作品タイトル不明
第538話
アルチュールさんが【 細草(こまくさ) 木賊(とくさ) 】を採取してきた場所は後日調査が入る事となった模様。そこがもし未知の鉱山だったら凄い事になるんじゃ? まぁ、そうそう未知の鉱山は見つかるものじゃないだろうけどね。他にも何種類か鉱山近くに生える特有の植物があるそうで、それの有無も調査するって言ってたよ。
かなりお手柄な情報提供だった様で、アルチュールさんには報奨金と共にワインが渡されていた。渡されたワインがハーフボトルサイズとはいえ、クルラホーンが持つと中々良いサイズに見える。
オロール先生とミケヲさんの秘密の対談には同席させられないけれど、二人の許可が出ればだけど、その後の食事会には参加してもらう事は可能なのかな? まぁ、ミケヲさんと別れた後にオロール先生とアルチュールさん、呑み助二人で飲み会になりそうではあるが。
「そうだ、クルラホーン側の意見を聞きたい案件がありました。少しだけお付き合い頂けます?」
「あ…、ん?」
「家です。妖精族用のアパートメントにクルラホーンの意見が欲しくて」
あれか、階段タンス!! アパートメントって事は、あれを利用して職業ギルドが運営運用するって事?
「コレなんですけどね、ワンルームの賃貸に使えると思います?」
そう言いながらマジックバッグから取り出される階段タンス、いや、引き出しが付いてないから階段収納だな。
「これ…か? これ、部屋なのか?」
「はい。区分けされた箇所に引き出しを納めるとタンスとしても使える収納家具です。オープンラックとしても使えますが、サイズ的に妖精族の部屋に使えるのではないかと発案者が申しておりまして、実際、我々としても妖精族の方々のリアルな意見が欲しい訳なのです」
アルチュールさんがチラチラと俺を見てくる。コレ、お前の発案かよ? って感じで。
「どれ、試すぞ。靴は脱いだ方がいいだろ?」
「お気遣いありがとうございます。そうしていただければ助かります。何せタンスですので」
「お〜らよっ」
アルチュールさんが仕切られた収納スペースの一つに入った。サイズ的に、二十七センチドールを横置きしたカラーボックスに収めたって感じだな。
「まぁ、いいんじゃねぇの? このスペースにずっと住むなら飽き嫌気も差すだろうけどな、どっかの建物の中に専用の個室があるって感じだったら悪くはねぇな。この天井じゃなくて棚板の上か、オープンになってる箇所なら休憩場所に丁度いいぞ。俺らサイズの椅子でも置いてありゃー、勝手に酒も飲めるしな」
おっ、意外と好感触だ。確かにワンルームマンション的に住むには息が詰まるか。寮の部屋みたいなもんだな。
「これ、ギルドに置いておけば妖精専用の休憩場所で金取れんだろ。もしくは簡易宿泊所だな。俺らにも住み着いている場所はあるけどよぅ、そこからギルドに通うのも面倒だったりするしなぁ……」
「成る程、休憩スペースですね。もしくは簡易宿泊所や寮的な部屋…と」
「そうそう。中段・下段は飛べない奴らが使って、上段は羽が生えてる奴ら専用だな。階段付けるのも面倒だろ、コレ」
「貴重な意見、ありがとうございます」
「正面にカーテンの一つも付ければ目立たなくていいな。まぁ俺らはそこまで気にしねぇけど、ドワーフの方が気になるんじゃねぇの?」
「そうですね。そうだミーシャさん、【手持ち豚】のカトリーヌさんを隣のスペースに入れてみて下さい」
「はい。カトリーヌ、お願いするね」
プキィ
カラーボックス内にそれぞれ収まる二十七センチドールと蚊遣豚もしくは豚さん貯金箱。ここは日本か? 前世の日本なのか?
プープー?
「あ、そこまで気になんねぇわ。カップルにイチャイチャされたら怒鳴り込むけど、普通にしてたら気にならねぇ。コレ、小型従魔もイケるだろ」
「そうなんですか?」
「まぁ、辺鄙なところに住んでる妖精ならともかく、俺らは割とガサツに暮らしてるからな。気にしてたらコソッと間借り出来ねぇってな」
あ…、妖精って人ん 家(ち) にコッソリ住み着いてるんだな。それなら新居に階段タンスを置いたらアルチュールさんにも使ってもらえそう。
プーす〜 プーす〜
カトリーヌはボックス内を確認するとちょこんと座ってウトウトし始めた。いきなり寝室認定かよ。落ち着く個室って事か?
「あ、ミーシャ、戻ってきたのか。ナオが大喜びでね」
「ホーク=エーツさん。そのカトリーヌですけど、階段収納の中で寝ちゃいました」
「ええっ、そうなの? 階段収納ってアレでしょ? えっ、クルラホーン???」
「よう、どうも。邪魔してたぜ」
「こんにちは。ブタさんはどこですか?」
「ゴメンね、カトリーヌはそこの収納で寝ちゃって……」
「え〜〜、可愛い!! ホークおじちゃん、ブタさんが起きるまで見てていい?」
「あ……あぁ、そうだな。豚さんを見ててあげてね」
「やったぁ。ブタさん、起きるかな? 起きたらナオがブラッシングしてあげるね」
プーす〜 プーす〜
「よう」
「よう……妖精さん!?」
「おう、妖精」
「ホークおじちゃん、妖精さんもいるよ」
「これは、レプラコーン……じゃないな、酒瓶を持ったクルラホーンだ。彼はミーシャの知り合い?」
「はい。ボクがいつも何かとお世話になっているクルラホーンのアルチュールさんです」
「凄い、妖精さんとブタさんの入る家具、私も欲しいなぁ……」
それ、階段タンスだけでなく、中身も一緒に欲しいって事だよね? 流石にジョー=エーツさんにお嬢さんに買ってあげてとは進言出来ないわ。