軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16-1.(ユリアーナ)交友関係は贅沢に

久しぶりの王宮で、ヴェンデルガルト様と会えた。リースフェルト公爵令嬢である彼女は、流行のドレスや飾りに詳しい。新しいデザイン、これから流行しそうな柄、先日手に入れた化粧品に至るまで。とても興味深いわ。

「ヴェル様のお話はどれも楽しいわ」

「そうやって聞いてくれるだけで嬉しいの。ずっとお友達でいましょうね、アナ様」

ヴェル様はいつもたくさん教えてくれる。私にとって大切な友人よ。でも、一部のご令嬢の中には、上から目線で話すから嫌いと公言する人もいた。自分が知らないことを教えてもらったのに、お礼より先に文句が口を衝くなんて。お姉様に相談したら「あなたは思うようにしなさい」と委ねられた。

私が決めていいなら、ヴェル様を選ぶわ。集まるたびに、その場にいない誰かの文句ばかりの人より付き合いやすいもの。わかりにくいけれど、ヴェル様はかなり言葉を選んでいる。前に気になって尋ねたら、「私のお母様は、ほら……ああいう方でしょう? 同じだと思われたくないの」と返された。

リースフェルト公爵夫人は、この国の女性には珍しくお世辞を言わない。気に入って付き合う人は少ないけれど、顔は広かった。ちょっと不思議な人よね。公爵夫人に阿る人が多いのはわかるけれど、魅力的な人だわ。おしゃべりが好きで、勢いが良すぎる気もする。これは短所のほうかしら?

いつもお洒落だし、他国で見つけた珍しい物をプレゼントしてくれる。私にとってリースフェルト公爵夫人も、素敵な人だった。誰かに合わせて愛想笑いをするのは、好きではない。もし、将来必要になるなら、仕事としてこなすわ。

ティール侯爵家はオイゲンのお兄様が継ぐから、幸いにして侯爵夫人になる心配はなかった。お義兄様によれば、余っている爵位があるから使えばいいと。爵位はそんな簡単に貸したり貰ったりするものじゃないと思う。

「ヴェル様のコサージュ、素敵だわ」

「アナ様が気に入ったのなら、作ってあげるわよ」

「……作ったの?! ヴェル様が!」

驚きすぎて声が大きくなった。談笑していた周囲が、私達に注目する。ヴェル様に「もう!」と怒ったような声を出されるも、顔を隠す手の裏で笑っていた。注目を浴びたなら、この際だから話してしまおう。

「聞いて、お姉様。ヴェル様のコサージュ、お作りになったそうよ」

「まあ、もしかして……パウリーネ様のコサージュも同じかしら? 素敵ね、我が子の手作りだなんて羨ましいわ」

お姉様が上手に話を広げてくれた。よく見れば、リースフェルト公爵閣下の胸元の花も同じかも。家族でオレンジや黄色の花を飾って、地味になりそうな緑のドレスを華やかにしたのね。

「ヴェル様、作り方を教えてくださる? 私もお姉様やレオンに作ってあげたい」

「もちろんよ。いつでも歓迎するわ」

数日以内に、お屋敷へ遊びに行く約束をした。コサージュ、いくつ作れば足りるかしら? お父様、エル兄様、ユリアン、お姉様、お義兄様にレオン、ローズはまだ早いかな。指を折って数えながら、初めて飲む黒いお茶を楽しんだ。