軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第543話

何とも言えない芳香が部屋中に充満する。これが焼き松茸か……。俺の記憶の中にある、お湯に溶かすお吸い物に使われている人工香料とさほど変わらないぞ。

プープー プープ プキッ?

「カトリーヌ、どうしたの?」

プピッ プピッ

尻尾を元気に振り回して何かをアピールしてくる。何を訴えたいのか分からないので困ったな。

ムキュウ?

プープー

ムキュウ キュウ?

プーププープ!!

(食べてみたいしー!!)

えっ…、カトリーヌってば焼き松茸を見ながら涎を垂らしてないか? 食べたいって事なの?

「カトリーヌ、自分で見つけた【タロール茸】を食べてみたいとか?」

プキィ!!

興味あるんだな。松茸アロマ計画、ここに発動。

「そこの従魔のカトリーヌが見つけたと聞いたが」

「はい。キノコの匂いを嗅ぎ付けてくれて、他の高級キノコも見付けていました」

「後で冒険者ギルドが検証実験をするそうだよ。ミーシャとカトリーヌも呼ばれるんじゃないかな?」

「その時は吾輩の為に【タロール茸】を見つけて来て欲しいものだね」

プキィ プープー

(任せるし)

松茸に火が入り、少し水分が浮かんできた。焦げる前に食べないと勿体ない。一杯目は口に慣れた冷やしエールで。日本酒がここに無いのが悔やまれる。

「おおっ、松茸!! 焼き松茸!!」

「独特の風味というか匂いが……まぁ悪くはないね」

「これ、【トリル茸】とはだいぶ違いますね。これが異世界転生勇者の好んだ味わいなのか……」

う〜ん、これって松茸のお吸い物の香りのする少し歯ごたえのある焼きエリンギだな。

「カトリーヌが見つけて来てくれたから簡単に手に入れられましたが、苦労した割に微妙……って言われる理由が何となく分かったかもしれません」

「まぁ、オトナの味わいではあるね。皆が要らないのならば吾輩が独り占めするが」

「いやいや、これはこれでイケるだろ」

プープー プープー

ぽわ〜ん……カトリーヌが松茸アロマを発した。少し柔らかい松茸臭だな。

「カトリーヌ、【タロール茸】の匂いも出せる様になったんだね」

プキィ

これは自室でキノコスープを飲む時に松茸臭を出してもらうと雰囲気が出るってやつじゃないのか?

そのままスッポンと松茸のお吸い物こと、【バサルトタートル】と【タロール茸】のスープの試食に移る。【 猫娘(キティガール) 】はショウガ風味なのでお吸い物の後だ。春雨こと【芋麺】も入れるけど。

「まさか吾輩、【バサルトタートル】と【タロール茸】でスッポンと松茸のお吸い物が味わえるとは思わなかった。土瓶に入っていたら完璧だったが……」

やっぱり土瓶蒸しにしなくて正解だった!!

「土瓶ですか?」

「松茸の土瓶蒸しという料理があってだね、松茸のお吸い物、まぁ【タロール茸】のスープな訳だが、それを土瓶、陶器製のヤカンに入れて提供するのが土瓶蒸しだ。松茸の他にも鶏肉やエビ等も入っていて、見た目は豪勢な一品だね。食べ辛いのが玉に瑕で……よくスープが溢れたとか何とか」

あ……、ガチな感想が出てきた。

「それで【バサルトタートル】の様に肉の美味い亀がスッポンで、そのスッポンと松茸を合わせると代金の高いこと高いこと。代金を払えないとスッポンポンに……」

あ……、皆にスッポンポンが通じていない。スッポン鍋でスッポンポンって下手なオヤジギャグだよなぁ。

「ん?」

「あの 三毛皇(みけおう) 様、スッポンポンとは?」

「あ、通じないのか。前世の言葉で丸裸の意味だね。松茸とスッポン鍋の代金があまりに高くて身ぐるみ剥がされた……と言う表現をしたかった訳よ」

「正にスッポンポン鍋だねぇ」

「その下りはこの料理の売り文句になりますよ」

「じゃあアレか? 【バサルトタートル】と【タロール茸】のスープの名前は【スッポンポンスープ】になるってか?」

「それ、いきましょう。焼き【タロール茸】よりスープの方が【バサルトタートル】効果で売れます」

まさかのスッポンポンスープ爆誕。気付いたらカーン=エーツさんに飲ませる用に少しだけ取り分けられてたわ。試食したら時期的にすぐまたヒト族領に売り込みに行かされるんだろうなぁ……ご愁傷さまです。

そして焼き松茸はミケヲさんとカトリーヌ以外にはウケなかった、残念無念。まぁ温泉玉子もイマイチウケなかったから、そこは食の好みの差と言うことで。

カメとキノコと言えば、前世で有名な配管工を動かすゲームを思い出すな。ノコノコ動くキノコを食べるとパワーアップするあのゲームね。赤いオリマと緑のイジール。協力プレイと見せかけて相手の進行を阻止するプレイが楽しい。やりすぎると友達を無くすし、兄弟喧嘩からのオカン砲が発動するけど。それでカレシに振られたクラスメイトは知ってる。

スープの後には待望のミケヲさんのカクテルだ。俺も飲んだ事がないので楽しみです。

「この【 子猫ちゃん(プッシーキャット) 】、お酒が入っていないのに美味しいです」

「ジュースなのに」

「俺の嫁に飲ませてぇな。酒が入ってないから俺でも買える」

「アルチュールさんのお嫁さん、甘いお酒がお好きですもんね」

「それなら【 猫娘(キティガール) 】も試してもらおうかね」

「【 生薑(ジンジャ) エール】とはまた違う味わいがある」

「これもいいね。薬草風味がクスリを飲んでいる感じで罪悪感がないよ」

「いやいやオロール先生、ポーションじゃないですって」

「どうだいクルラホーン、こんな楽しい集まりが家で出来るんだよ。住んでみたいだろ?」

「そうだな古代エルフ。アンタも楽しい奴だし、きっと嫁もアンタを気に入るね」

えっ、ここでいきなり俺の新居の話を始めるか? 確かにこの二人には居候どうよ?って誘ったけど。そしてそれを微笑ましく聞いているホーク=エーツさん。まぁ新居の話はギルド各位にバレてるからいいとして。

「えっ、何? 何の話? 吾輩、聞いてないよ。楽しいホームパーティとは?」

「ああそうか、流石に 三毛皇(みけおう) 様を居候に誘うわけにはいかないだろうからねぇ」

「居候でホームパーティとは?」

「そのうちミーシャが家を建てるんだよ。そこに誘われたのさ。居候して酒を飲めるんだよ」

「俺も誘われたぜ。酒の飲める仮住まいを用意するってな」

「ミーシャ、べっ、別に吾輩、誘ってくれなくてもいいんだからねっっ!!」

ツンデレ風味 by.おっさん……。ミケヲさん、分ってやってるだろ、それ。