作品タイトル不明
第542話
【 子猫ちゃん(プッシーキャット) 】は、【オーリン】、【グレポンズ】、【 朱雀(フェニクス) の実】のジュースを同量加え、【 砕頭実(グレナ) 】の汁を少々加えたものだな。
『 生命之水(蒸留酒) 』を加えてアルコール入りにしても構わないね。
【 猫娘(キティガール) 】は、【 生薑(ジンジャ) 草】の根の汁、【 甘桂(シナモ) 】、蜂蜜、【リモー】を煮詰めてシロップを作り 泡水(トニック) で割った【 生薑(ジンジャ) 泡水(トニック) 】と赤ワインを同量合わせたカクテルだ。
あ、猫の人だと果物の名前が微妙に違うんだ。流石に、オレンジ、グレフル、パインとは言えないしな。【 砕頭実(グレナ) 】の汁、やたらと物騒な名前だと思ったら、ザクロジュースの事だった。そうか、ザクロか。確かに砕けた何かに例えたくなるかもしれない。
そしてザクロと言えばガーネット。異世界名は【 柘榴石(グラーナ) 】だったな。名前のせいで猫の人相手にガーネットは不人気だったりしたらどうしよう。そこの所は要調査だな。
それより、【 生薑(ジンジャ) 泡水(トニック) 】って前世のジンジャーエールだよね? 生姜汁とエールでジンジャエールって名前にされたドワーフの飲み物とは違うよね。
「 三毛皇(みけおう) 様、それは前世のカクテルで間違いないですよね?」
「間違いない」
「少々お待ちください。今記録して、即登録に回してきます。それより猫の人の間で流通はさせてましたか?」
「いや全く。実はだね、今回が初披露なのだよ」
「まっ、まさか、ミーシャの他にもお騒がせ登録が……。あぁ、これはどうしたら……」
「ホーク=エーツさん、どうかしました?」
「ミーシャ案件だったらカーン兄を動かせるけど、 三毛皇(みけおう) 様の案件は担当職員が決まっていない」
「吾輩の案件ならミーシャに押し付ければいいぞ」
「いや、それは……」
「吾輩、ミーシャに何件か開発依頼を回しているし、それにミーシャには吾輩が従名誉猫獣人の称号を与えているのでね。吾輩の窓口みたいなものであるとは思わぬかね?」
「あ……、そうですね。無理矢理こじつけてますけどその線でいきましょう。カーン兄には 三毛皇(みけおう) 様直々の打診だと伝えて諦めてもらおう」
哀れ、カーン=エーツさん。多忙な日々と偉くなる未来しか見えないわ。
そうこうするうちに骨付き【バサルトタートル】の肉が煮える。正肉は唐揚げ用に生のまま残してある。松茸を焼く為に土魔法『土器』で七輪コンロみたいなものを作った。炭火は分けてもらえばいい。
「【タロール茸】の料理の香りをマジックバッグに回収して職員一同で確認したいと思います。まぁ、少々好みではなくとも “ 転生勇者の好んだ香り ” と銘打てば売れますけどね」
「吾輩としては奪い合いになって、口に入らなくなるのは嫌だね」
「どうでしょう」
「多分、流行ると思う。ミーシャが絡んでるし」
「ボクのせいですか?」
「今、【 くじ引き(ロット) クッキー】を作ってる職人衆と関係各所が休日返上で働いてるって知ってた?」
「おや、ミーシャのせいで酒も飲めない職人衆がいるのかい」
「厳密にはウサ耳の関係者だけど。早く新しい工房を建ててくれって騒いでるよ」
「それならば吾輩からも報告しようか。来冬に発注する新年飾りだがな、最低でも今年の三〜四倍、場合によっては十倍になるだろう。今から覚悟して【 魔多々媚(マタタビ) 】を集めておく様に」
色々と聞きたくなかった。まだ新年も迎えていないのにその、次の新年用品の発注話を聞かされてしまった。エンドレス納期。前世のクイズ番組で正解は一年後に語られるという内容のものがあったが、今年の分を納品した直後に “ ノルマ新年飾り 〜納品は一年後〜 ” になっていたとは……。まぁ、季節商品の制作って半年前にはスタートさせるものだけど、人気店の三年待ちバウムクーヘンや五年待ちのフライパンじゃあるまいし……。いや、パイクお義祖父さま監修の【 魔多々媚(マタタビ) 】細工だから数年待ちでも当たり前って事か。スローライフ、何処行った?
♪エンドレス 納期
ハードワーク マイ ワーク……
替え歌が浮かんでしまった。ブラックって単語が浮かばなかっただけまだマシなのかねぇ。
「これは本格的に【 魔多々媚(マタタビ) 】栽培を考えないと……。先ずは森、里山の整備からって上が言ってくるよね。いやいや、シロップ事業と炭焼きの方が先行してるし、他領とも擦り合わせて……」
行こうよ、【 魔多々媚(マタタビ) 】の森!!
そうこうしてる間に松茸の下準備は修了。良かった、『殺菌』とか『除菌』とか使っててみたけど松茸は消滅しなかった。菌糸には効かないのか、いや、イルマ=ニーアさんの使ったカビた豆を浄化する魔法だとカビは消えてたよな。茸は別なのか? カビたミカンは戻るのか? 気になる。
松茸もそうだけど、キノコ類は洗っちゃいけないらしい。俺は洗う派ですけどね。
根元に付いている土を除去とか分離とか、『汎用魔法』を使いたいところだけど、先日の岩塩みたいにガーッと魔力を持っていかれたら困るので我慢した。
松茸は手で裂き、焼き用、スープ用、オムレツ用と処理をする。オムレツは刻んだタマネギとみじん切りにした松茸を具にする。本当はキノコのオムレツ松茸入りにしたかったけど、八百屋さんにキノコが置いてなかったから諦めた。キノコは基本、野外採取しなきゃいけないのね。パスタはお湯が沸けばいつでも茹でれる。
そして、ミケヲさんは松茸待機中だけど、オロール先生はカクテル待機中。どちらが先か……、あ、カクテルからですね。