作品タイトル不明
第545話
オロール先生にそれでいいのかと尋ねると、俺を魔導刺繍の後継者にしたいのだと言う。後継者と言えば聞こえは大袈裟だが、古代エルフ以外にも技術と知識を継承したいのだとか。その上での特別養子縁組。別に一子相伝だとか一族の秘伝技とかではなかったけど。オロール先生的には、わざわざ養子にした理由付けには丁度いいということらしい。
そして、古代エルフの刺し子と共に、ホタテビキニも引き継ぐことにされてしまった。それとホヤのランプ。
「問題なければサインしておくれ」
「あの、庇護養親のパイクお義祖父さまと庇護保証人のリンド=バーグさんの許可は要らないんですか?」
「庇護養親のシステムはドワーフ独自のものだからね。他種族なら身元保証人とか里親とか、そんなシステムだから、肉親や養親が居て庇護養親もいる者もいるよ」
と言う事なので、ミーシャ=オベールと改姓する必要は無かった。変えたかったら変えてもいいそうだけど。俺の選択は改姓せずで。パイクお義祖父さまとリンド=バーグさんとの縁が分かる庇護氏族名は簡単に捨てたくない。
そして、ミケヲさんも養子にする理由はナツメグさん探しやら、俺との縁が云々とか言っていたけど、本当の理由はお酒のせいだった。ミケヲさん、前世で流通していたお酒になぜか詳しいんだよ。前世でナツメグさんから教わったらしいけど。お酒の話が聞きたいから養子にするって、それでいいのか古代エルフ。
どうやら俺に拒否権は無いらしい。気付いたら申請書類にサインをするだけになっていた。
「嬉しいねぇ、【ホヤッキー】の継承者が見つかったよ」
いや、まだサインしてないから!!
「【ホヤッキー】?」
「コレさ」
オロール先生が次元収納からホタテビキニを取り出す。プッ…と吹き出す音が聞こえた。そりゃあ知ってるよね、ホタテビキニ。
「こっ、これは……。噂には聞いていたがまさか本物を目の当たりに出来ようとは」
「素敵だろう?」
「羨ましいぜ。妖精サイズは小型の二枚貝だからなぁ」
つまり、妖精さん用にはシジミビキニやアサリビキニが有るという事なのですか!?
特別養子縁組について一晩、二晩考えたかったのでこの場でサインはしなかった。書類は商業ギルドに預けた。俺がサインしたら直ぐにミケヲさんに連絡が行く事になった。するとミケヲさんがすっ飛んできてサインをする算段だ。
いかん、盛り上がったのとビックリしたのとで、神様にお酒と料理をお供えしていない。まだ残っているので改めて奉納。遅くなってごめんなさい。
カトリーヌが松茸の煙を吐いてくれた。これもお供えって事でOK?
ムキュウムキュウ
「アンディーには後で野菜と果物をあげるからね」
そう、松茸料理はアンディーの口には合わなかった。そう考えるとソーセージやベーコンといった燻製肉だけでなく松茸料理を口にできるカトリーヌは凄いのかもしれない。塩分過多にならない様に気を付けてあげねば。
「そうだ、ホーク=エーツさんに質問がありました。鉱石関係なんですけど」
「俺で答えられる事なら」
「今、こんな感じに研磨している鉱石が有るんですけど、この形状ってどう呼ぶのが一番だと思います?」
そう、研磨途中のアリさんガーネットだ。マーキースと呼べないので、一般的な名前をホーク=エーツさんに聞いてしまおう作戦だ。
「おや、これは瞳型もしくはオムレツ型だね。もしくはナッツ型」
「やっぱりその辺りですよね」
「瞳型とナッツ型は見た目から付いた呼び名で、オムレツ型は 鶏の勇者(ケン=タツキ) がそう呼んだから広まった名前だよ。後は……、あった、リップ型と糸巻き型。それも見た目から付いた系だね」
「ありがとうございます」
「また外の仕事?」
「私物にするつもりでしたが、色々あってラルフロ=レーンさんに卸す事になりました」
「それだとまたカーン兄が売りに行くのかなぁ……」
【タロール茸】を使った料理はミケヲさんが推す、転生勇者も好んだ料理と銘打たれて登録された。特に【バサルトタートル】と【タロール茸】のスープはケトル一杯でも飲みたいと言われた料理として売り出す事に。いや、土瓶蒸しの小さな容器ならともかく、ヤカン一つは飲まないって。
【バサルトタートル】は冬が旬なので売り出すのには丁度いいのかな?
卵焼きは【インゴットエッグ(金)】として登録された。形状的にドワーフ受けするんだろう。ドロドロした卵液を加熱しながらインゴット型に纏め上げる辺りも受けが良かった。そしてナナシー名義で登録。
【 子猫ちゃん(プッシーキャット) 】と【 猫娘(キティガール) 】はミケヲさん名義で登録。ノンアルコールは 髭無し(幼ドワーフ) に人気が出そうだ。後、あまりお酒に強くない猫の人向けだな。
全部引っくるめてカーン=エーツさんに売り込みが丸投げされる。偉い人への説明が増えるのでジョー=エーツさん夫婦の戻りがどんどん遅くなるな、申し訳ない。
階段収納は何個か作り、商業ギルドや冒険者ギルド等に置いてみるとの事。そこで実際に使ってみてどう運用すべきか会議にかけられるらしい。また大会議なのだろうか?
それと、【手持ち豚】にキノコの芳香を嗅ぎ取らせて採取する方法の検証実験に参加しなきゃいけなくなった。これは冒険者ギルドと商業ギルドの合同検証実験。天気次第だけど、一の週の八の日か九の日に行われる。確実に採取出来る事が判明したら【手持ち豚】達の仕事が一つ増える訳だな。
アルチュールさんと【カミチスイコウモリ】は明日にでも飛行実験をしてもらおう。早いところ飛んでもらって、コウモリを森にお帰りさせたい。それとこの後、コカちゃんを迎えに行かねば。再会したら優しくギュッと抱きしめたいな。それと何が悪かったのか養鶏場の職員さんに聞かないとね。
「それでは又会おう。養子の件は宜しく頼んだ。ニャニャンニャ、ニャンニャンニャン。コタツ、忘れるなよ。ニャニャンニャ、ニャンニャンニャン。歯、磨けよ。また来週〜〜」
うっわー、懐かしい。俺はリアルタイムでは見てなかったから編集された大爆笑編でしか知らないけど。多分ミケヲさんはリアルタイムで視聴してたんだろう。
次、行っちゃおーー!!