軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39-1.(レオン)お父様とお出かけ

僕は、言葉が上手じゃないの。丁寧にゆっくり言わないと、お母様と同じにならない。でもお母様は怒ったことはなかった。お祖父様の時は、殴られたんだけど……。最近になって、殴ると叩くの違いを覚えた。手が開いてるか、握ってるか。痛いのはどちらも同じだね。

僕が嫌だったことは、ほかの人にしたくない。そう伝えたら、お父様もお母様も褒めてくれた。妹のロジィが生まれて、立派なお兄ちゃんになりたいと思ったの。エルみたいにお勉強ができて、ユンみたいに強くて、アナみたいに優しいお兄ちゃんだよ。

「そう、もう立派なお兄ちゃんよ」

お母様は、ロジィといても僕を見てくれる。お絵描きをしたら褒めるし、お勉強したら撫でたり抱きしめたりした。だから僕は「ろじぃと、あしょんで」と言える。だってロジィも寂しいと思うから。絨毯のお部屋をはいはいするロジィは、その手を舐める。お母様より早く、僕が拭いた。

ロジィは僕が移動すると、その先に付いて来る。お兄ちゃんを大好きなのね、とお母様が笑うから嬉しくなった。そっか、僕のこと大好きなんだ! 僕もロジィが大好きだよ、と抱きしめる。一緒にお昼寝をしたり、二人でおやつを食べたり。僕の毎日は忙しくて、楽しいことがいっぱいだ。

「レオン、お父様と出かけようか」

お父様はいつも、自分のことを「俺」って言うの。でも僕やロジィに話しかけるときは「お父様」と言い直す。僕はちゃんとわかるけど、ロジィは間違えちゃうかも。一緒に手を繋いで歩く僕が、頑張って説明した。

「わかった、次からは俺にしよう」

「うん」

ちゃんと伝わって嬉しい。前はお父様に話しかけても、お母様が言い直していたの。僕の言葉が上手に伝わらないんだよ。でもお父様は慣れてきて、ちゃんと聞こえるようになった。お仕事でいつもいなかったけど、早く帰って来るのも嬉しい。

手を繋いで屋敷を出て、森のほうへ進む。騎士の人も三人いた。この道は湖がある方角じゃない。知らない道なので、きょろきょろしながら歩いた。木がもっと大きくて高い。それに太いよ。木に細い草がいっぱい絡みついて、ひらひらしていた。あの葉っぱ、木じゃなくて草の葉っぱかも。

「この辺りか」

お父様が足を止めて、周囲を見回す。ついてきた騎士の人が、左側を指さして何か伝えた。こそこそ話しているね。大人のお話なのかな?

「レオン、きのこを探そうか」

「き、のこ?」

「そうだ。これと同じのを見つけてくれ」

「うん」

お父様と一緒にきのこを探す。低いところにあるんだ。だから僕のほうがたくさん見つけて、騎士の人にいっぱい渡した。籠に入れたきのこは、僕の手のひらくらい大きかった。

「今日はこれでシチューを作ってもらおう。寒くなる前に帰るぞ」

ここで、お父様が僕を抱っこする。

「ぼく、あるけゆ」

「抱っこさせてくれ」

お父様が抱っこしたいの? じゃあ、抱っこいいよ。ちょっと疲れたし、温かい。お父様の抱っこはお母様より高くて、ちょっとだけ硬かった。肩の上にお座りのほうがいいけど……今日は我慢するね。お父様は抱っこがいいみたいだから。