軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

747.耳は報告、目で猫と子供達を追う

昨夜、ユリアーナは先に休んだ。事情を聞くため、翌朝捕まえる。

「出かけてもいいけれど、その前に説明をお願い」

にっこり笑って、玄関前で呼び止めた。はっとした様子で「そうよ、昨夜は寝てしまったんだわ」と手を口に当てる。上品な仕草ね。誰に……いえ、ヴェンデルガルト嬢かしら? 年齢以上に大人びた子だから、パウリーネ様の真似をしているかも。

「温室で聞くわね」

その理由は、今日も猫が日向ぼっこをするから。子供達も一緒に温室へ向かうの。皆が一緒だけれど、猫を追いかけてレオン達は温室内を走り回る。いつもと同じよ。だから見張りがてら、ユリアーナに話を聞く余裕があった。

「わかったわ。あ、午後からヴェンデルガルト様と遊ぶの」

「午後ね。遅くなるようなら、事前に連絡をしてね」

貴族令嬢は過保護に育てられる。政略結婚をして家を繋ぐ大切な存在だし、女の子は何かあれば傷物として扱われるわ。だから真綿で包むように、屋敷で大切に育てられてきた。間違っていないけれど、自主性を奪ってしまう。

リースフェルト公爵夫人であるパウリーネ様は、ご自分が活発だから娘に厳しくない。王家に嫁がせる気もないので、ある程度自由にさせていた。お陰で友人となったユリアーナも、一緒に外出が出来て安心だわ。

リースフェルト公爵家とケンプフェルト公爵家の騎士が同行する。この状況で、誘拐や傷害事件を起こそうとする勇者はいないみたい。近づこうとしたら排除されるわ。ヴェンデルガルト嬢はしっかり者なので、護衛を撒いて奔放に振る舞う心配もなかった。

あれはお母様であるパウリーネ様を反面教師にしているわね。お父様が苦労する姿を見て育った影響かもしれない。しっかり者のヴェンデルガルト嬢が一緒なら、事前に連絡してくれるでしょう。夢中になると周囲が見えなくなるユリアーナより、安心ね。

「それで、クラネルト子爵令嬢はどうだったの?」

問いかけるまでに、ひと騒動あった。レオンはラルフと手を繋いで、猫を追い回す。慌てて追いかけるローズが転んで泣き、慰めにラルフが向かったらレオンが拗ねる。ラルフったら大人気だわ。

猫達も大騒ぎ。バナナに似た果実が下がる木に、シロが飛びついてよじ登る。問題は、下りられなくなって毎回鳴くことね。ティム達が梯子で捕まえてくれるの。

アイはソファーの片隅で、しっかり休息を取る。シロを追いかけようとして、手が届く位置で動けなくなったのはミア。マイペースなサビーネは、茂みに飛び込んで顔を見せない。気に入った場所で休んでいるのでしょう。

猫の名を呼びながら走る子供達から、上手に逃げ回る猫達。徐々に逃げ足が速くなる猫と、追い詰め方が上手になったレオン達……イタチごっこで互いに成長していた。

「レギーナ様と仲良くなれたわ。今日もご一緒するのよ」

レオン達と猫を目で追っていたら、ユリアーナは嬉しそうに報告を始めた。