作品タイトル不明
562.相談事は二人で解決
数日経ってもユリアーナは、オイゲンに聞く勇気が持てない様子。まあ、聞きづらいわよね。私が聞いたら前世のセクハラだし……。ユリアンがいたら、すぐ聞いてくれたのにね。
様子を見守るしかないため、気になる。その間にも、猫達がすくすくと成長して脱走を始めた。母猫のアイが大人しく部屋に篭っていたので、子猫も部屋で遊んでいたの。好奇心旺盛な猫の習性なのか、掃除や餌やりのタイミングで逃げ出す。
といっても、ほとんどは廊下で捕獲された。一度だけ庭まで逃げてしまい、大騒ぎになったわ。もし見つからなくて夜になったら困るし、対策を考えなくちゃ。猫もオイゲンの件も、悩ましいわ。
「何かあったのか」
寝室でレオンを挟んでベッドに横になったタイミングで、ヘンリック様が切り出した。ここ数日、私が悩んでいると気づいて、どうしようか迷っていたそうよ。話しかけて解決する問題ならいいが、そうでなければ踏み込み過ぎなのでは? と思っていたんですって。
気遣いが素晴らしいわ。一人で悩んでも解決しなかったので、相談というより愚痴の感覚で切り出した。
「実は……」
オイゲンの態度でユリアーナが悩んでいること。詳しく聞き出され、ヘンリック様の有能さを思い知る。仕事ができる人は、何をやらせても上手にこなすのね。猫のことも、一緒に話した。同列の悩みではないけれど、ここ最近の悩みはこの二つなの。
ランドルフ様は準備中で、明後日には到着予定だった。こちらは到着してから悩むことが増えそう。
「一人で悩まないでくれ。頼りないと思うが、これでも知恵を絞って一緒に考えるくらいはできる」
「ええ、ありがとう」
ここまでは夫婦の会話だった。切り替えたヘンリック様は、間で眠るレオンの黒髪を撫でながら、次々と対策案を練る。
「オイゲンだが、同性から聞かれたほうが答えやすいだろう。俺が時間を見つけて話そう」
こくんと頷く。とても助かるわ。
「外へ出るなら飼い猫であると知らせる首輪は必須だ。紋章入りなら、誰かが捕まえても返してもらえる。猫に詳しい部下がいるから、対策を聞いてくる」
これも嬉しかった。使用人にいろいろ対策してもらっても逃げてしまうから、お手上げだったの。ほんのわずかな隙間から、するりと出てしまう。不思議だわ。前世で猫は液体と揶揄されたけれど、事実ね。
「君の悩みは解決するから、俺の悩みも聞いてくれ」
「ええ」
向かい合って待てば、ぐいと抱き寄せられた。レオンの上に倒れ込みそうになり、ベッドのヘッドボードを掴む。唇が重なった。
「……寝る前と出かける際の口付けが欲しい」
「前向きに、検討……しますわ」
赤くなった頬を見られたくなくて、上掛けを引っ張ってベッドに潜った。びっくりしたわ。