作品タイトル不明
750.この先は忙しくなるわよ
お茶会が明後日、その日の夕方にラルフがユーリア様と帰宅。同日にユリアンが帰ってくるけれど、当然、帰る先はシュミット伯爵家になる。以前住んでいた別邸ね。お父様やエルヴィンは明日中に別邸へ到着予定になっていた。
お茶会の翌日が春祭り初日で、顔を出す予定よ。お祭りは二日間で、様子を見て二日目も参加するか決める。ここまで説明した私に、ヘンリック様がメモを取りながら「忙しいな」と呟いた。
「春祭りには、使用人達も出かけたらいいと思うの」
前世と違って、この世界はまだ娯楽が少ない。お祭りなんて最高のイベントだわ。続いて観劇や音楽や絵画の鑑賞かしら? 貴族家の当主夫妻なら、お茶会や夜会もあるけれど。侍女や侍従になる子は、嫡子以外の貴族子女だった。
「なるほど。最低限の人数がいればいい」
ローズに野菜を食べさせるヘンリック様へ、別の案を出した。
「時間で交代はどうかしら? 使用人を四つに分けて、一日目の午前中、午後……と順番で休んでもらうの。半日の休みだけれど、お祭りは楽しめると思うわ」
仕送りをしている子も、仕事を丸一日休むのでなければ問題ないでしょう。お菓子が買えるくらいのお小遣いも支給したい。ドレスを作る際もヘンリック様が「品格維持費」と称して出してくれたので、私の奥様予算がそっくり余っているはず。
「家の采配はアマーリアの担当だ。任せるよ」
「ありがとう」
微笑んで、手元の肉にナイフを入れた。骨付き肉が出るのは珍しくて、丁寧にナイフを入れて骨を取り出す。ソースは別添えなので、切った肉のお皿をレオンの前に置いた。ラルフが困惑顔なので、任せてと微笑む。
いくらしっかりしていても、七歳の子が骨付き肉を綺麗に捌くのは無理でしょう。前世のテーブルマナー知識を利用して、骨を取り除いていく。二枚目のお肉皿は、ラルフに差し出した。ヘンリック様も肉をカットしているところで、手を出そうとするローズに「ダメだ」と言い聞かせる。
ラルフがレオンの肉にソースをかけ、自分の皿は端に垂らした。つけて食べる派かも。自分の肉を取り、これまた骨と格闘する。今日だけで一羽の半分は骨抜きしたわ。ヘンリック様はローズに食べさせて、残った肉に手を付ける。
見ている間に、ラルフが「ソース、かけますか?」と聞いてくれた。
「ええ、上にかけて頂戴。ありがとう」
何か話したいことでもあるみたいな感じ。レオンがいない場所で、話してみましょう。部屋を訪ねるのがいいかもしれない。
「お姉様、綺麗に出来ないわ。先生がやると綺麗なのに」
あら。礼儀作法の先生から、ユリアーナへの宿題だったのね。骨付きで出すなんて、珍しいと思ったわ。