をして了承を得ないと駄目だけど。

「そうじゃ、新年を迎えたらあのマリイン=リッジが『スワロー』にやってくるのじゃよ。振興地区で農業をする為じゃな」

「それは賑やかになりますね」

「どうも冷却魔法に関する何らかの魔法が生えたらしいのじゃよ」

「えっ、凄いじゃないですか」

「マリイン=リッジはまだ若いからのう、どれぐらい総魔力量が上がるか楽しみじゃな」

パイクお義祖父さまはホッホッホッと笑いながら最後にニヤリと目を細めた。うん、悪い笑顔だ。

それからリンド=バーグさんの家に向かった。相変わらずアリサお姉ちゃんのバトルアックスを試作していたよ。アリサお姉ちゃんは『地底 娘(こ) 』のメンバー会議で外出中。オロール先生と養子縁組をする旨をつたえたら 「良かったな」 と祝福された。

「それじゃオロール女史はミーシャと同居する事になるのか?」

「はい。元々、オロール先生が泊まれる部屋を作るつもりでしたけど、正式に親子になるのでそうなりますね。ただ、夏場とか居ない時期もありそうですけど」

「それなら依頼品のトマホークも試し切りや試し投げをしてもらいやすくなる。ミーシャにも慌ててもらわないといけなくなりそうだ」

「そうだ、リンド=バーグさんに聞きたいことがあるんです。【ホヤッキー】装備の事なんですけど……」

「おおっ、ついに手を出すのか?」

「コカコッコから依頼されました」

「コカコッコから?」

「はい。ボクの従魔のコカコッコの両親から依頼されました」

「コカコッコ用装備だとしたらシンプルな装備じゃないのか? コカコッコ用には魔導 鍍金(メッキ) は要らなかったハズだ」

流石、 大(おお) 鍛冶師。鎧関係の話を聞きに来て間違いなかった。

「それで、装着部位は分かるか?」

「はい。オスが胸でメスは後頭部を希望していました」

「希望していました……って、直接コカコッコがそう指定してきたのか?」

「はい。直接依頼されました」

「それで素材は?」

「これです。餌用のつもりで渡したら装備にして欲しいと……」

渡されたホタテ貝殻をリンド=バーグさんが確認すると俺に返してきた。

「コカコッコ用は表側を研磨して魔力の通りを整えてやれば完成だ。勿論、個体に合わせて縁を整形する必要はあるがな。穴開け加工や留め具を着ける必要があればその作業もしておく。もし魔導 鍍金(メッキ) が必要ならこの次の工程になるな」

「非常食なので魔導 鍍金(メッキ) は不要と言われました」

「非常食とは随分と贅沢な鎧だな」

「はい。職校で詳しく教わった方が安心ですよね?」

「そうだな。ただ研磨は様々な作業に絡んでくる関係で単独で専門の授業が無いんだよ。学生課に申請しておけば講師の融通をしてくれるハズだ。非鉄装備の専攻をすれば【ホヤッキー】や【バサルトタートル】は弄れる様になるが、ミーシャはそっち方面に進む訳でもないだろうしな」

「分かりました。もし我流で研磨するなら注意事項ってあります?」

「強いて言えばスキルオフ研磨をする事を心掛ける事だろう。普通の人型種族が使う場合ならそうでもないんだが、作業した職人の魔力が移ると従魔や魔獣が装備する時に彼らの魔力の波長と干渉すると嫌がられる事があるんだよ。もしかしてコカコッコはスキルで装備してなかったか?」

「はい。『 隠者(ハーミット) 倶楽部(クラブ) 』というスキルで身に着けてました」

「それを使うのか……。ミーシャ、それだとスキルオフ研磨が必須だ。砥石は小型の荒砥と中砥で仕上げは 木賊(とくさ) を使い分ければ問題無い。【ホヤッキー】の場合、魔力は根元から外へ、つまり狭い方から広い方に向かって放射状に流れるからそこを意識して整えてやればいいだけだ」

「分かりました。面倒なんですね」

「まぁミーシャはスキルオフ研磨が得意みたいだからスキルオフ装備を着けなくても大丈夫だとは思うが」

「ボク、頑張ってみます。後、コカコッコから装飾で石を付けてもらいたいと言われまして……」

「それは取り付け位置に穴を空けて、装飾用の 覆輪(ベゼル) を固定してから石を留めるやり方で着けられるぞ」

「先に【ホヤッキー】と石を完成させてから 覆輪(ベゼル) の発注って事で良いですか?」

「そうだ。先に石を完成させておいて 覆輪(ベゼル) を発注してもいい。普通はそこは分業になるがな」

言われてみたら鎧を作る職人と鉱石研磨の職人は別枠だったわ。