軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3-3.(オイゲン)兄上の本音

「血の繋がる弟だからさ」

それだけ? 貴族にとって、さほど価値のある理由ではないと思う。跡継ぎがいなければ、親族から養子をとって家を存続してきた。貴族とは家が一番大事で、家族の愛情なんて後回しだと教わるのに。

「オイゲン、お前が大切な弟だから守った。私にとって身勝手な理由だ」

自ら貴族家嫡男として失格だと呟き、苦笑いする。すごく大事なことを聞いた。兄上の行動は間違っているのに、ただただ嬉しい。胸の奥がざわついて、泣きたい気分だった。

「生まれた時に、母上の目を盗んでよく会いに行った。乳母がこっそり会わせてくれてな。小さくて折れそうな指が、この指をきゅっと握った。あの時の感動が私の努力の源泉だ。弟に恥じない兄になろうと、そう思えた」

ティール侯爵家を継ぐ重圧、量が多く面倒な勉強や鍛錬さえ。弟のために頑張ったと言い切る。こんなすごい人が兄上だったのか。俺がいくらヤキモチ妬いたって、届くわけがない。もっと必死で食らいついて、追い抜く覚悟が必要だった。

足りていなかった部分を自覚し、俺はまだ成長できると自覚した。ユリアーナに相応しい男でいるため、努力が足りない。兄上が誇れる弟であるため、目指す目標は高く設定しなければ。

「これでいいかな? なら、逆に私から問おうか。オイゲンにとって、家族とは何かな?」

「俺の柱です。中心にあって、倒れず揺るがず強い。憧れる象徴で、誇りになりました」

かつては違った。侯爵家という地位に甘え、両親や兄が守っていると知らずに暴走した。どれだけ迷惑をかけ、謝罪させたのか。巻き込んだ友人達にも悪いことをした。

「いい目になった。ケンプフェルト公爵夫人には、感謝してもしきれない。ティール侯爵家は、ケンプフェルト公爵家に返しきれない恩ができた。公爵夫人の妹君と婚約したんだ……泣かせるなよ?」

「はい! 兄上」

明日は別の予定が入っているが、明後日は空いていたな。ユリアーナに会いに行こう。手紙で予定を聞いて、もし都合が悪ければレオン様と遊ぶのもいい。数ヶ月暮らしただけなのに、まるで実家のような温かさの屋敷だった。

帰るような懐かしさが込み上げる。お茶会の後、読書に向かう兄を見送り、自室で手紙を認めた。明日の朝には返事があるだろうか。わくわくしながら、夕暮れの空を見上げる。

レオン様に対する無礼で、俺は貴族籍の剥奪もあり得た。そうなっていたら、ユリアーナの婚約者になれなかったし、家族とも暮らせなくなっただろう。あの巡り合わせが、すべての始まり。同時に、俺の人生を変えた。

手土産の手配も必要か? 突然思いつき、ばたばたと廊下を走る。こういうのは、執事か侍女長に頼んでおかないと。