軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

17-1.(ロルフ)色の違うお茶会

社交界で慣例となっているお茶会は、堅苦しくて好きになれない。バルシュミューデ公爵という地位のせいで、何度か参加させられた。ユーリアは笑顔で乗り切るが、多少やらかした夫人や令嬢に釘を刺していた。そういうやり取りが、ひどく億劫だ。

動物の群れと表現すれば近いのか。どちらが上で、下で、ボスで……すべて決めなければ動き出さない。だが決定する際は、笑顔で他者の欠点をついたり、愛想笑いで胡麻を擂ったり。恐ろしいことこの上なかった。本音などどこにもなく、綺麗な化粧で塗り固めた醜い素顔が垣間見える。

貴族とはそういった生き物だが、女性達の社交の怖さは我々男とは別世界のようだった。公爵夫人という立場、筆頭公爵ケンプフェルト家に夫人がいない状況、加えてリースフェルト公爵夫人との牽制。妻ユーリアは笑顔という武器で、この荒海を乗り越えてきた。

そこへ新しい波紋が広がる。ケンプフェルト公爵が若い妻を娶ったのだ。空席となっていた筆頭公爵家の夫人が埋まり、また新しい関係が構築される。またギスギスしたお茶会で戦うのかと思ったら……妻はケンプフェルト公爵夫人が気に入ったらしい。

王妃殿下主催のお茶会で顔を合わせ、次こそはと意気込んでお茶会の準備を始める。どうやら仲良くなりたいようで、私なりにケンプフェルト公爵に探りを入れた。彼は若く有能だが、家に帰らず仕事ばかりすることで有名だった。そんなヘンリック殿が、夫人によって変わっていく。

別人に生まれ変わったかのようだ。興味を惹かれて、妻の言うまま参加したが……絵画を飾ったお茶会は最高だった。ケンプフェルト家はフォンの称号を持つ古い家柄で、所有する絵画や彫刻などの芸術品は質が高い。有名画家の初期作品なども飾られていた。

色で合わせただけと謙遜する夫人だが、あの選択はそんな理由で収まらない。見事な調和とバランス、入れ替えに用意された絵画も見事だった。感嘆しながら戻った私は、褒め称える妻ユーリアの言葉に大きく頷いた。なるほど、ユーリアが気に入るはずだ。

若くともしっかりした夫人を得て、ケンプフェルト公爵家は大きく発展する。ガラスボタンを作り、派生したビーズでドレスを華やかにし……巻きスカートなる構想もケンプフェルト公爵夫人のアイディアだと聞いた。王太后になられたマルレーネ陛下の先見の明に感服する。

「ユーリア、そろそろいいのではないか?」

「そうね。皆さま、注目なさって!!」

手を叩いて子供達の注意を引き、微笑んで合図を出す。控えていた侍従や侍女達が、温室の外から箱を持ち込んだ。積み重ねると倒れて危険だと言われたので、横に並べた。絨毯を埋め尽くすほどの数がある。

「お楽しみのプレゼントよ。一人一つずつ選んで頂戴。一周したらまた選べるわ」

子供達に向けてルールを説明し、どうぞと促した。地位ではなく、年齢順にしたのはよいアイディアだ。妻ユーリアを褒めたが……この後、思わぬ展開となった。