軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

547.今夜は皆で休みましょう

夜も遅くなるまで、飲んで食べて騒いで。前世だったら、ご近所から苦情が入るくらい、賑やかな時間を過ごした。だから余計に、お客様が帰ったあとの静けさが沁みるわ。

疲れてレオンは眠ってしまい、ローズは早い時間から子供部屋へ戻した。お父様は片付けの手伝いをしようとして、使用人達に「大丈夫です」と断られている。相変わらずね、と笑いながら弟妹に一つ提案をした。

「今夜は、オイゲン含めて四人で寝たらどうかしら」

「え? いいの?」

「兄二人が一緒なら、淑女が一人で殿方と……なんて言われないでしょう? 今日だけよ」

客間の大きなベッドで眠る許可を出した。お父様は少し考えて、頷く。子供だけの夜があってもいいわ。客間と扉続きの控え室に、侍女長のイルゼが入る。これなら何かあれば、すぐ止めに入れるでしょう。実際に起きる心配ではなく、外部の人にあれこれ言われないための準備よ。

「お風呂は別々、着替えてイルゼのチェックに合格したら、同室で寝られる。いい?」

条件を再確認し、エルヴィンを始めとする四人は神妙な顔で頷いた。ユリアンが風呂に入る順番を決めようと言い出し、オイゲンに「全員一緒でいいだろ」と返される。

「ちょっと羨ましいかも」

ユリアーナはぽつりと呟いた。女性だから一緒に入れないのが、悔しいような悲しいような。でも女性だから、オイゲンの婚約者になれた。複雑な気持ちを振り切るように「お風呂入ってくる」と言い残して走っていった。淑女としては失格だけど、今夜は見なかったことにしましょう。

「……ん? 私は一人か」

お父様はやれやれと頭を掻いて、離れに戻ろうとする。そこを引き留めた。

「お父様も本邸でお休みになって。もう、最後ですもの」

明日の昼過ぎに出発する。今夜くらい、同じ屋根の下がいいわ。もう離れのほうも片付けてしまったし、お風呂も準備が大変だもの。そう伝えて、客間へ案内した。挨拶して扉を閉め、扉に背中を預けて深呼吸する。

突然、胸が苦しくなる。本当にお父様達と別に暮らすのね。嫁いでくる時は、必死だった。そんなこと考える余裕もないくらい、生活は困窮していたから。溺れる私が手を伸ばして掴んだ藁に、必死で縋った。感傷に浸る暇なんて、なかったの。

「アマーリア、いつでも会える。義父上やエルヴィンも、君が望んだら来てくれるはずだ。俺や君が出向いてもいいだろ?」

「ええ、そうね……そうなの。わかっているのに……」

涙が溢れてしまう。まだ早いのに、濡れる頬をヘンリック様の手が包んだ。