作品タイトル不明
11.(ユーリア)何を用意しようかしら
お茶会は予定通り、短く書かれた手紙を受け取って微笑む。よかったわ、アマーリア様の予定を押さえたみたい。王族のご一家はアマーリア様が大好きだもの。私達も同じよ。彼女がケンプフェルト公爵夫人になって、すべてが変わった。
僅か三年、それなのに彼女がいなかった頃の記憶が霞んでしまうほど。お茶菓子は王太后陛下が用意してくださると聞いたわ。リースフェルト公爵夫人パウリーネ様は、異国で手に入れたお茶を献上するらしい。我がバルシュミューデ公爵家は何を用意しようかしらね。
幼いルイーゼ姫やレオン様だけでなく、今回は成人間近の子供達も集まる。温室を使うでしょうから、何も思いつかないわ。クッションや椅子、絨毯に食器、雨の天幕も不要。軽食なども王宮側で用意するはずよ。宝飾品やドレスをプレゼントしても、持ち帰るのに邪魔でしょう。
そもそも同格以上の相手なら、欲しいものは何でも手に入る。いっそ表面上だけの関係なら、悩まないのだけれど、本当に困ったわ。真剣に悩む私に、夫が思わぬ提案をした。
「子供達に選ばせるプレゼントはどうだろうか」
「選ばせる?」
にっこり笑った夫ロルフは、先日の外交でもらった小さな木彫りを手に取った。兎のような、でも猫にも似た不思議な置き物だ。
「こういった小物を個包装する。自分達で選んで開けさせるんだ。お楽しみになるし、持ち帰って飾ってもいい」
驚いたわ。提案内容より、ロルフがこういった考えを披露するなんて。過去になかったことよ。驚いた半面、とても魅力的に思えた。
「箱の大きさは同じがいいかしら?」
中身がわからないよう、すべて同じ箱にするのもいい。
「個性が出るから、違う箱でもいいんじゃないかな。サイズも色も包装紙もすべて違うのも、選ぶ楽しさだよ」
「そうね、あなたの案で進めましょう」
息子達にもバレないよう、様々なプレゼントを探した。日数は短いけれど、集中して選べたから満足している。街へ出て選んだものもあれば、屋敷内で見つけたものもある。柔らかかったり硬かったり、値段もまちまちで。
包装しながら開ける子の笑顔を想像した。すごく楽しいわ。日持ちする焼き菓子なども入れて、一つの箱に複数の贈り物を詰める。
「開けた後で、交換するのもいいわね」
「ああ、子供達なりに楽しむと思うよ」
夫と二人で夢中になって箱詰めしたプレゼントの山を眺め、完成させた達成感で笑顔になる。まだ渡していないのに、もう終わった気分だわ。ソファーにぐったりと身を沈めた。
「ところで、君のドレスは決まったのか? ユーリア」
「あなたこそ!」
肝心の衣装合わせを後回しにしたことに、二人で笑いながら立ち上がる。足早に部屋を出た私達は、いつの間にか腕を組んでいた。子供達の装いも揃えるから、まだまだ忙しくなるわ。