作品タイトル不明
17-2.(ロルフ)選び方にも性格が出る
大量の贈り物の箱に、子供達の目が輝いた。大人になっても、贈り物の包装を解くときは興奮する。年下から順番に年上へ。何周か回るよう、量をたくさん用意した。高額ではないが、楽しめるプレゼントばかりだ。ルールを説明すると、子供達は納得した様子で頷きあった。
ルールは大きく三つ。何があっても不機嫌にならないこと、交換は自由、年齢順に受け取ること。小さな子は気に入らないと泣いたりする可能性がある。親が同席なので、その場合は母親が子供を宥めることになるだろう。
王侯貴族のお茶会だが、気の置けない者が集まったからこそ……普段と違う素顔が出るかもしれない。心配しているのは、ケンプフェルト公爵家のローザリンデ嬢、王妹ルイーゼ殿下の二人だ。レオン殿は聞き分けの良い子なので、心配しなかった。
「ロジィ、どーれ?」
レオン殿が促すと、しっかり兄の手を握ったローザリンデ嬢が歩き出す。なんというか、幼子はあんな歩き方だったか? うちの子は立ったばかりだが、あんな風に歩くようになるようだ。ぺたぺたと表現するのが似合う。
思い浮かべてみるも、息子の幼い頃が思い出せなかった。これは反省しなければ。そんなに仕事人間だったつもりはなかった。ヘンリック殿を 揶揄(やゆ) できる状況でもなさそうだ。
「にぃ! ん!!」
これだと決めてしがみついたのは、大きな包みだった。箱ではなく布で包んでリボンを結んでいる。抱き着いた感触で、おおよその見当はついているはずだ。あれはぬいぐるみだったな。レオン殿の身長と同程度の包みは、侍女の手で横に移動された。
「これ、なぁに?」
レオン殿も興味津々だが、次は自分が選ぶ番だ。
「レオン、先に見てきて」
後ろが待っているのよ、と促すケンプフェルト公爵夫人の声に、レオン殿は大きく返事をした。
「はい! 僕ね、これ」
悩まないのは、ローザリンデ嬢と同じだな。即決で小さな箱を選んだ。手のひらに乗るくらいの、本当に小さな箱だ。あれは……宝飾品じゃないか? すごい目利きだ、いや中身は見えないが。
「あたし、これ!」
ルイーゼ姫はじっくり悩んで、大きい箱に抱き着いた。包装紙の色で、中身を思い出す。あれは確か、流行している着せ替え人形だったな。女の子が多いから、とユーリアが選んだ品だ。ランドルフは慎重に箱を持ち上げては戻して、結局、一番最初に手にした箱を選ぶ。重さ重視か。
「こちらを頂きます」
きちんと挨拶した途端、慌てた様子で幼い三人も口々に「ありがとう」を伝えてきた。嬉しくて忘れていたようだ。ランドルフが下がると、ユリアーナ嬢から続いてほぼ全員が受け取った。カールハインツ陛下も照れながら一つ選んだ。まだ子供枠なのに、執務などで苦労されているからな。当然だろう。
「では、またローズから?」
「いや、大人も参加していただこう」
私の一言で、ざわっと女性陣が顔を見合わせる。もしかして、何か地雷を踏んだか?