作品タイトル不明
563.悩みが半減して楽になったわ
二日後、猫に関してはいくつかの情報が入ってきた。まず行動半径が小さいため、屋敷の敷地内で収まること。人に飼われていると、馬車などの音がしても怖がらないため、逆に危険なこと。夜行性なので、夜に運動できるようにしてやること。
あれこれ検討した結果、部屋が狭すぎるのでは? という結論に達した。猫の世話をする専門の使用人を用意し、居場所や行動を管理してもらう。すごく贅沢なことだけれど、犬を飼っているオイゲンのティール侯爵家では実践していた。
貴族の経済観念ってわからないわ。雇用を生み出すという意味では、有効だと思うけれど。ひとまず、下女や下男の中から立候補を募った。猫を飼った経験がある人を優先的に選び、六人が決まる。交代用の人員も必要なので、もう少し増やしてもいいかも。
首輪は重くないリボンにした。当家の紋章を入れたガラスの飾りが付いている。白猫のシロは、首の飾りが気になって足で弄っている。その点、母猫アイの方が賢かった。自分の子供であるサビ猫のサビーネを転がし、じっくりと飾りを確認する。匂って舐めて、満足したみたい。
まずは温室から徐々に慣らしていくらしいわ。様子を見て交代要員も増やすから、しばらく頑張ってほしい。
「オイゲンと話ができたのですか?」
猫達が思い思いに昼寝をする温室で、私とヘンリック様は向かい合ってお茶を飲んでいた。午後から仕事だけれど、午前中は休みを取っている。今日のお昼までに、ランドルフ様が遊びにくる予定だった。数日泊まって遊び、レオンとの相性を見る。
猫の横で転がったレオンは、もう夢の中。寝る子は育つと聞くけれど、健康的でいいわ。今日は、お昼寝の時間を減らせるかも。
「猫の話を相談したついでに、な。女性の好みを聞いてみた」
直接ユリアーナの話をしないところが、評価高いわ。外交は王太后マルレーネ様が担当だけれど、意外とヘンリック様も交渉に長けているのかしら。
「ユリアーナが好みだと言うのでな。女性は年齢で体つきが変わる、と誘導した」
「どうだったのでしょう」
「結論から言えば、胸の大きさを意識していないだろう。おそらく、先日凝視した女性の持つ何かが気になり、見ていただけのようだ」
「よかった」
ほっとした。亡くなられたお母様もそんなに大きくなかったし、私もいまは出産直後で大きいだけ。元に戻ると、それなりなのよ。大きくもないし、ぺったんこでもない。遺伝を考えれば、ユリアーナも同じくらいよね。ただ、発育状況は食生活に影響されるから、私よりは大きくなりそう。
「後で話してみます」
「そうしてくれ」
お茶に口をつけたところで……ベルントが伝えに来た。バルシュミューデ公爵家の皆様が到着なさったわ。リリーにお茶の追加を指示し、出迎えるために玄関へ向かう。もちろん、ヘンリック様と腕を組んで。