作品タイトル不明
第260話
冒険者ギルドの資料閲覧室でリーチフロッグの資料を読み始めることにした。
★★ 蛭喰い蛙(リーチフロッグ) ★★
ヒルやナメクジといった害虫系軟体動物を好んで食する蛙。浄化能力が高いので餌由来の寄生虫を寄せ付けない。故に肉は食用として人気がある。ひんやりとして湿った環境を好む。蛙なのに泳ぎは苦手なので水中では溺れる。洪水などで生息域が水に浸かってしまった場合、空気を肺いっぱいに吸い込み、まん丸に膨らんで浮き輪のように水面に浮かび上がって避難しようとする。皮膚呼吸が出来るので四〜五時間程度は肺呼吸しなくても平気だが、浮き輪状態の間に陸に到達出来なかった場合、力尽きて最終的には溺死してしまう。
大きさは二十〜三十サンチミートル程度。体表に纏わりつく粘液に微弱ながら麻痺毒が有るので触る時には注意が必要なのだが、流水でこすり洗いをし麻痺毒を含む粘液を洗い流せば問題無い。間違ってもリーチフロッグを触った後、手を洗わずに眼等の粘膜部分を擦らないこと。この麻痺毒は分泌量の少なさと効果の弱さの為、残念ながら利用価値は殆どない。
天敵は 深山(ミヤマ) マンバ。マンバ属は毒蛇しかいないので注意。 深山(ミヤマ) マンバはその名の通り深い山奥に生息している。ヒルに吸い付かれて弱っている 深山(ミヤマ) マンバの姿が目撃されており、ヒルの種類にもよるが 深山(ミヤマ) マンバの天敵の一つであると考えられている。
うん三竦みだな、これ。そしてどう見てもジャンケンの構図だよね。親指を伸ばしたグーがヒル、チョキが口を開けたヘビ、パーが膨らんだカエルってね。
ついでにマンバ属の蛇もチェックしよう。山の中で毒蛇に遭遇したら怖いよ、下手したら死ぬし。
★★ マンバ蛇 ★★
コブ蛇種のマンバ属の毒蛇の総称。黒マンバ、白マンバ、 丸黒(がんぐろ) マンバ、 金黒(ごんぐろ) マンバ、砂漠マンバ、矢マンバ、 深山(みやま) マンバ、 松見(まつけん) マンバなどがいる。
何れも強い神経毒を持つ。 深山(みやま) マンバ、 松見(まつけん) マンバの二種は比較的毒が弱いのでマンバ蛇の解毒剤の材料として利用されている。神経毒は回復後に後遺症の出る事は少ないものの、速やかな解毒を必要とする。解毒薬、解毒魔法が有効。
矢マンバは敵の眼を目掛けて毒液を飛ばしてくる。その毒液は強力でオーガ種の眼ですら容易く失明させる。砂漠マンバは砂に潜って獲物を待ち伏せするので、砂漠を歩く時は注意が必要。馬や駱駝には強化 脚巻(バンデージ) を装着させる必要がある。
強毒性の蛇ではあるが、天敵としてヒルが確認されている。マンバ蛇の鱗は滑らかで柔らかい為か比較的ヒルが吸い付きやすい様である。マンバ蛇にはマンバ蛇に対して耐毒性が無いので同種に噛まれたら容易く死ぬ。コカトリスやバジリスク等、石化能力を持つ魔獣はマンバ蛇に噛まれても死亡することはない。逆にマンバ蛇に石化耐性は無いので石化能力を持つ魔獣をテイムしていると容易く退治出来る。
マンバ蛇、怖っっ。ついでにクルラホーンの資料も探すかな。
★★ クルラホーン ★★
ブラウニー、シルキー、レプラコーン等と同じ家事手伝い系の妖精。単に家系妖精とも呼ばれる。酒墜ちしたレプラコーンと呼ばれるほど酒好きであるが、自身で酒を買って飲んでも酔うことは出来ず、人の飲み残しをくすねるか他者に奢られないと酒に酔えないと言われている。
その昔、クルラホーンが酒の神チャン=ポーン主催の宴席に忍び込み、用意してあった相当量の酒を盗み飲んだ事を咎められ、罰として人の飲み残しをくすねるか他者に奢られた酒でないと酔えない体にされたのだという。
酒造りの妖精でもあるが、神罰故に自身で造った酒で酔うことが出来ないのは何とも哀れである。
クルラホーン、それで「同情するなら酒をくれ!!」なのか……。酒造りの妖精って、もしかしたら蕎麦焼酎とか作れるかもしれないとかか? 今度アルチュールさんに会うことがあったら聞いてみよう。
「おっ、もう調べ物は終わったのかな?」
「はい、今日のところは」
「採取とかの予定はないのか?」
「そうですねソロだと怖いですし、職校がなかなか忙しくて…。学園の授業を聞いたら何か欲しい素材が出てくるかもしれませんけど」
「まぁ、そんなもんだな。何か希望があったら冒険者パーティーに同行依頼として発注してくれれば有り難い。護衛任務扱いになるから喜ばれるぞ」
「あ、なるほど!!」
「ドワーフの冒険者ギルドがヒト族より緩いと言ったって、ランクをキープするにはそれなりの討伐や護衛をこなさないといけないからな。武器や魔道具の試用なんかも依頼に出来るから、まぁ何かしら思い付いたら相談に来てくれ」
「はい、分かりました」
「しかし、その年で星が『 七−五−三(しちごさん) 』とか末恐ろしいなぁ…。ところで、何か面白いネタは無いか? 商業ギルドとか馬車ギルドばかり盛り上がるのはなぁ…」
「『 七−五−三(しちごさん) 』?」
「七星のうち五星登録で、そのうちのギルド登録は三星、という意味だ。ハーレー=ポーターは『 七−六−三(なむさん) 』だな」
謎のカウント方式、そして七五三って無理矢理そう呼んで気がするんだけど、違うか?
「冒険者ギルドに提供するネタですか……。だったら、三族バトルとかかな?」
「何だそりゃ?」
「ヒルとリーチフロッグとマンバの戦いです」
「まぁ、互いに天敵だな」
「こう…、親指を出した握り拳がヒルです。二本指を立てたのがマンバで、手を広げたのがリーチフロッグです。ヒルはマンバに勝って、マンバはリーチフロッグに勝つ。リーチフロッグはヒルに勝つ。魔法の属性バトルみたいな遊びですよ」
「魔法バトルだとカードを使うからな。何処でも片手で遊べるのはいいな。で、遊戯名は有るのか?」
「それは………【飲みバトル】か…な?」
「【飲みバトル】?」
「ヒルはマンバの血を飲んで、マンバはリーチフロッグを丸飲みして、リーチフロッグはヒルを飲み込むので【飲みバトル】……です」
「ゴロが悪いが中身はいいな」
「ははは…ありがとうございます」
「じゃあ、【飲み拳】で申請しとくからな」
「……えっ!?」