軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第498話

鶏冠(トサカ) 茸は魔導標本の鑑定によると前世の舞茸。薄いヒダの重なりが 鶏冠(トサカ) っぽく見える訳ね。グリフォン茸と呼ぶ地域もあるとか出てるよ。大空の王者グリフォン、地面の王者マイタケってか。

カーン=エーツさんが奥の部屋から戻ってきた。ん、ホーク=エーツさんも出て来たの?

「あ、ミーシャ。【鉱夫飴】の従魔味を試したって聞いたけど」

「はい。美味しかったですよ」

「じゃあカーン兄は工場に行ってきて」

「ミーシャはんとキノコの話が終わったら行ってくるわ」

「いっそ、獣人仕様も作ればいいんじゃないですか? それぞれ獣の人の好みの素材を練り込んで」

「それも面白そうだね」

「 面白(おもろ) そうやけど、やめてーな」

「先ずはテイマー仕様を発売しちゃおう。そして、獣の人用バージョンも計画中にしておいて仮登録だけしておこうよ」

「はいはい、どこまで仕事を増やす気やの」

俺のせいとはいえ忙しそうだもんなぁ……と思って二人を見ている。

「カーン兄、売れるものは?」

「何でも売る」

「売り出す時は?」

「誰より早く」

「諦めません」

「売り切るまでは」

「欲しがりません」

「作ります」

「ドワーフ魂」

「職人魂。って何で『商人憲章』言わせんの」

「いや〜カーン兄が商売嫌そうだったのでつい」

「別に嫌やないわ」

商人憲章ってあるんだな。忙しそうだし早いとこキノコの話を済ませてしまおう。

「あの、【スライム茸】は人気無いんですか?」

「へっ? ミーシャはん【スライム茸】好きなん?」

「ええっ?」

「あんなヌルヌル茸、よう食わんわー」

「そ、そうなんですね……」

マジかよ、ナメコって人気無いのかよ? 偉い人にはナメコの味噌汁の素晴らしさが分からんのですか!?

「採ってきても買い取りしーひんで」

「あれ、スライムも食べないキノコだよね。採ってきてもいいけどちゃんと食べてくれないと困るかな」

「分かりました……」

いいんだ、俺が一人で楽しむから。ミケヲさんならナメコの良さを分かってくれるよ。

あっ……【スライム茸】の【やべー泥】味スープ……、ナメコの味噌汁(仮)って異世界ウケしないって事? 名前が悪いよな。まぁ【やべー泥】が味噌と確定した訳ではないけど。

そう言えば前世で、水煮ナメコをミキサーでドロドロにしたものを冷蔵庫で冷やすとプリンみたいに固まる、って記事を見たことがあったぞ。これって異世界でこそ試してみたいメニューだな。だってまだゼラチンにも寒天にもお目にかかっていないからなぁ。

異世界モノのラノベあるあるスライムゼリーは存在していない。ゼラチンは動物の腱や皮、もしくは魚のアラを煮込んだら取れるけど、臭いや風味のせいでお菓子には使われていない。そして食材としてより 膠(ニカワ) の材料になってるんだよね。

それなら俺が水煮ナメコでプルプルした物を作ったっていいじゃない。ナメコゼリー爆誕。

松茸山は割と『スワロー』の近くに有るみたいだ。一人で行くには怖いのでアリサお姉ちゃんを誘おう。日程的には朝から出掛けて夕方には戻る予定で。日暮れ時間を考えると松茸が採れなくても午後三時には下山する。【 運魔(ウマ) 】が入れるならラパン達を連れて行こう。最悪の場合、アンディーに救援要請を出す為に『スワロー』まで飛んで行ってもらう。

天候次第だけど早くて十二の月・一の週・二の日で。それなら早目に指名依頼を出しておこう。アリサお姉ちゃん、追加でチーウ=エーツさんかな。

「それでタロール茸を採りに行くん?」

「はい。護衛にアリサお姉ちゃんを指名依頼します。もう一人いた方がいいならチーウ=エーツさんも追加で」

「山に行くんなら計画書を書いといてな。ルート次第で冒険者ギルドからトイレチェックの依頼もあるやろし」

「予定では最短で十二の月・一の週・二の日に行こうと思っています。勿論、お二人の予定もあるのでしょうから、あくまでボクの希望ですけど」

「確かチーウは予定は入ってなかったよ」

「あ、情報ありがとうございます」

「タロール茸と【スライム茸】以外は買い取り対象や。毒キノコの標本も見といたってや。鑑定鍛えておかんとアカンよ」

「はい、毒キノコの納品依頼って無いですよね?」

「毒キノコは専門職がおんねん。せやから手出し無用でお願いしたいわ」

「分かりました」

「そうそう、ナオがカーン兄を褒めてたよ。お仕事を沢山熟してて凄いって」

「ホンマに? ナオちゃん、ええ子やわ」

「なので【鉱夫飴】の新バージョンの仕事もサクサクお願いします」

「せやな。おじ様の凄さをアピールせんとね」

「そのおじ様発言が無ければ良い伯父さんなんだけどねぇ」

「なんでやねん!!」

「はいはい、飴工場、飴工場。それが終わったらバニーと……」

「チョイ待ちーや、階段状の収納棚って何なん?」

「あ、それカーン兄が知らないやつかも」

「ミーシャ三日会わざれば刮目して見よ、三日やのうて一日会わんのでもエライことになるんやけど」

「俺も間違ってないと思う。前門のハーレー=ポーター、後門のミーシャ=ニイトラックバーグでもよくない?」

「何ですか、その諺みたいなのは?」

「昔の転生者が広めた諺やで」

だったら前世の諺とほぼ同じ意味って事だな。褒められてるのか揶揄られてるのか、どっちなんだ?

プープ プープ

カトリーヌが尻尾を振りながらカーン=エーツさんに何かをアピールし始めた。

「ん、何やの?」

プープ プープ

カトリーヌがカーン=エーツさんに向かって甘い香りの煙を一吐きする。今日のお礼かな?

「ええ匂いやね。おおきに」

プキィ

「ミーシャはん、カトリーヌ嬢が何を言うとるか分かるん?」

「そうですね……、多分、もっと飴が食べたいだと思います」

「んなアホな」

プープー プープー

俺の発言にカトリーヌが激しく尻尾を振り始めた。多分正解だろ、これ。