軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

6-2.(ユリアン)一曲弾いてよ

ローズは本当にリア姉にそっくりだ。口調を真似て、大人のように振る舞おうとする。その点、甘えん坊はレオンのほうだった。構ってほしいと素直に表現するレオンを、リア姉は可愛くて仕方ないという顔で抱きしめる。

「ねえ、ユリアン。一曲弾いてよ」

妹ユリアーナのお願いに、俺は気軽に応じた。師匠ほどの腕があれば無料で演奏はしないけど、俺はまだ見習いだからな。弾ける機会があれば、どんどん演奏していく。

「そうだな、練習さぼると指が動かなくなるし……ピアノは食堂?」

「広間に移動したわ」

俺が夢中で練習した頃は、広い食堂の一角に置いていた。音が響いても問題なくて、邪魔にならない場所だ。広い長テーブルを使わず、円卓で食事していたから。食堂のほとんどが使われていなかった。食事以外に使わない部屋だから、いつ弾いても大丈夫だったんだ。

広間に移されたピアノは、綺麗に磨かれていた。カバーの上から埃を被っている姿を想像したけれど、全然違う。鍵盤をいくつか鳴らすと、いい音がした。調律も定期的にしているみたいだ。

「ピアノはリリーも弾くのよ。ほかにも数人、だから楽器演奏用に広間を解放したの」

リア姉の説明で納得した。部屋の隅に、ビオラやヴァイオリン、木琴と大型のハープまで並んでいるから。指慣らしにいつもの旋律を奏でる。ゆったりした軽い曲だけど、指を温めるのに最適だった。

「へぇ、リア姉はあのハープを弾けるようになった?」

「あれは、マーサが使ってるわ。私は三日月のムーンハープよ」

小型で膝に載せられて、指があまり痛くない。小型だが立派なハープだった。やっぱり大きいのは諦めたのか。マーサは確か、乳母みたいな役割の侍女だっけ。彼女が習いたいと言い出し、他の使用人達と練習に励んでいるとか。

ほとんどの使用人が楽器を演奏するのは、公爵家だからだろうな。勤める人のほとんどが、貴族出身だ。厩や庭師など外の仕事に携わる人でなければ、伯爵家以下の二番目や三番目だ。中には五人兄弟の末っ子もいたっけ。

指が温まってきたので、明るくテンポのいい曲から始めた。レオンが大喜びでシンバルを取りに走り、その場で叩き始める。リア姉さまがローズと手を繋ぎ、その場でくるくると回った。ユリアーナはピアノの端に手を載せて、じっと聴き入っている。なんだか照れるだろ。

「前より音が綺麗になったと思うわよ?」

「なんで疑問形なんだよ」

憎まれ口を叩くだけで、二年の歳月が消えていく。離れていたのが噓のようだ。毎日一緒にいて、賑やかに過ごした頃に引き戻された。公爵様が帰って来るまで、何曲もリクエストに応じて弾き続ける。まるで昔に戻ったみたいだ。