作品タイトル不明
12.(パウリーネ)思いがけない贈り物
他国の公爵家にお願いして、珍しいお茶を手に入れた。念のために家族で飲んでみたら、思ったより色も味も濃い。でも香りも高くて、何よりこの国では見かけないことが決め手だった。夫の提案で、事前に王太后陛下に試飲していただいた。
お茶菓子を甘くして調整してくださるそうよ。安心したわ。アマーリア様は喜んでくれるかしら? 想像するだけで楽しくなる。茶器もこのお茶と合わせて購入したの。持ち手のないカップは珍しくて、作法も学んだ。口をつける縁に触れていいなんて、驚いたわ。
予定変更なしの連絡が入ってから、毎日指折り数えてしまう。あと三日、二日、一日……今夜眠ったら、明日は会えるのね。社交も一段落した時期だから、ゆっくりできる。わくわくしながら目を閉じるも、眠くならなかった。
「明日は大事な日なのに」
「こうしていよう、ほら、目を閉じなさい」
夫に抱きしめられ、ぽんぽんと背を叩かれる。温もりが伝わって、自然と瞼が重くなった。こんな風に過ごすようになったのも、ケンプフェルト公爵夫妻のお陰だわ。まだ余裕があるから、子供を増やそうかしら? 夫をどうやって誘ったら? いろいろ考えが飛んで、いつの間にか眠っていた。
朝から大忙しで支度を整える。私が妊娠して子を産んだのは、アマーリア様より一年遅れだった。でもすぐにまた妊娠なさって、ご子息がお生まれだったわね。仲が良くて羨ましいこと。
今年一歳を迎えた私の息子は、今日はお留守番だ。同時期に出産したバルシュミューデ公爵夫人のユーリア様も、娘を置いてくると聞いた。赤子がいると、馬車は危険だもの。
ヴェンデルガルトと夫の二人が待つ階段下で合流し、馬車に乗り込む。揺られる時間すら楽しくて、籠に入れたお茶の筒を撫でた。紅茶は缶が多いけれど、このお茶は木製の筒に入っている。王家と公爵家のみと聞いたので、お茶の筒は三つ用意した。
それぞれに持ち帰っていただけばいい。飲むための分は、別の缶に詰めてあるわ。王宮が見えてきて、気持ちが高揚する。早くお会いしたいわ。以前は勝手に駆けつけて、迷惑をかけたけれど……最近はかなり自制しているのよ。
「お母様、これを着けてくださる?」
差し出されたのは、小さな花を集めたコサージュだった。今日の緑のドレスによく似あう、柔らかな黄色とオレンジの配色だわ。
「ありがとう、着けさせてもらうわね」
「お父様はこれ」
同じ黄色の花を一つ、ピンとして襟に飾る。二人で着けるとお揃いみたいね。自分でも小さめのコサージュを着けて、娘は幸せそうに笑った。
「これ、私が作ったのよ」
驚いて夫と顔を見合わせ、思わぬ贈り物に微笑んだ。何度もお礼を伝えて、胸を張って馬車を下りる。だって娘の力作だもの、誇って歩きたいわ。